魚の缶詰で「血管力」を鍛える!キモになるのは「種類と食べ方」“お助け食材”を医師が伝授

2

2023年04月29日 06:00  週刊女性PRIME

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

写真はイメージです

 日本人の死因として最も多い病気は男女ともに「がん」だが、女性の死因第2位の「心疾患」と第4位の「脳血管疾患」は、いずれも血管が硬くなる動脈硬化が主な原因。

血管力チェックリスト

 血管のダメージが最終的に脳に出るか心臓にくるかが違うだけで、いわば同じ「血管病」と捉えることができる。そして女性の場合、この血管病が、がんを抜いて死因第1位になるのだ。

 脳血管疾患には脳梗塞や脳出血、心疾患には心筋梗塞や狭心症が含まれるが、いずれも突然死だけでなく寝たきりに陥るリスクも高く、健康寿命を縮める原因にもなっている。

 血管病を招く動脈硬化に詳しい増田大作医師は「加齢とともに女性に血管病が増える理由には、高血圧や脂質異常、糖尿病といった生活習慣病や喫煙に加えて、女性ホルモンも関係しています」と話す。

「女性ホルモンのエストロゲンは、動脈硬化を悪化させる悪玉コレステロールを減らし、逆に血管の状態を改善してくれる善玉コレステロールを増やします。

 さらに、血管をやわらかく保ったり、血管を拡張して血圧を下げたりと、さまざまな働きで血管を守っている。

 問題はこの救世主のようなホルモンが更年期以降は激減すること。にもかかわらず、これまでと同じ生活を続けていると、一気に動脈硬化が進むことになるのです」(増田医師、以下同)

 実際に女性の悪玉コレステロールの平均値は更年期を境に急増して男性の平均値を抜き、心筋梗塞などの心疾患の発症率も男性に近づいていく。つまり女性は“血管力”を高めることが、男性以上に健康寿命をのばすことにつながるのだ。

 まずは「血管力チェックリスト」で自分の危険度の確認を。たばこや肥満、高血圧などは血管のダメージに直結するが、食事や運動も血管力アップにつながる。

 ラクに続けられる血管若返りワザで“オンナの危機”を乗り切ろう。

血管力チェックリスト
□体重が増えてきた
□たばこを吸う
□運動の習慣がない
□魚より肉を多く食べている
□牛乳、チーズ、バターなど乳製品が好き
□血圧が高くなってきた
□血糖値が高め
上記の内、2つ以上当てはまったら要注意!

 血管を若返らせる、お助け食材の筆頭は魚。ここではお手軽に魚の血管若返り効果を生かせる缶詰のほか、注目の食事法を紹介! 血管を老化させる要注意食材も知っておこう。

血管を守る“善玉”を魚の脂で活性化!

 多くの日本人女性の命を奪う血管病。昨年7月、5年ぶりに改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」でも、女性特有の血管病のリスクについて強調されている。

 増田医師は、「女性の血管病リスクがぐんと高まる更年期以降は、特に脂のとり方が、そのリスクの高さに大きく関係してくる」と警告する。

「悪玉コレステロールには、体内でコレステロールを運ぶ役割があり、これは必要なことです。でも悪玉コレステロールが多すぎると血管壁にたまって動脈硬化を起こし、血管病の原因になります。

 この血管壁にたまったコレステロールを引きぬいたり、傷んだ血管を修復したりしてくれるのが善玉コレステロールです」

 悪玉を減らし、善玉の働きをよくすることが血管病予防になる。そのカギを握るのが脂だという。

「動物性の脂である飽和脂肪酸は、コレステロール値を増やします。ですから、血管を守っていた女性ホルモンの恩恵を失う更年期以降に、脂っこい肉や乳製品を気にせず食べ続けるのは要注意。悪玉の数値が上がって、一気に動脈硬化が進む女性が少なくないのです」

魚の脂の恩恵を缶詰で手軽に享受

 このような困った事態を防ぐのも食事しだい。血管を守る善玉コレステロールを活性化するには、魚の脂に多く含まれるEPAなどの「不飽和脂肪酸」が有効だという。

 そこで活用したいのが、魚料理が苦手な人でも手軽に不飽和脂肪酸をとれる魚の缶詰。

「不飽和脂肪酸は酸化しやすく、酸化すると働きが悪くなるので、活用のコツは酸化させないこと。

 魚の場合も調理による酸化の心配がない刺身がおすすめですが、空気を入れずに加工される缶詰も、酸化させずに食べられます。せっかく魚が豊富な日本にいるのですから、ぜひおいしく健康に生かしてください」

 また、近年、研究が進み、アーモンドやピーナツなどのナッツ類に含まれる脂にも動脈硬化を防ぐ働きがあることがわかっている。手軽なので活用したい。

善玉コレステロールが血管を守る!

【GOOD】
 善玉コレステロールが血管壁にたまったコレステロールを引きぬいてくれる。

【GOOD】
 さらに傷んだ血管の細胞を安定化してくれる。

新常識その1:血管イキイキ!魚缶は種類と食べ方がキモ

 不飽和脂肪酸を多く含む缶詰を紹介。1日1000mg以上摂取することが望ましいとされている。

さば缶/EPA 930mg(水煮・100gあたり)

 水煮缶は肉の代わりに使うなど料理にアレンジしやすいのが魅力。栄養もうまみも豊富な缶汁も捨てずに活用を。

《活用例》
●大根と缶汁でさっと煮に
●ブロッコリーやミニトマトとアクアパッツァに

さば缶のトマト煮込み●1人分のEPA:884mg

 水煮缶+トマトでEPAをおいしくGET!

材料(2人分)
・さば水煮缶……1缶
・トマト缶(カットトマト)……1カップ(200ml)
・玉ねぎ(みじん切り)……大1/4個(50g)
・にんにく(みじん切り)……1かけ分
・オリーブ油……大さじ1
・塩、こしょう……各少々
・ドライパセリ……適量

【作り方】

(1)鍋に油とにんにくを入れて火にかけ、香りが出たら玉ねぎを入れて炒め、さばとトマトを缶汁ごと入れて、弱火で3〜5分煮込む。

(2)塩、こしょうで味を調え、器に盛ってドライパセリをちらす。

いわし缶/EPA 1400mg(かば焼き・100gあたり)

 青魚の中でもEPAが多いのがいわし。味が付いているかば焼きなら、そのまま食べられる手軽さを生かして食卓に。

《活用例》
●そばにトッピング
●海藻や野菜と酢の物に
●刻んだ香味野菜と混ぜご飯に

さけ缶/EPA 630mg(水煮・100gあたり)

 EPAが多いのはカラフトマスなので原材料を確認して。フレーク状や中骨入りなど好みでチョイスできる。

《活用例》
●大根おろしでみぞれあえに
●中骨缶でシーザーサラダに
●野菜とホイル蒸しに

ナッツ類にも血管若返り効果が!

 ナッツ類にもα-リノレン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富。

 動脈硬化予防によいとされる地中海食でも取り上げられ、しかも固形物に閉じ込められているため酸化しにくいというメリットも!

 ただし素焼きなど加工度が少なく、小分けされたものを早めに食べきろう。

新常識その2:血管ボロボロ!乳と脂が動脈硬化を加速

 悪玉コレステロールを増やしてしまう飽和脂肪酸を多く含む要注意食材をピックアップ。これらを減らして、魚にかえるのがベスト!

チーズ/飽和脂肪酸 16.0g(100gあたり)

 チーズには牛乳の飽和脂肪酸が濃縮されている。おつまみで食べすぎないように。

生クリーム/飽和脂肪酸 26.28g(100gあたり)

 スイーツ好き女性は特に気をつけて。おやつは和菓子にするのも一法。

牛カルビ/飽和脂肪酸 12.79g(100gあたり)

 焼き肉の定番、カルビも飽和脂肪酸が豊富。脂がのった和牛に多いので要注意!

鶏肉の皮/飽和脂肪酸 16.3g(100gあたり)

 鶏皮は飽和脂肪酸の塊。「鶏肉はヘルシー」なのは、ささみや胸肉に限った話だ。

教えてくれたのは……増田大作医師●りんくう総合医療センター循環器内科部長。主にコレステロールなどの脂質代謝異常が専門。

取材・文/志賀桂子 イラスト/上田英津子 レシピ/今泉マユ子 写真協力/中川真理子

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定