【漫画】中年男性がなぜキラキラ輝くのか……Twitterで公開『おじさんたちがパフェを食べに行く話』が尊い

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2023年07月25日 13:10  リアルサウンド

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リアルサウンド

『おじさんたちがパフェを食べに行く話』より

 多様性という言葉とともに、「○○らしさ」という固定観念が変わりつつある昨今。それでも、「○○らしくない」「○○のくせに」……と、つい周囲の視線を気にして、自分自身に制約をつけてしまうことは少なくない。そんななかで、Twitter上で公開された読切漫画『おじさんたちがパフェを食べに行く話』(おじさんたちの男子会)を読むと、好きなことを純粋に追求することの大切さに気づかされる。


(参考:漫画『おじさんたちがパフェを食べに行く話』を読む


 娘に無趣味なのを「ださい」と言われ、意気消沈する友利健太郎、45歳。意を決して社長が参加する「男子会」についていくと、そこには楽しそうにスイーツを頬張るおじさんたちの姿があった。おじさんがスイーツなんて食べていたら、娘に「ださいを通り越してキモい」なんて言われてしまう……と二の足を踏む健太郎だがーー。


 本作を手掛けたのは、主婦業の傍らに漫画制作に取り組んでいるという「りんごさん」さん(@ringo_san_)。ほっこりするなかに前向きなメッセージ性のある本作がどのようにして誕生したのかなど、じっくり話を聞いた。(望月悠木)


■おじさんたちが遊びに本気で取り組んでいる漫画を


――今回『おじさんたちがパフェを食べに行く話』はどのようにして誕生したのですか?


りんごさん:『オモコロチャンネル』というYou Tubeチャンネルが好きでよく見ているのですが、そこから「おじさんたちが遊びに本気で取り組んでいる漫画がおもしろそう」と思ったことが最初です。


――そこから制作しようと?


りんごさん:また、ちょうどその時期に「くらげバンチ」(新潮社)の編集者さんから声をかけてもらいました。この話を読み切りに提案したところ、企画を面白がってもらったので、編集者さんの意見を聞きながら二人三脚で取り組みました。


――そこから、どのように今回のストーリーを組み立てたのですか?


りんごさん:まずストーリーを考える際には“対比”ということを重視しました。このストーリーでは、「“おじさん”との対比として意外性のある組み合わせが良いな」と考え、“パフェ”を思いつきました。加えて、趣味を楽しんでいるおじさんたちとの対比として、主人公の友利は趣味というものがない人生を楽しめていないおじさん、というようにキャラクターを決めました。その対比が最終的に交わっていくという風にストーリーラインを考えています。


■夜パフェに行って情報収集


――基本的には会話劇で派手な展開はありませんが、読者はすぐに引き込まれます。構成でどんなことを意識しましたか?


りんごさん:まず最初のページで、パフェを持ってくることで「おじさんとパフェという組み合わせの意外性に驚いてもらえたらいいな」と思いました。また、「友人同士で仲良くしている様子に癒やされてほしい」という思いを込めて、4人のやりとりは仲の良さ、いい意味での遠慮のなさ、可愛らしさが伝わるように描きました。


――1ページ目のパフェが美味しそうでした。


りんごさん:実際に夜パフェを提供されているBARに行くことで雰囲気を掴もうとしたりなど、いろいろ取り組みました。そこで感じた盛り付けの美しさやキラキラした感じが伝わるように作画を頑張りました。


――年齢や性別に関係なく趣味を楽しむ姿勢のカッコ良さを感じる内容でした。改めて本作に込めたメッセージを教えてください。


りんごさん:だんだんと年齢や性別に関係なく自分の好きなことを楽しめる時代になってきていると感じています。その一方で、主人公の友利くんのように「おじさんだから」とか自分の属性に引け目を感じてしまう人も多くいるようにも感じています。実際は「“人の目を自分が気にしているだけ”という場合も多いのではないか」ということも含め、大袈裟かもしれませんが、「より多くの人がより楽しく生きられたら」という気持ちを込めました。


――今後はどのように活動していく予定ですか?


りんごさん:現在は連載を目指して漫画を構想中です。完成したら読者のみなさんに読んでもらえたらと思っています。また、短い漫画をSNSにアップすることもありますので、ぜひフォローして読んでいただけたら嬉しいです。


(取材・文=望月悠木)


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