「ロングがもう激遅で」「止まり切れるのかな?」「遅いのに守ってゴメン!」【SF Mix Voices 第5戦決勝(2)】

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2023年06月19日 07:50  AUTOSPORT web

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2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
 6月18日、宮城県のスポーツランドSUGOで全日本スーパーフォーミュラ選手権2023年第5戦が行われ、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季2勝目を挙げ、ランキングトップに立った。

 決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、“魔物が棲む”と言われるSUGO戦に挑んだドライバーたちの声を、前編に続いてお届けする。

■山下健太(KONDO RACING) 決勝8位

 土曜フリー走行での好調から一点、予選は13番手に終わった山下。日曜フリー走行、そして8分間のウォームアップでも「ダメだこれ」とセットアップに頭を悩ませていた。

「昨日の予選から調子が悪くなって、今日の朝のフリー走行では一発(のタイム)は出せたのですけど、ロングがもう激遅で……ビリになるのじゃないかというくらいの感じでした」

 しかし、ウォームアップ後に変更を加えた部分が、結果的に決勝のロングランのペース改善に貢献し、「レースが始まってみたら結構、普通のペースで走ることができました」という。

 その後、スタートで10番手に浮上すると、終始入賞圏内を走行。レースも後半の34周目にピットインを実施も、「結果的にはもっと早めにピットに入った方が良かったかなというのはあります」と山下は振り返る。

「でも朝の状況から考えれば、だいぶ普通になったので、そこは良かったと思いますね。次戦の富士は今年表彰台にも上がったコースですし、来週には公式テストもありますので、そこで見ていきたい部分もたくさんあります。そこを見て、ふたたび上位争いをしたいと思います」

■小高一斗(KONDO RACING) 決勝14位

 普段は、抜きどころが少ないと言われているスポーツランドSUGOだが、今年はSF23に変わったこともあってか、何度かサイドバイサイドのシーンが見られた。その中には接触に繋がってしまう場面があったのだが、31周の福住仁嶺(ThreeBond Racing)と小高のバトルでは、2コーナーで両者のタイヤがタッチするという場面が見られた。

 1コーナーで、前を走っていた福住をインから抜きにかかった小高だが、少しラインが膨らんでしまったところに、福住がクロスラインをかけてインを奪う形となった。両者とも引かない2コーナーに進入した際に、接触が起こった。

「1コーナーで僕は前に出たんですけど、ちょっと止まりきれなくて、クロスラインを取られた時に、2コーナーで僕がアウトにいて……しょうがない場面でしたけど、そこで当たってしまいました。あれは無駄だったかなと思います」と小高。マシンへのダメージはなかったが、接触後は縁石に乗り上げる形で一瞬失速したことが響き、最終的に14位でレースを終えた。

「ダメージはなかったのですけど、レコードライン以外のところを走ると、けっこう(路面上の)ゴミを拾って、数周はグリップしなかったです」と小高。「ペースも悪くなかったし、あれさえなければ、あの後にピット入る人たちの前に出られたりしたかもしれなかったりするので、ちょっともったいなかったのかなと思います。今週はフリー走行から調子が悪くなかった中、予選が全てだったのかもしれません」と、意気消沈という様子だった。

■福住仁嶺(ThreeBond Racing) 決勝16位

 その小高とポジションを争っていた福住だが、接触時のことについて聞くと「『遅いのに守ってゴメン!』という感じでした」と苦笑いを見せた。

 前回のオートポリスでも決勝ペースに課題があると語っていたが、今回はそれ以上に手応えがなかったようだ。

「(ペースは)まったくなかったです。フリー走行から手応えはなかったんですけど、ロングランは今まで以上に良くなかったと思うし、周りのチームも改善してきているなというふうに見ています。そういうところで僕たちは前に進めていないなという感じでした」

「何が良くて悪かったのかというのをしっかりと把握しないと、いつまで経っても正解に辿り着けないと思うので、1台体制なので周りと比べてもより努力しないといけないなと思いますし、僕の方でも頑張らないといけないと思うのはもちろんです。チームみんなで考えていきたいなと思います」

 予選では確実に上位に顔を出し始めている福住。手応えも感じつつあるだけに、レースペースの改善は急務と言えるだろう。

■坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 決勝7位

 4番グリッドからスタートした坪井は、一時トップを走行する場面もあったが、ペースが伸び悩み、最終的に7位でレースを終えた。

 スタートで3番手に上がった坪井は、14周目の1コーナーで大湯都史樹(TGM GrandPrix)に対してアウトから抜きにかかったが、1コーナーで挙動を乱してコースオフを喫した大湯と、あわや接触しそうになる場面もあった。

 しかし、坪井は冷静に状況を判断しており「毎年あそこでハーフスピンというか、アウト側かイン側のどちらかの車両がスピンをしているシチュエーションがあったので、1コーナーではマージンを持っていましたし、僕はアウト側だったので、大湯選手の状況をみてアウトから抜ければ良いかなと思っていました」と相手を観察。「イン側(大湯選手)のスピードがけっこう高かったので『それ、止まり切れるのかな?』と様子を見ていたら、止まりきれなかったので、その辺は冷静に判断できたのかなと思います」と語った。

 これで2番手に浮上した数周後に宮田がピットインしたことでトップに浮上した坪井。なかなかペースが上がらないなか35周目まで引っ張ったのだが、その戦略については、このように説明した。

「セーフティカーのリスクもあったので、引っ張る作戦の中でセーフティカーが出てくれれば、違った展開になるかなと思っていましたが、全て裏目に出ちゃいました」

 この戦略についてはさまざまな意見もあるが、坪井は今回の敗因について“自分たちのレースペース”を強調していた。

「(戦略は)すべては結果論です。今日で言うと僕のペースがなかったので、早く入った方が良かったという結論なんですけど、それはセーフティカーが入ったら、また違った展開になったかもしれません。戦略が裏目に出てしまったはしょうがないかなと思いますが、それ以上にレースペースが悪い方が問題です」

「仮に引っ張ってペースが良ければ、前の方で(ピットアウト後に)合流できて、フレッシュタイヤで抜いていける展開でした」

「作戦が悪かったと言うよりは、せっかくトップになって前に誰もいないのに、ペースを上げられなかったから、結果的に7位になってしまいました。仮に周りが動き始めたタイミングで入っていれば、ひとつかふたつくらいポジションは上がったのかなと思います。そもそも表彰台に上がれる次元になかったと思います」

 これでランキング4番手に下がった坪井。これからチャンピオン争いも佳境に差し掛かっていくのだが、「今回はすべてレースペースが原因だったのかなと思います。そこに対して原因を見つけていかないと、後半戦は厳しいのかなと思います」と、少々険しい表情を見せていた。

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