WEC育成としてル・マンに向かう宮田莉朋の覚悟と役割「海外に行かないとレースを続けられない。ガンガン話しかけたい」

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2023年06月02日 20:30  AUTOSPORT web

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スーパーGTにau TOM'S GR Supraから参戦している宮田莉朋
 5月末にTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の将来のWEC世界耐久選手権のドライバーの育成・輩出を目的としたTGR WECチャレンジプログラムに選出された宮田莉朋。次のWECトヨタ陣営の有力ドライバー候補として期待が高まるなか、実際に今季はどのような仕事を担うことになるのか。au TOM'S GR Supraで参戦するスーパーGT第3戦鈴鹿で、その感想と自身の役割について聞いた。

「去年もシミュレーターでのテストに(ドイツTGR-Eファクトリーに)行っていたのですけど、もともと海外に行きたいと言ってきていましたし、去年、37号車でサッシャ・フェネストラズと組んで、彼は今年フォーミュラEに参戦していますけど、今も連絡を取り合っていて、サッシャも彼自身、日本のレースがベストだと思いつつも『チャンスを広げるためには世界に行かなきゃいけない』と、彼からも言われていました。そうするためにトヨタにもアピールしてきて、そうした流れで今回のような形で実現することができた。ようやくチャンスが来たという素直な嬉しさと、感謝の気持ちがあります」

 スーパーGT第3戦鈴鹿後には、すぐに翌週に決勝が行われるル・マン24時間に向けて渡仏することになる。

「火曜の昼にはフランスに行きますが、そこまで忙しくはないです。行ってすぐに帰ってくるという蜻蛉返りではないですしね」

 実際、宮田のル・マンの現場での役割はどのようなものになるのだろう。

「基本はチームに帯同して、一緒に無線を着けてコミニュケーションの仕方を重点的に学んで、チームに溶け込むというのが第一です。そのなかで得たものをきちんと自分で吸収して、これからに活かしていかないといけない。僕としては今はドライバーの背中を押すことくらいしかサポートできないので、みんな先輩なのであまり生意気なことは言えないですが(苦笑)、役割としてはそのくらいです」

「それにせっかくの機会ですので、カート時代のチームメイトだったり、過去にレースをした海外のドライバーにも会えるので、ひさびさに会って、たくさん会話をしたいなと思っています」

 小林可夢偉チーム代表、先輩ドライバーの平川亮などから事前に何かアドバイスのようなものはあったのか。

「可夢偉さんからは『じゃんじゃん、話し掛けろよ』と言われています。僕もそのつもりでしたし、僕はもともと外国人の会話というか、ミスがあった時も『お前のせいだ』『俺が悪かった』と言ったストレートでフラットな部分が好きでしたし、そういった環境で協調していかないとこの世界で生き残れないというのはカート時代から見てきました。そういった環境は僕にとって刺激的ですし、そうしていかないと上のカテゴリーには上がれないと思ってやってきています。英語の部分でも小さい時からずっと勉強してきて、まだ心配は部分はありますけど(苦笑)、言葉は話さない限り上達しないので、わからないことはじゃんじゃん声を掛けて、たくさん聞いて、吸収したいと思います」

 スーパーGT鈴鹿のあとはル・マン、そしてスーパーフォーミュラ(SF)第5戦SUGO、SF富士テスト、そしてドイツのTGR-E、イタリアのトレーニングラボ、そして7月2週目のWEC第5戦モンツァと、宮田の今季のスケジュールは慌ただしいものになるが、基本的にWECでの仕事はファクトリーでのシミュレーターとフィジカルのテストになるという。

「去年、シミュレーターテストをやって、レギュラードライバーと変わらないタイムを出せたり、逆に自分の方が速いコースもありました。シミュレーターは普段、僕もやっていることなので(eスポーツプロとして海外チームとも契約)、その走り以上に英語できちんとコミュニケーションが取れるかどうかを、(中嶋)一貴さん(TGR-E副会長)含めてスタッフのみなさんが注視していた。その第一次関門をクリアできたことで採用されたということもあると思います。まだまだ僕の英語も完璧ではないですし、学ばなければいけない部分はたくさんある。やっぱり、海外に行かないとレースが続けられないと思っているので、積極的にコミュニケーションを取って行きたいですね」

 タラレバで、WECのレギュラードライバーに何かあった場合、宮田に乗るチャンスはあるのだろうか?

「まだ、そこに関しては全然わからないですね。ただ、ル・マンとかWECとかの土俵には第一優先ドライバーとして僕がいることは間違いありません。あとはどのような形で乗れるのか、それはまだわからないです。自分としてはテストでもなんでも、いつ乗るタイミングが来ても大丈夫なように準備をしているつもりですし、そういう時に一番問題になるのはコミュニケーション力だと思うので、伝わらないことを恐れずに、ガンガン話しかけて成長していけたらなと思います」

 中嶋一貴に小林可夢偉、そして平川亮、その他にも数々の国内ドライバーがWECのトヨタに挑戦してきたが、その中でも宮田はまだ23歳と、年齢的にも大きな可能性を残している。今後、どのようなステップを踏んでいくのか、今季の国内での活躍とともに見守りたい。

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