24時間レース初参戦のMAZDA3 Bio conceptはトラブル発生も完走「次に繋がるレースができた」

0

2023年05月30日 20:10  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2023スーパー耐久第2戦富士 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept(寺川和紘/関豊/井尻薫/前田育男/阪口良平/堤優威)
 5月26〜28日に静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2023第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』。ST-Qクラスに参戦するMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは、トラブルに見舞われながらも修復を行い、初の24時間レースを完走した。

 2021年最終戦からスーパー耐久シリーズに参戦を開始したMAZDA SPIRIT RACING。当初は自動車メーカーの開発車両がエントリーするST-Qクラスにバイオディーゼル燃料を使用するMAZDA2 Bio conceptで参戦していたが、2022年最終戦には新型マシンのMAZDA3 Bio conceptを投入し、2023年第2戦富士24時間で同車両初となる24時間レースを迎えた。

 そんなMAZDA SPIRIT RACINGは富士24時間に向けて、MAZDA3 Bio conceptにいくつかのアップデートを施し、万全の体制で24時間レースを戦う予定だった。

「第1戦から第2戦に向けていろいろな改良を行ってきました。とくにディーゼルエンジンはトルクの立ち上がり方がすごく、一気にトルクが立ち上がったりします。それをいかに直すかを課題にしてきました」と語るのは、マツダ役員としてシニアフェロー・ブランドデザインを努め、MAZDA SPIRIT RACINGではチーム代表兼ドライバーとしてスーパー耐久に参戦する前田育男だ。

「MAZDA3 Bio conceptはミッションをどう補強しても難しい部分があります。四輪駆動やリヤ駆動だったらまだしも、前輪駆動でこのトルクの立ち上がり方をするマシンは世界をみてもありません。ですが、そういった難しいクルマを選んでしまっているのは私の責任でもあるので、なんとかしなければいけないと思っています(苦笑)」

 前田代表は、富士24時間に向けてシフトアップ・ダウン時にトルクを少しカットするなどの細かい電子制御の見直し、さらにフロントグリルの開口部やインタークーラーのサイズを拡大して油温やミッションの熱対策を行い、「考えられることはすべてやってきました」と語っていた。

 そして迎えた富士24時間の本戦。MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは27日15時にスタートが切られた決勝レース序盤は快調な走行をみせた。しかし、夜間走行に入った11時30分ごろ、阪口良平のドライブ中にスロー走行となり、ダンロップコーナー立ち上がりにマシンを止めてしまう。

 レース後、前田代表はトラブルについて「ハブボルトが折れてしまいました。ちょっと想定していなかったです……いや、想定していれば良かったんでしょうけどね……」と言葉少なく振り返る。

 このコース上でのストップによりMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは一時リペアエリアにマシンが運ばれ、ピットガレージでの作業とあわせて2時間ほどの修復作業を強いられることに。

「富士24時間に向けていろいろな対策や準備を行ってきました。ただ、それでもトラブルが出てしまうのがレースなんです」と肩を落とす前田代表。このトラブルを修復しレースに復帰したMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは計529周を走破してチェッカーフラッグを受け、初の24時間レースを完走。「でも、次回に繋がるレースができたと思っています」と前田代表は続け、すでに次戦を見据えていた。

 前田代表によると、現時点でMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptが狙っているのは「ST-4クラスのマシンと勝負できるくらいの速度域」だという。さらにその後は、同じST-Qクラスに参戦するORC ROOKIE GR86 CNF Concept、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptのライバル対決に割って入り、ファンたちに「トヨタ、スバル、マツダという3メーカーバトルを見せることができれば最高ですよね」と目標を述べた。

 2023年の富士24時間の予選タイムでは、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは3分54秒961を記録し、ST-4クラストップのシェイドレーシング GR86は3分56秒422と、MAZDA3 Bio conceptがST-4クラスを上回る速さを披露したが、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptの3分50秒389には少し開きがある。

 マシンの速さという点では確実に進化を遂げているMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept。あとは信頼性を確保できれば目標であるGR86 CNF Concept、BRZ CNF Conceptの対決に割って入ることもできるかもしれない。しかしMAZDA3 Bio conceptはまだデビュー3戦目。24時間レースを経験したマシンは、これから真価を発揮していくだろう。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定