トヨタ、WRCスウェーデンで大会4連覇と開幕2連勝を目指す。勝田貴元が初のワークスノミネート

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2023年02月06日 06:40  AUTOSPORT web

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カッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、勝田貴元の3台体制でWRC第2戦ラリー・スウェーデンに参戦するTOYOTA GAZOO Racing WRTのトヨタGRヤリス・ラリー1
 トヨタGRヤリス・ラリー1でWRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRT(TGR WRT)は、2月9〜12日にかけてスウェーデンで開催される2023年シーズン第2戦『ラリー・スウェーデン』に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組の3台体制で臨み、1月に行われた第1戦『ラリー・モンテカルロ』に続く開幕2連勝と、ラリー・スウェーデンでの4大会連続優勝を目指す。

 1950年に第1回大会が開催されたラリー・スウェーデン。この歴史あるイベントは近年の雪不足の影響から、より豊富な積雪を求めて昨季2022年から開催地が北部のウメオに移され、それにともないステージが一新された。

 シーズン中唯一のスノーラリーとなる同ラリーでは、金属製のスタッド(=鋲/スパイク)が埋め込まれた雪道専用のタイヤが使用されることが他のイベントと異なる点だ。スタッドタイヤと呼ばれるこのタイヤは、氷雪路面に金属鋲が食い込むことで非常に高いグリップ力を発揮する。このため雪壁に囲まれた森林地帯でありながらハイスピードなラリーが展開されるのもラリー・スウェーデンの特徴となっている。

 トヨタが4連覇を狙う今大会は、9日(木)の午前中にシェイクダウンが行われ、その晩のSS1“ウメオ・スプリント1”から競技がスタートする。デイ2が行われる10日(金)はラリーの拠点となるウメオの西側から北側にかけてのエリアでSS2〜SS8が実施される。7本のSSの内もっとも北側に設定されたSS4/7“ボッツマーク”は2023年に新たに設けられたステージだ。

 競技3日目となる11日(土)は)ウメオの北側でSS9〜SS15の計7本、最終日デイ4の12日(日)はウメオ北東でのSS16とSS17に加え、SS15の再走ステージでありパワーステージに指定されている最終SS“ウメオ2“の計3本が予定されている。

 都合18SSの合計距離は301.18km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は1194.16kmとなる。

 TGR WRTはラリー・スウェーデンとの相性が良く、WRC復帰初年度の2017年には現チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラが優勝、チームに初優勝をもたらした。また、2022年のスウェーデンではロバンペラが、当時デビュー2戦目だったトヨタGRヤリス・ラリー1を初優勝に導き、自身の王座獲得の礎となった3連勝の第一歩としている。

 そのロバンペラはスノーラリーを得意としており、トップカテゴリー参戦初年度だった2020年のラリー・スウェーデンで3位表彰台を獲得。前述のとおり2022年大会では優勝を飾るなど、幼少期から凍結湖で磨いてきた氷雪上でのドライビングスキルを披露してきた。チームメイトであるエバンスも2020年大会を制した他、昨年もロバンペラと優勝争いを繰り広げ、その速さを示している。

■「貴元に特別なプレッシャーを与えるつもりはない」とラトバラ代表

 そんな彼らとともに、今大会で初めてワークスノミネートを受け3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブする勝田は、2018年のスウェーデンにおいてWRC2カテゴリーで日本人初優勝を飾り、昨年の同大会でもラリー1カーで総合4位を獲得した実績がある。彼もまたスノーラリーを得意としているのだ。

 一方、開幕戦モンテカルロを制したセバスチャン・オジエは今大会には出場しない。既報のとおり、シリーズ8冠王者は2022年と同様にいくつかのラウンドにスポット参戦することになっており、3台目のワークスマシンを勝田とシェアしながらシーズンを戦っていく予定だ。

「事前テストはとてもうまくいった」と語るのは、WRC最年少王者のロバンペラ。

「路面は厚い氷の層で覆われコンディションは完璧だった。ラリー本番の路面もそうあってほしいね」

 僚友のエバンスは「さまざまなオプションを試すことができた」とテストを振り返った。勝田も「クルマのフィーリングがとてもよく、チームは1年前よりもクルマを大きく進化させてくれたので、より大きな自信をもってスウェーデンを戦えることを期待しています」と手応えを感じているようだ。

 TGR WRTのボスであるラトバラは、ラリー・スウェーデンをチーム全員が楽しみにしているとしつつも、冷静かつ慎重な自身の見解を語った。

「開幕戦ラリー・モンテカルロでの結果により、我々は素晴らしいシーズンのスタートを切り、ラリー・スウェーデンに向けて良い感触を得ることができた」

「このラリーは、私たちチーム全員が楽しみにしていて、私自身も出場して走りたいと常に思っているラリーだ。2017年にチームとして初めて優勝し、その時に私がステアリングを握っていたことも含め、多くの良い思い出があるラリーだからね」

「初めてウメオで開催された2022年大会は、積雪が多くとても楽しめた。カッレ(・ロバンペラ)は1番手の出走順から優勝したが、今回も勝てるかどうかはコンディションと、路面にしっかりとした氷の層があるかどうか、それ次第だろう。もし、路面に掃き飛ばさなければならないような雪が多ければカッレはきっと苦労するだろうし、スノーラリーが好きで得意なエルフィン(・エバンス)はより有利な出走順で戦うことができる。」

「(勝田)貴元もスノーラリーは大好きだ。今回初めて我々のチームのポイント獲得対象ドライバーになったが、彼に特別なプレッシャーを与えるつもりはない。ただ昨年と同じように戦ってくれることだけを願っている」

 ラリー・スウェーデンではワークスエントリーのGRヤリス・ラリー1とは別に、4台目の同マシンが初めてプライベーターに貸し出される。このクルマは今回、プラダの御曹司として知られるロレンツォ・ベルテッリがドライブするが、既報のとおりワークスの3台とはまったく異なるカラーリングで出走することになっており、目新しい装いのGRヤリス・ラリー1からも目が離せない。

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