往復航空券が無料、約2万円もらえる「夏の海外旅行」専門家が教えるお得な行き先

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2023年07月07日 11:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

※写真はイメージです

 今年のゴールデンウイークは、国際線の利用者が昨年の2倍以上にもなったという。

 4月29日以降、これまで入国・帰国時に求められた「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書」や「ワクチンの接種証明書(3回)」の提出が不要となったことで、海外旅行に出かける人が増加。5月8日からは、新型コロナウイルスが5類に移行したこともあり、「海外旅行に行く」という心理的ハードルは、大幅に下がりつつある。

 こうした背景を受け、観光庁は「今こそ海外!宣言」と題して、海外旅行に行く日本人を増やすためのキャンペーンを開始。感染拡大前の2019年は、2000万人いたアウトバウンド(海外旅行に出かけた日本人の数)は、コロナ禍によっていまだ4割程度しか回復していない。現在、7割ほどまで戻ってきたインバウンド(訪日外国人旅行)と比較すると回復が遅れているため、観光庁が後押しする形でアウトバウンドを増やそうというわけだ。

海外旅行を推奨も

「インバウンドとアウトバウンドのバランスは、5:5が理想です」

 そう説明するのは、『ひるおび』(TBS系)、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)などのニュース情報番組に登場する航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さん。今回のキャンペーンについて解説する。

「コロナ禍によって、国際便は急減しました。現在は回復傾向にありますが、アウトバウンドが増えなければ、飛行機の便数は増えません。(日本から出発する)行きの飛行機でアウトバウンドが搭乗し、帰りの便でインバウンドが搭乗する。往復の搭乗率が高くなることで便数は増えます。利用者が増えれば、航空券の価格も安くなる可能性が高まりますし、さらにインバウンドが増える好循環にもつながります」

 そのため、今回のキャンペーンでは、日本旅行業協会(JATA)などと連携し、「パスポート取得費用のサポート」「旅行する人へ特典」「航空券などプレゼント」といったサポートをすることで、積極的に海外旅行を推奨する。

 だが、その内容はやや物足りない。海外Wi―Fi無料レンタル(100名分)、電源変換アダプター無料提供(50台)などは、“旅行期間”“先着順”といった条件ありき。キャンペーンの目玉であるパスポート取得にかかる費用の半額(=8000円)分支援に関しても、「10年のパスポートを取得または更新」、「対象の旅行会社を通じて実際に旅行に出発した18歳以上」といった条件をクリアした上で、抽選で3210人に電子ギフトとしてプレゼントするという中身なだけに、恩恵にあずかれる人は少ない。

基本的に、“旅行会社を通じて”ということが条件になるため、個人旅行を計画している人にとっては、あまり魅力的には映らないかもしれません。インバウンドだけが増えても、国内の旅行会社はあまり潤わない。アウトバウンドも増やして旅行業界を下支えするという側面もあるでしょう。また、今回のキャンペーンは、JATAが国から金銭面で支援を受けているわけではないので、どうしても規模に限界がある」

 と、鳥海さんは理解を示した上で、「国が海外渡航することに対してお墨付きを与えたことは大きい」と続ける。

海外のキャンペーンにも注目

「海外に行くことに後ろめたさを感じていた人もいると思います。しかし、“どんどん海外に行ってください”と、今回のキャンペーンでは推進しているわけです。“何千円お得”ということ以上に、旅行者の心理的負担を軽減させたことに意味があります」(鳥海さん、以下同)

 鳥海さんは、国内のキャンペーンにとどまらず、海外のキャンペーンに目を向けるのも一つのアイデアだと話す。

「例えば、台湾では5月1日から旅行者に対して、日本でいうところの交通系ICで5000元(約2万円)分を抽選で25万人にプレゼントするキャンペーンを開始しています。また、香港では6月26日から日本と香港の往復航空券3万8000枚以上を無料(諸税と燃油サーチャージは別途必要)で配ると発表しています」

 鳥海さんによれば、「海外 お得 キャンペーン」などでネット検索すれば、現在展開されているキャンペーン一覧が出てくるとのこと。日本同様に、厳しい水際対策を行っていた国は、ここにきてお得なキャンペーンを開始し、観光客の回復に努めているという。

 ちなみに、鳥海さんがおすすめする海外旅行先はどこなのか?

「近場なら、今お伝えした台湾、香港に加えて韓国もいいでしょう。遠出をするなら、近年、“行きたい”という人が増えているハワイもおすすめです。物価が高いため、航空券も高いと思われがちですが、JALが設立した国際線中長距離路線LCC(格安航空会社)のZIPAIRなら、時期にもよりますがハワイまで片道5万円ほどで行くことが可能です。機内はWi―Fiが無料ですし、座席もLCCにしては広い。少し前までは、フィジーもキャンペーンを行っていて、往復5万円+諸税で行くことができました」

 自身も「旅行が大好き」というだけあって、こうした話題になると話が止まらなくなる鳥海さんだが、「初めてパスポートを取得する人、パスポートの期限が切れている人は余裕を持って申請しに行くように」とアドバイスも忘れない。

「コロナ禍の影響で海外に行くことができなかったため、パスポートの更新をする人も少なかった。そのしわ寄せで、現在、申請・更新をする人が急増しています。混み合う申請所では、4〜5時間ほどかかっているケースもあるようです。午前中、できれば朝一番に行くことをおすすめします」

海外も“ニューノーマル”に

 また、コロナ禍でしばらく海外旅行に行かなかった人は、以下の点に留意してほしいとも。

「旅行する際、新たに保険に加入することなく、クレジットカードに付帯している保険でまかなっていた人は、その内容をサポートデスクなどで再度確認したほうがいいでしょう。コロナ禍によって、保険の内容が見直されたケースが珍しくありません」

 そして、ここ日本でも“ニューノーマル”が起きたように、海外でも同じことが起きたということを忘れてはいけない。

「例えば、飲食店でQRコードを読み取り、スマホから注文するお店が増えました。海外も同様にそうした飲食店が増えています。つまり、いつでもどこでもスマホからインターネットに接続できることが望ましいです」

 接続方法がわからないという人は、近くのスマホショップに聞いてみるといいだろう。そして、「過去に行ったことがあるから」と油断しないことも大切だ。コロナ禍によって世の中は様変わりしたからこそ、初めて海外旅行に行ったときの気持ちを思い返してほしい。

 国は、'25年までにアウトバウンドを、'19年水準の2000万人超えを目標としている。秋以降には、第2弾キャンペーンも実施するとのことだ。

「日本は島国ですから、海を越えなければ他国の文化を知ることはありません。アウトバウンドが増えれば、グローバルな教養や知識も向上しやすくなる。長い目で見たときに、日本にとって意味のあることになる。第2弾では、若い世代や学生がメリットを享受しやすいなど、もっと利用したくなるようなキャンペーンが展開されてほしいですね」

 間もなく夏休み。「海外に行ってみたい!」、そう好奇心が芽生えるような海外旅行“推進”に期待したい。

とりうみ・こうたろう 1978年千葉県生まれ。航空・旅行アナリスト。成城大学経済学部経営学科卒業、城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科修了。2013年より帝京大学理工学部航空宇宙工学科非常勤講師。航空会社のマーケティング戦略を主研究に、旅行トレンドの調査などを行う。YouTube「PTA 鳥ちゃんねる」を昨年12月に開設

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