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企業が従業員に支払った休業手当を国が補助する雇用調整助成金(雇調金)をめぐり発覚したコロナ下での不正受給が、昨年12月末時点で1221件、総額187億8千万円に達したことが厚生労働省への取材で分かった。前回集計した同9月末時点に比べて301件、51億9千万円増えた。
不正の発覚が急増しているのは、全国の労働局が調査を強化しているためだ。雇調金はコロナ禍を受けて助成額などを拡充したことで企業の申請が殺到。労働局は対応に追われた。だが感染状況が落ち着き、申請も減ったことで、不正の調査により多くの人手を振り向けているという。
厚労省は2020年以降を対象に、休業の偽装や受給額の水増しなどの不正を確認して支給決定を取り消した金額を集計している。雇用保険に非加入の非正規労働者らの休業手当を補助する「緊急雇用安定助成金」の不正も含む。
企業は、不正をした月の受給額はペナルティーとして2割を上乗せして返還しなければならず、途中で不正行為をやめていたとしても、翌月以降の受給分も全額の返還を求められる。ペナルティー分も含めて昨年12月末までに厚労省が回収したのは128億7千万円。不正総額の7割弱にとどまり、以前より回収の遅れが目立ってきた。
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