清塚信也が新アルバム「楽器がもつ魅力を伝えたい」 ツアーでは作曲家のエピソードトークで笑いも

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2022年12月01日 11:30  AERA dot.

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清塚信也(きよづか・しんや/1982年、東京都出身。クラシックピアニストにとどまらず、作編曲家や俳優として、メディアなどで多彩に活躍(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
 卓越したピアノ演奏や作編曲、抜群のトーク力で多くの人を魅了する清塚信也。11月に40歳を迎えた清塚が、11月30日に発売する新しいアルバムやトークセンスの源、これからのことなどを饒舌に語ってくれた。AERA2022年12月5日号の記事を紹介する。


【清塚信也の写真をもっと見る】*  *  *


 前作から1年2カ月ぶりにリリースされるアルバム「Transcription(トランスクリプション)」(ユニバーサルミュージック)。アルバム名は音楽では曲や音を譜面に起こすという意味だが、それが転じて本作ではカバーやアレンジなど音楽のいろいろな楽しみ方を提示する作品となっている。



「根本にあるのは、ピアノやその他の楽器がもつ魅力を、いろんな形で引き出して伝えたいという想いです。今回はピアノのソロ以外にも、ストリングス、ギターやドラムなど多くの楽器とさまざまなジャンルの音楽を収録しました。ピアノ一つとっても、いろんな表情があることを面白がってもらえたら」


■アレンジして怒られた


 アルバムではショパンのノクターンやベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴(ひそう)」など、聞き覚えのあるクラシックの名曲が、清塚の手によって新たな魅力を持つ楽曲に生まれ変わった。


「元の曲の理解度があるからこそ、良い部分を引き出せたのではと満足しています」


 アレンジといえば、クラシック音楽業界では“ご法度(はっと)”のイメージがあるが、こう話す。


「子どものころからアレンジするのが大好き。最近では動画等で発信する方が増えて、受け入れられやすくなったと感じますが、当時は先生によく怒られていましたね」


 羽生結弦さんのショートプログラム用に編曲した「ロンド・カプリチオーソ」や、音楽監督として劇中音楽を手がけたミュージカル「ゴヤ─GOYA─」などの話題曲も収録される。


「フィギュアスケートもミュージカルの楽曲も、時間ぴったりにする制約やコンセプトがあるから難しかった。その分、曲作りにメリハリも生まれて楽しかったです。自分ひとりではここまでストイックにはできなかった。息つく暇もないので、演奏時はコンクールに出る気分です」



 清塚のコンサートでは、演奏だけでなく、漫談家さながらのトークが観客をひきつける。「笑うためにコンサートに行く」人もいるとか。テレビ番組で目にする機会も多いが、そのトーク力はどこで磨かれたのか。


「どこでしょうね(笑)。楽曲の説明はあいさつ代わりにしたいのですが、中学生のとき、『ショパンがこう考えて作った曲です』と言ったら、先生に『品がない、無礼だ』とものすごく怒られて(笑)。でも負けずに続けました。クラシックというだけでハードルが高いので、私は観客と音楽の距離感を縮める努力をしたいんです。作曲家の意外なエピソードを話すと笑いが起きる。覚えてもらえる。気づいたら、笑いばかりになっていました(笑)」


■聴きたい曲を届けたい


 現在は来年にかけて47都道府県をまわるツアーの真っ最中。「毎回、どんなピアノやお客さんに出会えるのか、楽しみです。ピアノやホールの響きに合わせてアレンジも変えているんです」と話す。今後についても、こう語った。


「音楽には波というものがあって、それをキャッチしてみなさんが聴きたいと思っている曲を提供したいんです。お題に答えられたという快感がある。自分の中にある芸術性、音楽を理解してほしいのは二の次ですかね。今まであまりやってきていない歌作りにも挑戦したいです。作詞家とご一緒して、言葉のつく音楽の魅力を届けていけたら」


(ライター・小林佳世)


※AERA 2022年12月5日号


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