リタイア続出、大波乱のデイ3。大雨で躍進ヌービルが首位浮上。勝田はスプラッシュに泣く/WRCイタリア

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2023年06月04日 12:00  AUTOSPORT web

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総合首位に浮上したティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア
 WRC世界ラリー選手権第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』のデイ3は波乱の一日となった。6月3日(土)、イタリアはサルディニア島で開催されているグラベル(未舗装路)ラリーの競技3日目はSS8〜15が行われ、アクシデントが多発するなか安定感のある走りを続けたティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)がトップに浮上。最終日を前にラリーリーダーとなっている。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、オープニングのSS8でクルマにダメージを負いデイリタイアを喫した。

 前日のデイ2で、エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)を相手に首位争いを繰り広げたセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が戦列を離れる、まさかの事態となったラリー・イタリア・サルディニアのデイ3。この日は午前中は晴れ間も見られたが、午後は集中豪雨に見舞われる瞬間もあり非常に滑りやすい難しい路面コンディションでのラリーとなった。

 コンマ1秒差で並ぶラッピとオジエを追いかけるかたちで競技3日目を迎えたヌービル。今季初優勝に近づいたベルギー人はオープニングのSS8を制した後、午前中最後のステージとなったSS11でふたたびベストタイムを刻み、2番手ラッピとの差を直前の15秒から6.5秒へと縮めることに成功する。

 ヌービルは午後のSS13でも最速タイムを記録しチームメイトと3.1秒差、トップとは7.4秒差とした。このステージでは途中から集中豪雨が選手たちを襲い、出走順が遅かったクルーを中心に打撃を受けることとなった。

 さらなるドラマが待ち受けていたのは、トップ3が接近した状態で迎えたSS14だった。首位を走るオジエが、スタートからわずか1.4km地点の左コーナーで曲がりきれずにコースオフ。デイリタイアを喫することに。また、オジエのクルマが止まっているのをステージ上で確認したラッピが追撃の手を緩めたため、ヌービルが今大会初めて総合首位に浮上している。

 デイ3最後のステージとなったSS15で今大会6度目となるステージウインを果たしたヌービルは、チームメイトのラッピに対して36.4秒のギャップを築いて最終日を迎えることとなった。

 2022年最終戦ラリージャパン以来の優勝を狙うベルギー人は、「フィニッシュできてほっとしている」とコメントした。

「厳しい一日だったが、クルマの調子はどんどん良くなっていった。それでも完璧とは言えないし、まだまだ改善できるはずだ。明日は短いが、トリッキーな日になると思う」

「僕たちはチームにワン・ツー・フィニッシュを持ち帰るために賢いドライブをする必要がある」

■雨による増水の影響か。ウォータースプラッシュが牙を剥く

 シリーズ8冠王者の離脱は、現王者でチャンピオンシップリーダーでもあるカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)のポジションをひとつ上昇させることに繋がった。しかし、ロバンペラは午後のステージでタイヤの摩耗に苦しめられペースダウンを余儀なくされる。この結果、デイ3を終えた時点での上位とのタイム差は50秒ほど拡がり、ラッピから1分14秒遅れての総合3番手となっている。

 チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合4番手ながら、SS10での遅れが響きチームメイトから3分45秒の遅れた。彼は午前中3本目のステージのスプラッシュでラジエーターを破損しただけでなく、エンジンのパワーも失いフィニッシュ直前にストップ。辛くもふたたび走り出すことに成功したが、1分50秒以上のタイムを失ってしまった。

 同様の事件はオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)と勝田にも襲いかかった。勝田はオープニングのSS8でのウォータークロスでフロントを破損するとともにエンジンのパワーを失った。その後ロードセクションでラジエーターを修理したものの、競技続行は難しいとの判断からデイリタイアに。また、タナクもウォータースプラッシュの水が原因で電気系トラブルが発生し、SS9を走破した後にデイリタイアとなっている。

 一方、前日のアクシデントで順位を下げていたダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)は、スプラッシュに泣いた両名とオジエのデイリタイアにより順位を上げ、総合5番手に浮上した。

 彼の後方にはWRC2上位陣が並び、その先頭にはクラスリーダーとなっているMスポーツのアドリアン・フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2)がつけている。これに続くのはアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)と、テーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー2)だ。首位フルモーと2番手ミケルセンのタイム差は25.7秒。

 雨予報が出ているラリー最終日のデイ4は、サービスパークがあるオルビアを起点に島北部エリアで2本のステージを2回ずつ走行する予定。そのうち、最終ステージとなるSS19“サルディニア2”は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスポイントが付与されるパワーステージだ。SS16〜19の合計距離は46.02km。リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は255.50kmとなっている。

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