インディカー第8戦ロード・アメリカ:パロウが3番手から逆転で2連勝。チャンピオン争いを独走

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2023年06月19日 12:30  AUTOSPORT web

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優勝を喜ぶアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)
 ロードアメリカで開催されたNTTインディカー・シリーズ第8戦。全面新舗装の施されたロードアメリカのハイスピードロードコースで行われた最初のレースは、とても過ごしやすいコンディションで開催され、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が新装コースでの初代ウイナーに輝いた。

 3番手からのスタートとなったパロウは、ポールスタートのコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・W/カーブ・アガジャニアン)と激しくトップを争う。レース終盤の49周目には、燃費で苦しむハータを高速のターン1でアウト側から豪快にオーバーテイクし、勝利に向けてさらにその差を広げていった。


 ハータはその後さらに順位を下げ、最終的に5位でゴール。ハータに代わって2番手に浮上したのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だったが、ゴール時のパロウとの差は4.5610秒という大きなものだった。3位には予選2番手だったパト・オワード(アロウ・マクラーレン)がつけた。

 今回の勝利でパロウは、前戦デトロイトGPからの2連勝。今回の優勝はシーズン3勝目、キャリア7勝目であり、ロードアメリカでの2勝目であった。ホンダエンジンは今シーズン5勝目、チップ・ガナッシ・レーシングとホンダにとっての通算250勝目(ストックカー、スポーツカー時代を含む)でもあった。

 パロウはレース後に「素晴らしい週末になった。本当にハッピーだ。クルーたちが見事なピットストップによって僕を勝たせてくれた。この調子を保って残るシーズンも戦っていくつもりだ」とコメントし、2度目のタイトル獲得に向けて全力を投じることを誓っていた。

 ポイントリーダーのパロウは、ランキング2位のチームメイト、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)との差を74点に広げた。ランキング3位は今季2勝を挙げているニューガーデンで、エリクソンとは7点差、パロウとは81点差だ。

 そしてもうひとり、今回のレースで大健闘をみせたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)だ。ディクソンは、今季ワーストグリッドとなる23番手からスタートし、19ポジションアップとなる4位でフィニッシュした。

 オルタネート・タイヤでスタートしたディクソンは、1周目に出されたフルコースコーション中にピットインし、プライマリー・タイヤに交換。その後はライバル勢と同じタイミングでピットに入り、プライマリー・タイヤを連投してゴールまで順位を上げ続ける快走を見せた。

 最後にはペースを上げられないオワードとのバトル。彼を抜けば表彰台に上がるチャンスもあったが、それは叶わず。しかしディクソンは今回の4位により、トップ5フィニッシュのレコードを196回に伸ばした。ディクソンの出場レース数は376なので、実に52パーセントという高確率で彼はトップ5フィニッシュを遂行していることになる。

 ディクソンはレース後に、「今日は実に興味深い1日になった。チーム力の高さが発揮され、自分としても大きく順位を巻き返して19個もポジションを上げられたことをとても嬉しく思っている。もちろん、表彰台に手が届いていたらもっとよかった。今日は多くのポイントを獲得できたが、もっと稼げていたと考えることもできる」と語った。

 また、9番手スタートから8位フィニッシュとなったマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)は、開幕戦の優勝からここまでの8戦すべてでトップ10入りと、驚異的安定感を見せてきている。

 エリクソンは、「今日は本当にいろいろあった。ぶつけ合い、押し合いのバトルがそこかしこで起きていた。実際、自分たちのマシンはかなり速かったと思う。いいペースで走れていたからね。ところが残念なことに、今日はふたつほど問題が発生してしまった。レースの世界ではよくあることだ。6位でフィニッシュできたのはよかったと思う」とコメントしている。

 今回、コースの新舗装に合わせて持ち込まれたファイアストン製のプライマリー・タイヤとオルタネート・タイヤだが、ソフトコンパウンド寄りのオルタネート・タイヤはパフォーマンスが低いと多くのチームによって判断され、それをレースではできる限り短く使うことが有効と考えられた。

 トップチームはスタートから2スティント目にかけてプライマリー・タイヤを使用し、3スティント目でオルタネート・タイヤ、最後のピットストップ後はまたプライマリー・タイヤを使用するという戦い方をしていた。

 そして今回のレースは、燃費が重要なファクターとなった。ポール・ポジションから最多の33周をリードしたハータは、第3スティントで燃料を使い過ぎており、最後のピットストップを行ったのが40周目とライバル勢より早いタイミングとなった。この時点でフィニッシュまでレースは15周残されており、これは燃費的に少々厳しい数字だった。

 ライバル勢が彼より1周遅いの41周目にピットイン。全長が4.014マイルもあるロードアメリカでは1周の差は極めて大きい。ハータはピットストップ後に辛うじてトップを保ち、そこからもプッシュ・トゥ・パスを使ってトップをどうにか維持していた。

 レース終盤にフルコースコーションが出ていたならば、ハータはトップでチェッカーを受けることができたかもしれない。しかしそう都合よくレースは展開せず、今回はチームの不十分な燃費管理が災いし、勝利を落としたと言えないこともなかった。

 ハータは、「悔しいレースになった。自分たちのマシンは最速で、ずっとクルージングしていたぐらいだった。マシンにはもっと速く走る能力が備わっていた。しかし、燃料をセーブしなければならずその力を見せることができなかった」とレース後に語った。

 次戦は7月2日にホンダ・インディ200アット・ミドオハイオ・プレゼンテッド・バイ・2023アコード・ハイブリッドが、オハイオ州コロンバス郊外のミド・オハイオ・スポーツカーコース(全長2.258マイル)で開催される。

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