日本ハム「きつねダンス」で注目の楽曲秘話と「日本愛」を、ノルウェーの兄弟デュオ・イルヴィスが語った

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2022年10月06日 11:11  webスポルティーバ

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 3年ぶりに人数制限を設けずに開催された、2022年のプロ野球を語る上で欠かせないのが、北海道日本ハム・ファイターズガールによる「きつねダンス」だろう。きつね耳のカチューシャを着用してのダンスはSNSなどで話題を集め、チームの札幌ドームラストイヤーの戦いに彩りを添えた。

 この爆発的な人気を集めた「きつねダンス」に使われている楽曲は、今から9年前の2013年に発表され、世界的にヒットした『The FOX(What Does The Fox Say?)』(以下、The FOX)だ。

 シーズン終盤の2022年9月には、この曲を歌うノルウェー出身の兄弟コメディーデュオ、イルヴィス(YLVIS)が初来日。札幌ドームで行なわれた「きつねダンスDAY」(9月19日)の感想や、異国の地で巻き起こった「きつねダンスブーム」の印象、「心惹かれる国」だという日本のお笑いや文化について、イルヴィスの兄ヴェガードと、弟のボードに聞いた。




***

――『The Fox』(2013年9月発売)が、日本でブームを巻き起こしています。9年越しの"大ブレイク"に対する率直な感想を聞かせてください。

ボード(弟):不思議なことが起こっているけど、とても嬉しいよ。以前から、僕は日本の音楽や言葉にすごく興味があったから、ずっと「行きたい」と思っていたんだ。これまではなかなか機会がなかったけれど、このような形で日本に来ることができて本当によかったよ。

ヴェガード(兄):世界には200くらいの国があるけれど、その中でも日本は特に心惹かれる国だったんだよね。これまでの9年間で他の国を訪れてきたから、これからは日本を楽しむことに専念できるかな。"ファーストウェーブ"は他の国、これからは日本かなと思っているよ。最初に『The Fox』がヒットした9年前も、「日本に行ってみたい」と思っていたんだけど、関係者から「日本では、まだ何も動きがないから......」と言われてしまって。日本での流行は、ちょっとゆっくりだったね。

――好きな日本の文化はありますか?

ボード:(出身地の)ノルウェー・ヴェルゲン地方に住む音楽好きの友人が、コーネリアスやピチカート・ファイブのことを教えてくれて、僕らもよく聴いているよ。ただ、"特定の何か"というよりは、映画の中で何気なく聞こえてくる日本語とか「侍」といった、"漠然と日本を感じるイメージ"に惹かれることが多かったかな。

――ノルウェーでは、野球はあまり馴染みがないスポーツかもしれませんが、これまで野球を見たこと、やったことはありますか?

ボード:正直なところ、僕は本当に何も知らなくて......。ニューヨークを訪れた時にヤンキースの試合を一度だけ見に行ったことがあって、その時にルールも教わってわかったつもりでいたんだけど、結局は忘れてしまったんだ。

ヴェガード:その時は、「あれは、なんで走っているの?」とか、ひとつひとつ説明してもらいながら試合を見ていたね(笑)。

――今回のイベントに際して、日本のプロ野球を見た感想は?

ヴェガード:すごく楽しかったよ。実は、アメリカで野球を見た時に、野球用具を一式揃えたんだ。「子供たちと一緒にキャッチボールでもしてみようかな」と思って。日本で僕たちの曲が話題になった今年、家族みんなで集まった時にまた用具を取り出して近所でやってみたんだけど、それも楽しかったね。

ボード:北海道で記者会見を開いた時に、「ノルウェーには野球がなくて......」とヴェガードがコメントしたら、すぐにノルウェーの知人からメールが送られてきてね。そこには、「ノルウェーにも野球はあるから、ぜひ2人を試合に招待したい」と書いてあったよ(笑)。




――ご家族は、日本での大ブレイクや初来日をどのように捉えていますか?

ボード:普段のツアーで家を留守にしている時も、「今、僕らがどこで何をしているか」といったことを、家族に聞かれることはほとんどないんだ。でも今回は、僕らが日本に行くことを伝えると、「街の様子を写真に撮って、どんどん送ってほしい」と子供たちに言われたよ。日本のアニメが大好きな子供たちは、日本の文化にも興味があるみたいだね。

ヴェガード:子供たちから、「Apple TVの暗証番号を教えてほしい」と連絡があったよ(笑)。日本で流行しているアニメを、家でも見ようとしていたらしいんだ。

――ノルウェーで流行っている日本のアニメは?

ボード:僕は『NARUTO -ナルト-』とか『ドラゴンボール』くらいしか知らないけれど、子供たちはもっといろいろなアニメを見ているよ。




――ノルウェーで放送された『Ylvis meets the wall』というテレビ番組は、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の人気コーナー『脳カベ』をモチーフされているそうですね。日本のお笑いについて、何か知っていることはありますか?

ボード:個々の芸人さんたちの名前はあまり知らないけど、日本のコメディー番組はたまに見ているよ。「脳カベ」以外にも、「サイレント図書館」(『ガキの使いやあらへんで』)や、お城から球が飛んでくるゲームなどがある番組(『風雲!たけし城』)、あとはコントとかも見ているかな。日本語だから話している内容は詳しくわからないけど、それでもすごく面白いね。

ヴェガード:『Ylvis meets the wall』は、僕らがこれまで関わった番組の中で、一番人気があって高視聴率だったんだ。これからも他の日本の企画をやってみたいと思っているよ。

――「きつねダンス」で使用されている『The FOX』は「キツネは何と鳴くか?」がテーマですが、そんな曲を作った理由は?

ヴェガード:ノルウェーのスターゲイトというプロデューサーチームに、「仕事でお世話になったお礼に、何か曲を作ってあげる」と言われたことが発端でね。たくさんのヒット曲を送り出してきた人たちに曲を書いてもらえる貴重な機会をもらったから、「名プロデューサーにかかれば、こんなくだらない曲でも売れる」という企画をやろうと思って。どうでもいい内容の歌詞を渡して、才能を無駄使いするつもりだったんだ(笑)。

ボード:もともとは、僕らの『I kveld med YLVIS(今夜イルヴィスと)』というトーク番組を宣伝するために作られた曲なんだ。ケイティ・ペリーやリアーナも手がけたスターゲイトが、「僕らと組んで売れなかったら面白いかも......」と思っていたら、見事に売れてしまって(笑)。楽曲の動画は、公開から約1週間で1億回も再生されて、思いがけない形で成功を手にしたんだ。僕らの狙いは外れたんだけど、番組にとってはそのほうがよかったんじゃないかな。




――世界各国で、『The FOX』を披露されてきたと思いますが、これまでに訪問した中で、印象に残っている国はありますか?

ヴェガード:以前、香港に行った時に"スーパースター"のような待遇を受けて、移動は高級車だったんだけど、その中に少し臭う車があって。しばらく我慢していたら、アテンドしてくれたスタッフから「何か気になることはありますか?」と聞かれることがあったから、そのことを正直に話したんだ。

 すると、そのスタッフは恐縮しちゃってね。翌日から「臭いは気になりませんか?」と毎日確認くれるようになったんだ。でも、その時の僕は「Mr.フリントストーン(日本語で火打ち石、石器時代のことを指す)」という偽名を使ってホテルを予約していたから、「フリントストーン氏、今日も車の臭いを確認してください」と話してきて(笑)。スタッフが親切に対応してくれる様子と、適当に付けた偽名を呼ばれるギャップが面白かったことを覚えているよ。

ボード:僕は今回、札幌ドームの『きつねダンスDAY』に集まった3万6000人の前でパフォーマンスができたことが、一番の思い出になったよ。観客席からノルウェー国旗を振ってくれたり、キツネの格好をしたりしてみんなが迎えてくれたことは絶対に忘れられないね。

――最後に、日本のファンへのメッセージをお願い致します。

ヴェガード:今回、『The Fox』は日本でも流行して世界中で人気が出たから、あと僕らが行けていないのは宇宙くらいかなと思っていて。日本の宇宙開発技術がとても優れていることを知っているから、僕らの"宇宙進出"のサポートもお願いしたいところだね(笑)。

ボード:『The Fox』以外にも知ってほしい曲がたくさんあるから、ぜひ聴いてみてほしいね。そうすれば、僕らの長年の夢でもある日本公演の実現が近づくかもしれない。ぜひ、応援してもらえたらうれしいな。

【プロフィール】
◆YLVIS/イルヴィス
(兄)ヴェガード・ウルハイム・イルヴィソーケル(Vegard Urheim Ylvisåker)
1979年5月19日生まれ
(弟)ボード・ウルハイム・イルヴィソーケル(Bård Urheim Ylvisåker)
1982年3月21日生まれ

 ノルウェー西部のソグンに生まれ、幼い頃から音楽やお笑いに親しんできた2人は2000年に兄弟デュオとしてデビュー。バラエティーや音楽活動など幅広く活躍し、ノルウェー国内で爆発的な人気に。2013年にYouTubeで公開した『The Fox』のヒットで世界的に名が知られるようになった。2022年、同楽曲が日本ハムのファイターズガールが踊る「きつねダンス」で使用されたことで日本でも注目を集めている。

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