上島竜兵さん 2022年、亡くなった著名人への惜別の思い…。上島竜兵さんへ、ダチョウ倶楽部のリーダー・肥後克広さんが語る。
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喪失感をずっと感じています。上島ロスですよ。
オンのときは目の前の仕事に必死なので大丈夫なんです。でも、舞台の袖で出番を待っているときとか、楽屋に戻ったときとか、オフに切り替わった瞬間、また会いたいなあ、もう会えないなあ、何してるのかなあって。何もしてないんだろうけど(笑)。
ダチョウ倶楽部といえばリアクション芸だけど、僕らは元来、設定があって演じるコント師。だから、当初は大きいリアクションで笑いを取る芸に対しては正直引いていたんですよ。でもそうなるとテレビ局から「元気がない」「全然だめだ」ってクレームが来る。
このままじゃだめだ、何かしないと、と思っていたときです。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」の番組収録で、ある企画があまり盛り上がらないので、たけしさんが井手らっきょさんに「お前ケツ出して裸になって、バカヤローで終わらそう」って言ったんです。
それを聞いた上島が僕に「井手さんより先にお尻出していいかな」って相談してきたんです。僕は「師弟関係に割って入るのはやめたほうがいい」って言ったんだけど、「いや、やってみる」って。イチかバチかの賭けです。もしかしたら干されるかもしれない。
でも、それを見たたけしさんが大笑いして「ああいうばかがいるんじゃねえか、いいじゃんダチョウ倶楽部」って。それから上島の中で何かが弾けて、リアクターとしての立ち位置ができてきて、今の芸風になった。
上島は人間の業を包み隠さない、いとおしい存在でした。スケベだしケチだし怠け者だし。小細工なしにすべてさらけ出すから、すごいなと思ってた。本人は隠してたつもりなんでしょうけどね(笑)。
唐突な別れ方にダメ出しはしますけど、僕らがここまでこられたのは上島のおかげ。感謝です。
今、純烈さんと一緒に仕事させてもらうなど、悲しみを何とか「くるりんぱ」している最中。(寺門)ジモンと二人でダチョウ倶楽部を成立させようと奮闘しています。上島と作り上げた伝統芸能「熱湯風呂」「あつあつおでん」も続けていきます。上島、今もそこで見てくれているかなあ。
※週刊朝日 2022年12月16日号