年20万人超死亡、耐性菌から赤ちゃん救え 薬の国際臨床試験が開始

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2023年03月19日 17:05  朝日新聞デジタル

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朝日新聞デジタル

国立国際医療研究センター=東京都新宿区

 抗菌薬(抗生物質)が効かない「薬剤耐性菌」による感染症にかかった赤ちゃんに対する国際臨床試験が今月、始まった。途上国を中心に年間20万人を超える新生児が死亡しているとの推計もある一方、使える薬が大人に比べてずっと少ない。新しい適切な治療法が見つかれば、たくさんの赤ちゃんを救える可能性がある。


 試験を始めたのは、世界保健機関(WHO)などが設立し、耐性菌対策に取り組む国際非営利組織「GARDP(ガードピー)」(本部・スイス)。日本からは、塩野義製薬と国立国際医療研究センター(NCGM)が参加している。


 耐性菌は2019年に世界で127万人が死んだという報告があり、世界的な課題となっている。WHOが勧める最適な薬も通じない耐性菌が拡大し、有効な治療法が求められていた。


 中でも深刻なのが、小さな子どもたちへの感染だ。


 抵抗力の弱い赤ちゃんらは、健康な人なら問題にならないような感染症でも重症化し、ショック症状や多臓器不全などを引き起こす敗血症に至ることがある。先進国と比べて安全な医療が行き届いていない途上国では、重症化したり、死亡したりする例が多い。


 GARDPによると、世界で年間約21万人の新生児が、耐性菌による感染症で亡くなっているという推計がある。また、年間300万人の新生児が耐性菌によって、敗血症の恐れがある感染症にかかっているとの報告もある。


 一方、新しい薬は、動物実験などを経て開発され、まずは成人が対象になる。00年以降に開発され大人には使える抗菌薬のうち、小さな子どもにも使えるのは1割にとどまるという。これから新しい薬を作っても、子どもや赤ちゃんに使えるようになるには数十年かかる可能性がある。今ある薬をうまく使って、救える命を増やせないか探るのが今回の試みだ。


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  • 新しい薬を開発しても、その「新しい薬が効かない耐性菌」が出てくるんだよね。で、また次の薬。つまり「死にたくなければ開発費と利益を製薬会社に永久につぎ込め」という話
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