「エイジングケア」のために息子の血液を輸血、大富豪の施術に賛否両論(米)<動画あり>

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2023年06月06日 21:11  Techinsight Japan

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息子の血漿を輸血した父親(45)。医療診断と治療に年間200万ドル(約2億8000円)をかけており、今回のプロジェクトで生物学的総合年齢が少なくとも5歳は下がったそうだ(画像は『Bryan Johnson 2023年5月23日公開 YouTube「Will My Son’s Blood Make Me Younger?」』のサムネイル)
アメリカの大富豪が、18歳の肉体を取り戻そうと息子の血液を輸血するという施術を行った。このエイジングケアは批判を浴びつつも、長寿や若返りを夢見る人々に希望を与えているようだ。金融ニュースなどを伝える米経済専門番組『Bloomberg』などが伝えている。

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オンライン決済代行サービス「Braintree」の元代表としてテクノロジー分野で名を馳せ、大金を手にしたブライアン・ジョンソンさん(Bryan Johnson、45)が4月3日、米テキサス州ダラス近郊にあるメディカル・スパ「リサージェンス・ウェルネス(Resurgence Wellness)」に息子のタルメージさん(Talmage、17)、父親のリチャードさん(Richard、70)と共に訪れた。早朝に到着した3人の目的は、エイジングケアのために血液を交換することであった。

当日、ブライアンさんはタルメージさんやリチャードさん、そして後述する「プロジェクト・ブループリント(Project Blueprint)」のメンバーと一緒に祝杯をあげた。高級ホテルのロビーに皆が集まり、健康的な朝食を摂ったという。

祝杯の後、まずタルメージさんが体内の血液の約5分の1に相当する1リットルの血液採取を行い、その血液は機械によって血漿(けっしょう)、赤血球、白血球、血小板に分割された。ブライアンさんも同じ手順を経て、息子の血漿を自らに輸血した。リチャードさんは、自分の血液を抜いた後にブライアンさんの血漿を輸血した。

ブライアンさんは、医療診断と治療に年間200万ドル(約2億8000円)をかけているが、今回の3世代にわたる血液の交換は「プロジェクト・ブループリント」という食事・睡眠・スポーツ・医療などからアプローチするプログラムにも関連している。

同プロジェクトにおいてブライアンさんは30人の医師チームの監修の下、レーザーやピーリング、超音波、MRI、心電図、血液検査、大腸内視鏡検査などを毎月受けている。さらにブライアンさんは、数か月にわたって匿名の若いドナーからの血漿を輸血している。血漿の提供者は健康的な生活を送っていること、病気に罹っていないことなど慎重に審査が行われているという。

医療チームによるとプロジェクトの効果は絶大で、ブライアンさんの生物学的総合年齢は少なくとも5歳は下がっているという。ブライアンさんの心臓年齢は37歳、皮膚年齢は28歳、そして肺年齢は18歳ということだ。

ブライアンさんが受ける検査の中には痛みを伴うものもあるというが、彼は検査結果の大部分を公開しており、他の人々がプロジェクトの意義を評価し、利益を得ることを望んでいるそうだ。

しかし「プロジェクト・ブループリント」は、批判の的にさらされている。長寿を目的とした輸血はほとんどの場合、裕福な人が貧困の若者から血液を受け取ることになる。血液提供者は約5500ドル(約77万円)の処置に対して、約100ドル(約1万4000円)のギフトカードを受け取るという。

リチャードさん自身も血液の交換について不安を感じていたようで、「ユタ州出身の自分はかなり保守的で、友人たちはこんなことに挑戦する自分のことを頭がおかしくなったと思うだろう」と話していた。しかし一方で、ブライアンさんを地球上で最も健康的な成人の一人だと評価するリチャードさんは「私は宝くじに当たったようなもの。息子のこれだけの量の血液を体内に入れたことは、何かメリットを生むはずだ」と述べている。実はかつてのブライアンさんとリチャードさんの関係は良好ではなく、リチャードさんは息子一家と距離を置いていた。リチャードさんにとって今回の血液交換は、ブライアンさんたちとの絆を深める機会になったそうだ。

ブライアンさんによる血液交換の試みは「若者の血液には、年老いた身体を若返らせる効果がある」という説に基づいているが、この説はマウスを使った実験で成果が出たものの、人間で実験した例は少なく結論は出ていない。

ロサンゼルスにある「シティ・オブ・ホープ国立医療センター(City of Hope National Medical Center)」の生化学者チャールズ・ブレナー氏(Charles Brenner)は「気持ちが悪く、証拠に基づいていない比較的危険な施術だ」と考えており、「エイジングケアのためにこの施術を考えている人は、長いハイキングに出かけた方がよっぽど良いのではないでしょうか」と話している。また「エイジングケアのための輸血を希望する人たちは、自分の死に対して不安を抱えているのです」と主張した。

ブライアンさんは血液交換についての動画をYouTubeに公開しているが、視聴者からは「あなたがしていることはとても重要なことです。私は物心ついたときから、最低でも100歳までは生きたいと思っていました。あなたの試みは、これからの発明や研究によって、長生きできるという自信を与えてくれました」といったコメントが多数寄せられた。しかし一方で「まさにみんなが思い描く吸血鬼の暮らしをブライアンさんはしている」といった皮肉を込めた意見も届いている。



画像は『Bryan Johnson 2023年5月23日公開 YouTube「Will My Son’s Blood Make Me Younger?」』のサムネイル、『Bloomberg 2023年5月22日付「The Man Who Spends $2 Million a Year to Look 18 Is Swapping Blood With His Father and Son」(Photographer: Magdalena Wosinska)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)

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