入山法子「キレイ」より嬉しい褒め言葉は「○○顔」

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2022年12月10日 17:30  ソーシャルトレンドニュース

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"入山法子「キレイ」より嬉しい褒め言葉は「○○顔」"

デビューから18年目を迎えた女優・入山法子。最近では、連続テレビ小説『エール』や『雪女と蟹を食う』など幸が薄めの女性の役も多く、最新出演作となる映画『天上の花』の中でも、16年想われ続けてきたにも関わらず、結婚するとDVを受けるという壮絶な人生を生きている。そんな幸の薄い女性の役が多く来ることに彼女は何を感じ、そして何を言うと幸せを感じてくれるのか――永遠のオトナ童貞のための文化系WEBマガジン・チェリーが迫った。


詩人の世界に浸かって……



――『天上の花』で演じたのは詩人・三好達治の妻で萩原朔太郎の妹ということで、作中にもたくさん詩が引用されています。入山さんの心に残った詩はありましたか?


入山「冒頭の『海よ 僕らの使ふ文字では お前の中に母がゐる そして母よ 仏蘭西人の言葉では あなたの中に海がある』ですね。すごくロマンチックですし、母のことを書いているところに男性っぽさも感じます。選ぶ言葉やリズムもすごく神経を使って考え込まれて書いているんだなあと思いました」


――萩原朔太郎・三好達治に限らず、普段の入山さんがいいなと思う詩も教えてください!


入山「尾崎放哉の『咳をしても一人』ですかね。すごくひとりぼっち感があるじゃないですか(笑)。それに、自分が今いる空間をすごく面白い目線で見て、孤独なんだけど、その孤独を楽しんで書いている感じもして好きですね」


ひとりの人を好きでい続けるのは才能


――本作は、三好達治が16年の間片思いをし続けてきたという、なかなかディープな気持ちが描かれています。そんな男性のことはどう思われますか?


入山「今は恋愛的な気持ちが、あんまり私の近くにないので、想像しづらくはあるんですが……想いを告げずに好きでい続けるっていうのは才能ですよね。ただあの頃の三好達治に何を言っても聞く耳を持ってくれなそうですよね(笑)」


――ある種、周りが見えない状態になっていますよね(笑)。入山さんが三好のように想い続ける立場だったらいかがでしょうか?


入山「伝えないでいるのはしんどいですよね。それなら、伝えてしんどくなるほうを、私だったら選ぶと思います」


「キレイ」より嬉しい褒め言葉は「○○顔」


――演じた慶子という女性と入山さんご自身に重なりはありましたか?


入山「うーん……全然違いますね(笑)」


――たしかに、重なりすぎていても怖いですが(笑)


入山「慶子も慶子でとても複雑な人なので……。自分には詩を書く才能もなければ、詩を理解できる感覚もないしで、お兄さんにコンプレックスを持っていたのかもしれないですし」


――慶子が言う『私は私のことをキレイだっていう男が本当は嫌いなの』という台詞は闇の深さを感じて怖くもありました。


入山「彼女は外見じゃないところを褒めてほしかったというか、『女性としてキレイだからそばにいて欲しい』という感情で求められたくはない人だったんでしょうね。だからこそ、高価な着物をもらう、といった単純な方法でしか愛を実感できなかったんじゃないでしょうか。もっと寄り添ってくれる人がいれば『自分のことをキレイっていう人が嫌い』なんて複雑な感情にはならなったのでは……と思います」



――『自分のことをキレイって言う人が嫌い』という感覚は、入山さんもわかる部分はありますか?


入山「私自身もどちらかというと、そういうところはあるかもしれないです。『キレイ』よりも『面白い』とかの褒め言葉のほうが信用できるというか……」


――とはいえ、入山さんを前にしたら多くの人が『キレイ』と口走ってしまうのでは……?


入山「ないです!全然言われないなぁ……(笑)。あ、前に違う作品の監督に『キレイとかかわいいっていうよりも入山さんはファニーフェイスだよね』って言われたときは、すごくしっくりきたというか、嬉しかったですね」


“不幸な女性”のオファーを多くもらって……


――お話を聞いていてもなかなか一筋縄ではいかない役ではあると思うのですが、この作品への出演の話がきたときは、どうお感じになりましたか?


入山「準備稿を読んで、精神的にも肉体的にもハードになるだろうなと思って不安はありました。ただちょうど、お芝居に没頭したい欲のようなものが高まっていた時期だったので、『やらせてください』とお返事しました」


――そんな時期に来ていたんですね。


入山「いただいたものをがむしゃらにやっていた時期を通り過ぎ、自分でやりたいものがだんだん見えてきたといいますか。これまでだんだんと重なってきたものを何かにぶつけたい、という感情が湧いてきていたんです」



――デビューから18年、そろそろ20周年も見えてきましたがやはり心情に変化は起きるものなんですね。


入山「30代になって、自分がどう見られたい、こう思われたい、という欲が薄まっていって……。自分は自分であればいいんだ、と思えるようになりました」


――自分であった結果……かはわかりませんが、今回の慶子も含めて、最近の入山さんは幸が薄そうな役が多いですよね(笑)。


入山「不幸そうな女性の役があったときに、私の名前を挙げてもらえるというのはひとつの武器なのかな、と思っています。すごく喜ばしいことなので、不幸な役を元気いっぱいやっています(笑)」


(取材・文:霜田明寛 撮影:中場敏博)

作品情報
『天上の花』



原作:萩原葉子『天上の花ー三好達治抄ー』
監督:片嶋一貴 脚本:五藤さや香、荒井晴彦
出演:東出昌大 入山法子 有森也実 吹越満 ほか
配給宣伝:太秦
©︎2022「天上の花」製作運動体
12月9日(金)より新宿武蔵野館、ユーロスペース、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺他順次公開

www.tenjyonohana.com
Twitter:@tenjyonohana


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