女性に成りすましてチェスの大会に出場した男性、3年間の出場禁止処分に(ケニア)

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2023年05月02日 16:01  Techinsight Japan

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チェスの選手として知られていた男性、女性部門なら勝てると思ったか? ブルカ姿で女性として大会に出場するも、強すぎてバレてしまった(画像は『BBC 2023年4月14日付「Kenya chess: Male player dons disguise to compete as woman」』のスクリーンショット)
ケニアの首都ナイロビで毎年開催されるチェスの大会「ケニア・オープン(Kenya Open)」が、今年も行われた。22か国から400人以上の選手が集まり、合計4万2千ドル(約560万円)の賞金が懸けられた。女性部門には99人の選手が参加し、ドイツ人のジョセフィン・ハイネマン選手(Josefine Heinemann)が優勝し、賞金3800ドル(約51万円)とトロフィーを勝ち取った。しかし優勝したハイネマン選手よりも注目を浴びたのが、スタンリー・オモンディさんだった。男性のオモンディさんはブルカで全身を覆い、眼鏡をかけた姿で女性として参加したのだ。イギリスの公共放送『BBC』などが伝えている。

イスラム教徒の女性が外出の際に全身を覆い隠す黒いブルカ姿でメガネをかけたスタンリー・オモンディさん(Stanley Omondi、25)は、4月6日から10日に行われた「ケニア・オープン」に、“ミリセント・アウォア(Millicent Awour)”という女性名で登録して出場した。

ケニア国内のチェス連盟である「チェス・ケニア」のバーナード・ワンジャラ会長(Bernard Wanjala)は『BBC Sport Africa』の取材に応じ、はじめはアウォア選手が男性であることに気づかなかったと述べている。女性がブルカを着用していることは普通であり、何の疑いも持っていなかったというワンジャラ会長だったが、少しずつ怪しい点が出てきた。まずチェスは戦いではなく友好を深めるためのゲームだが、アウォア選手は対戦相手に話しかけたり、声を発することもなかったそうだ。そして男性的な靴を履いていたことも気になった。しかし決定的に疑いが深まったのは、非常に強いプレーヤーに勝利したことだった。無名のアウォア選手は、ケニアの女子選手で元ナショナルチャンピオンのグロリア・ジュンバ選手(Gloria Jumba)、ウガンダのトッププレイヤーであるアンパイラ・シャキラ選手(Ampaira Shakira)に圧勝したのだ。ワンジャラ会長によると「トーナメントに出場したことのない無名の選手が、突然非常に強くなることはあり得ない」そうで、アウォア選手を疑い始めた。

大会関係者が宗教的な服装を理由に退場させたと疑われるのを恐れたため、アウォア選手には4回戦まで出場を許可し、その後に呼び出した。アウォア選手は呼び出されても驚くことはなく、素直に男性であることを認めたそうだ。アウォア選手として出場したオモンディさんは、女性と偽って出場したことを謝罪し「タイトルを獲得することで経済的に困難な状況を打開できると思ったから」とその理由を述べた。オモンディさんはチェスの選手として知られていたが、男性部門の試合ではレベルが高く優勝は狙えないと判断し、女性部門なら勝てると思ったのではないかとみられている。その後『BBC』がオモンディさんに取材を試みるも、返答は得られなかったようだ。

同連盟では、過去に年齢を詐称したケースはあったが、今回のような不正は「初めてのことだ」と述べている。その後、同連盟の懲罰委員会は、オモンディさんが初犯であること、そして同委員会の調査に協力的であったことを考慮し、2023年4月20日以降の3年間、同連盟が認可しているすべてのチェスイベントへの出場を禁じるという判断を下した。

画像は『BBC 2023年4月14日付「Kenya chess: Male player dons disguise to compete as woman」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
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