複数車種で参戦したシシリーMSが10年の活動に終止符。モーガンは名門WSR移籍へ/BTCC

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2022年12月02日 14:51  AUTOSPORT web

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トヨタ・アヴェンシスや3代目メルセデス・ベンツAクラス、そして直近にはBMW3シリーズを走らせてきたCiceley Motorsportが、約10年間の活動に終止符を打つことを発表
 2013年からBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦し、トヨタ・アヴェンシスや3代目メルセデス・ベンツAクラス、そして直近にはBMW3シリーズを走らせてきたシシリー・モータースポーツが、約10年間の活動に終止符を打つことを発表した。これにともないチームのエースを担ってきたアダム・モーガンは、2023年に向け名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)への移籍がアナウンスされ、同じくサテライトでの残留が発表されたジェイク・ヒル(MBモータースポーツ・パワード・バイ・ロキット/BMW 330e Mスポーツ)らと共闘することが決まった。

 またBTCCを運営するTOCAは、導入初年度を成功裡に終えたハイブリッド規則の改正と、オプションタイヤの復活などを含む来季スポーティング規則の改定も発表している。

 息子のアダムを擁してBTCCへの新規参入を果たしたシシリーは、その活動期間においてトム・オリファントやダニエル・ロウボトム、ジョージ・ギャンブルなどのキャリアアップを助け、モーガンとともに11勝、ギャンブルで1勝の通算12勝を獲得してきた。しかしチームは来季2023年に向けて、彼の地で盛んなヒストリック系の競技に集中する計画を立て、ツーリングカー最高峰での旅を終える決断を下した。

「信じられないほどの旅だった。私とアダムは彼が7歳の時から“父と子”としてレース活動をしてきたから、こうして最後の瞬間を迎えるのは非常に感情的な決定でもあったんだ」と語るのは、チーム代表のラッセル・モーガン。

「最初は自宅のガレージから始まり、後に英国最高レベルで競争するプロのレースチームに成長したシシリー・モータースポーツでの実績を、心から誇りに思っている。しかし今こそ、変化のときだ」

 その発表から数日後、去就が注目されていた現在34歳のアダムは、シリーズを代表するトップチームであるWSRへの移籍をアナウンス。シリーズがNGTC規定車両を採用して以降300戦以上に出走した唯一のドライバーであり、過去2年間はそのWSRが製造したBMW(330i Mスポーツ/330e Mスポーツ)をドライブしてきただけに、強豪への加入が自身のキャリアを「飛躍させる」との野心を抱く。

「BTCCで最高のチームに加わることができ、これ以上ないほど興奮している。本社ファクトリーの廊下を抜け、壁に飾られた数多くのトロフィーや写真を見た。セナ、ハッキネン、マンセル、そしてワークショップでのマシンの準備方法……なぜ彼らが多くの勝利を収めたのか、それが明確に理解できたよ」と、移籍の喜びを語ったアダム。

「ご存知のとおり過去2年間は、彼らWSR製のBMWでレースをしてきたから、クルマのことは充分に良く知っている。キャリアで初めて他チームで仕事を始めるが、とにかくドライブに集中するつもりだ。これまでチームメイトは全員がルーキーだったから、リードドライバーとしてセットアップ作業の大部分を担うことがつねに期待されていたからね」と来季2023年に向けて、WSR最初の契約発表ドライバーとなったアダム。

「それはWSRには当てはまらないだろうし、そこから学び、自分自身を高めて、これまでで最高のドライバーになることができるだろう。新シーズンを始めるのが待ち切れないね!」

 一方、今季2022年よりMBモータースポーツとのジョイントチームという形でWSRに参画した28歳のジェイク・ヒルも、引き続き元F1ドライバーのマーク・ブランデルが率いる組織とともに契約を更新し、拡張されたWSRプログラムの一環として来季もBMW 330e Mスポーツを走らせることがアナウンスされた。

■2023年に向け、ハイブリッドシステムの運用方法を改定

「2023年シーズンに向けて、こんなに早くすべてに署名し、捺印し、体制を発表することができて本当に喜んでいる。2020年以来、MBモータースポーツが僕に示してくれた継続的なサポートと信頼に深く感謝している」と、今季は最終戦までタイトル戦線に絡み続けたヒル。

「パートナーシップのおかげで、このBMW 330e Mスポーツがふたたびグリッドの最前線に戻るのは間違いない。僕にとって、昨季は本当にチャンピオンシップに到達した年のように感じているんだ。2023年に向けプログラムで一貫性を保てたことは、僕のBTCCキャリアで初めてのことだし大きな助けになるだろうね!」

 こうして2名のドライバーを迎え入れたWSR代表のディック・ベネットも、双方をラインアップの一部に迎え入れたことを「喜んでいる」と歓迎の意を示した。

「まず、冬の早い時期にこの発表を行い、アダムをWSRに連れてくることができてうれしく思う。彼は優れたドライバーであり、駆動方式に寄らずさまざまな車種で勝利を挙げ、チームリーダーとしての役割を果たすことができると証明してきた。何より彼は330i Mスポーツと、初めてハイブリッド機構を搭載した330e Mスポーツの双方で優勝を飾っていて、パドックでは誰からも敬愛されているからね」と続けたベネット。

「そしてジェイクやMBモータースポーツと一緒に仕事をすることは、我々にとっても新しい取り決めであり、真に成功を収めたデビューキャンペーンを経た判断だ。ジェイクは、この分野でもっとも熟練した献身的な競技者のひとりであり、彼が成長を続けるのを支援できるのは楽しみだ。我々としても、マーク・ブランデルや彼のチームと非常に強い関係を築いており、新シーズンで一緒に達成できることに非常に大きな期待を寄せている」

 一方、その導入初年度から従来の『サクセスバラスト』の役割も担った共通ハイブリッド機構の運用に関し、来季2年目の運用には「より大きな影響」を与えるようアレンジが加えられた。

 従来はトップ10のドライバーに対し、予選と3つのレースで利用可能なハイブリッドの量を減らす措置が取られていたが、これを選手権上位7台、または以前のレース結果に基づく上位7台に変更。その上で、展開可能な最低速度を「引き上げる」ことで、より低速から利用可能な後方グリッドのドライバーにアドバンテージがもたらされる。

 さらにシステムを使用できるのはレースラップの50%のみとなり、セーフティカーラン後の最初のラップでも利用を解禁し、その利用可能最小時間が5秒に延長されている。

 その変更に加えて、オプションタイヤはチームとドライバーの「全会一致の要求」で再導入され、週末3ヒートのいずれかで使用が義務付けに。これによりスネッタートンとクロフトの両方で3種類のコンパウンドが使用され、スラクストンではもっとも硬いコンパウンドのみが用意される。

 また、以前より一部ラウンドで導入実績のある“トップ10ショーダウン”の予選フォーマットも再導入され、30分間の計時セッションに続いてトップ10ドライバーによる10分間のポール獲得枠が、ドニントンパーク、ブランズハッチ・インディ、オールトンパーク、ノックヒル、そしてシルバーストーンで実施される。

「2023年に向けた変更は、チャンピオンシップのコアバリューを維持するための施策になる。BTCCを可能な限り競争力があり、予測不可能で、エキサイティングで面白いものにすることだけが狙いだ」と語るのは、シリーズの最高経営責任者を務めるアラン・ゴウ。

「チームやドライバーからオプションタイヤを2023年に戻すよう、シーズンを通じて懇願されてきた。なぜなら、彼らはそれが提供する挑戦を本当に楽しんでいるからだ。同様にハイブリッドを使用した最初の1年からデータ収集と学習を行い、ハイブリッドの展開方法を微調整する方法を定めた。これでドライバーはフィールド全体で、いつ、どこで、どのようにハイブリッドを使用するかについて、より戦略的になる必要があるだろうね」

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