SNS投稿めぐり岡口裁判官に賠償命令、女子高生殺人事件の遺族「残念」「理解できない部分も」

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2023年01月27日 16:31  弁護士ドットコム

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仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)のSNSなどへの投稿により、名誉を毀損されたなどとして、女子高生殺害事件の遺族が165万円の損害賠償を求めていた裁判の判決で、東京地裁(清野正彦裁判長)は1月27日、岡口裁判官に44万円の賠償を命じた。


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原告の岩瀬正史さん、裕見子さん夫妻と代理人が判決後、会見を開いた。2人は「率直にいうと、残念という方が強い。一番の本丸である洗脳発言には一定の評価をいただけましたが、その他の評価については、理解できない部分が多々ありました」と話し、控訴については検討中とした。



●「洗脳されてしまい」などの投稿

判決などによると、両親が訴えた岡口氏の発言は、2015年11月に娘の加奈さんが殺害された事件をめぐる3つの投稿。



(1)ツイッターに判決文のURLを貼った上で、「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男 そんな男に無惨にも殺されてしまった17歳の女性」と投稿。



(2)両親が岡口氏が当時所属していた東京高裁に抗議した後の2018年10月、自身のブログに「遺族には申し訳ないが、これでは単に因縁をつけているだけですよ」と投稿。



(3)2019年11月、フェイスブックに「遺族の方々は、東京高裁を非難するのではなく、そのアップのリンクを貼った俺を非難するようにと、東京高裁事務局などに洗脳されてしまい、いまだに、それを続けられています」旨を投稿。



清野裁判長は、(3)の「洗脳発言」について、「原告らの名誉を違法に毀損するものであるとともに、事実に反して原告らの人格等を否定する侮辱的表現でもある」として、不法行為を構成すると判断した。



●遺族「最後までやりきりたい」

2018年3月に岡口裁判官が東京高裁から厳重注意処分を受けた際、裕見子さんは「もうこれで終わるんだ」と思ったという。しかし、その後も投稿は繰り返され、加奈さんの命日に「洗脳発言」が投稿された。



「訴訟を起こさなければもう解決できないんだなと思わなければならなかったのが、やはり苦しかったですし悔しかったです」(裕見子さん)「やられた、抗議した、やり返された。ずっとその構図です」(正史さん)



2021年6月に提訴してから、判決まで約1年半。裁判の中でも岡口裁判官から直接の謝罪はなかった。



裕見子さんは「SNSでごめんなさいって言ったら、謝罪したことになっちゃっている。私たちは直接の謝罪を受けていませんし、したいとも言われていません」。正史さんも「(被告側から)話し合いによる和解をしたいと言われていたけど、被告本人が一度も出廷していないし、どういう意識でいらっしゃるのか見えません」と話す。



控訴については、これから代理人弁護士と相談する予定。



裕見子さんは「自分達でやりきろうと思ったのは最初から決めていたことなので、娘の名誉のためにも、自分達の名誉のためにも、最後までやりきりたいという思いはあります」と話した。


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