過去作を一挙ふり返り『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』で明かされる注目ポイントも

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2023年07月25日 18:02  cinemacafe.net

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『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』© 2019 Wood Entertainment
出演俳優たちの証言から奇才監督の内面に迫るドキュメンタリー『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』より、タランティーノ監督作9作品についての解説が到着した。




「長編映画を10本撮ったら、映画監督を引退する」と公言しているタランティーノ監督だが、現在10作目の製作が進んでいる。これまでの9作品について改めておさらいしつつ、本作で触れられているエピソードとともに紹介する。

1『レザボア・ドッグス』(1992年製作)

犯罪都市、ロサンゼルス。この街にブラック・スーツ、ブラック・タイ、真っ黒なサングラスに身を包んだ6人の男たちが集まって来た。彼らは、犯罪プロフェッショナルのジョーと、その息子ナイスガイ・エディから、大掛かりな宝石強盗の仕事を持ち掛けられてやって来たのである。

それぞれにMr.ホワイト、Mr.ピンク等のコードネームが付けられ、お互いの名前も素姓も知らぬまま、彼らは“宝石強盗”という目的のために固い絆で結ばれた。周到に練られた計画は、非の打ち所がないように思われた。しかし、宝石店には警察が待ち伏せていた。必死の逃亡の末、ある者は傷つき、ある者は銃弾に倒れた。アジトに辿り着いた者たちも、次第に疑心暗鬼に駆られ、やがてそれは血で血を洗う惨劇へと変貌していく。裏切り者は誰なのか!?

本作では、低予算だったため衣装の黒いスーツは自前だったことが明かされ、さらにはスーツのズボンでなく黒ジーンズを履いている人物もいたことが証言されている。

2『パルプ・フィクション』(1994年製作)

“パルプ”とは30年代にアメリカで流行した低級犯罪小説を意味する言葉、映画は三文雑誌のように3つの物語が交錯してクライマックスまで突っ走る。

【1】たった一晩、ボスの妻のお供を命じられたギャングがクラブで夜遊び、いいムードになった矢先、ドラッグのやり過ぎで倒れた妻…。【2】マフィアのボスから八百長を持ちかけられたボクサーが恋人との甘い生活を夢見て、一世一代の大博打! 八百長破りを敢行し一旦は逃げだすが、父の形見の時計を置き忘れ、マフィアの元へ戻るはめに…。【3】騙しとられたスーツケースをとり戻しにいったギャング二人組。ケースはとり戻したが、車中で別の仲間を殺してしまう。死体処理に困った2人は嫌がる友人宅から助けを呼ぶと、やたらと怖い“死体掃除屋”がやって来て…。次第にドラマは、巧妙に計算された輸の中に組み込まれていく。

本作では、ジョン・トラヴォルタが演じた役は別のある役者のために書かれたものだったと暴露されている。

3『ジャッキー・ブラウン』(1997年製作)

メキシコの航空会社に勤めるスチュワーデスのジャッキーは、生活苦のため裏では武器商人オデールの運び屋をやっていた。ある時、ジャッキーはオデールを追っていた連邦捜査官のレイに逮捕されてしまう。レイからオデール逮捕に協力するよう持ち掛けられるジャッキーだったが取引には応じないまま保釈される。

ジャッキーは、親しくなった保釈金融業者のマックスと共に捜査官に協力する素振りを見せながら、オデールの隠し金を横取りしようと企んでいた。

本作では、主人公のジャッキー役にパム・グリアが決まることになった意外な秘話が明かされている。

4『キル・ビル』『キル・ビル Vol.2』(2003年/2004年製作)

ひとりの女が、長い長い眠りから奇跡的に目を覚ます。彼女は通称“ザ・ブライド”。世界を震撼させた毒ヘビ暗殺団(DiVAS)で最強と言われたエージェントだった女。彼女は全てを思い出す。あの、4年前の惨劇の全てを…。

彼女は自分の結婚式の最中に、かつてのボス、ビルに殺されたのだ。ビルは手下と共に参列者を惨殺し、ザ・ブライドの頭を打ち抜いた。こうして彼女は全てを失った。友人も夫も、お腹の中に宿っていた子どもまでも…。そして一命をとりとめたものの、4年もの間、昏睡状態に陥っていたのだ。

目覚めたザ・ブライドには「復讐」の2文字しかなかった。自分を不幸のどん底に突き落とした、全ての人間を血祭りにあげなくては。復讐は、神が彼女に与えた運命なのだ。ザ・ブライドはたったひとりで闘いの旅に出る。世界を股にかけた、長く、そして壮絶なる復讐の旅に…。

本作では、キル・ビル撮影中に起きたユマ・サーマンの交通事故の映像も切り取られている。


5『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007年製作)

テキサスの夕暮れ時。オースティンのラジオ局で一番の人気DJジャングル・ジュリアは親友のシャナ、久しぶりに地元に戻ってきた大学時代の女友達アーリーンと一緒に街へ繰り出し、一夜の気晴らしをすることに。

そこにはお気に入りのバー、グエロスからテキサス・チリ・パーラーへとはしごする彼女たちを密かにつけている男の影が。ドクロマークの付いた不気味なシボレーを乗り回し、顔に傷痕のある謎の中年男、スタントマン・マイクだ。ジュリアたち3人や、バーに居合わせたパムは、会話するうちにこの男への警戒心をゆるめていく。しかし、パムを送るために車に乗せた彼は突如、恐るべき豹変を遂げる!

14か月後。テネシー州で映画撮影に携わっている、スタントウーマンのキムとゾーイ、メイク係のアバナシー、新進女優のリーは、ぽっかり空いたスケジュールを有意義に過ごそうと計画。ゾーイの希望で、『バニシング・ポイント』に出てきた70年代型ダッジ・チャレンジャーに試乗しようということになる。

ディーラーの元にリーを置き去りにして、アクロバティックなスタントライドを楽しむ3人。ゾーイはボンネットに乗ってごきげんだ。そんな彼女たちに目をつけたのが、あの男、スタントマン・マイクである。いきなり車をぶつけてきたマイクに、女たちの怒りが爆発! タフな女たちの猛反撃が始まった!

本作では、ゾーイ・ベルが時速145キロで走る車のボンネットの上で命がけの演技を成功させるが、タランティーノの予想外の一言で撮り直しを命じられたことが明かされる。

6『イングロリアス・バスターズ』(2009年製作)

ナチス占領下のフランス。家族をナチスの“ユダヤ・ハンター”ランダ大佐に殺された少女ショシャナは、ただ1人生き延びてうら若き映画館主となり、ナチスへの復讐を誓う。

時同じくして、アルド・レイン中尉率いるユダヤ系アメリカ人兵士の特殊部隊“バスターズ”が、ナチス暗殺の極秘ミッションに参加。協力するドイツ人スパイの女性ブリジットに接触を図る。そんな彼らにまたとない情報が飛び込んでくる。新作映画のプレミアで、ヒトラーをはじめとするナチスの高官たちがショシャナの映画館に集結するというのだ。

ショシャナとバスターズはそれぞれ彼らを一網打尽にする壮大な計画を画策。しかし、このキナ臭い動きを誰よりも早く察知したのが、ランダ大佐だ。果たして勝利するのは誰なのか!? それぞれの思惑が絡む運命のプレミアが幕を開けた…。

本作では、初めて殺される役を演じたダイアン・クルーガーが、首を絞められるシーンで最後にみた人物について証言している。

7『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年製作)

主人のもとで人間性を奪われ、妻を奪われた奴隷のジャンゴは、賞金稼ぎのシュルツと出会い、自由を与えられ、彼と共に銃の腕を磨き稼いだ金で妻を買い戻そうと決意。お尋ね者を追うアメリカ横断の旅の最終目的地は、妻が捕らわれているキャンディ・ランド。そこは残忍な若き暴君カルビン・キャンディが君臨する農園だ。

ジャンゴとシュルツは奴隷商人を装いキャンディ・ランドに乗り込むが、見かけは黒人、心は白人の老獪な奴隷頭スティーブンが2人の正体を見破り、思いも寄らない一大死闘が展開する。最後に生き残るのは果たして誰なのか?

本作では、ジャンゴを演じたジェイミー・フォックスがタランティーノから説教されたことを暴露している。

8『ヘイトフル・エイト』(2015年製作)

どこまでも続く白銀の世界を疾走する1台の駅馬車が、行く手を阻む一人の男の前で停まる。北部の元騎兵隊でいまは賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン、椅子代わりに座っているのは、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体だ。この寒さで馬がやられ、誰かが通りかかって拾ってくれるのを待っていたのだ。

馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース。ゴツい腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグがつながれている。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の女で、散々殴られた顔で不敵に笑っている。迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地で、うまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士洋品店へ向かうが、途中でもう一人、クリス・マニックスを乗せる。

マニックスは新任保安官としてレッドロックへ向かう途中だと主張するが、彼が黒人殺しの南部の略奪団の一員だと知っているルースは信じない…。

本作では、カート・ラッセルが演じた役柄のモデルがハーヴェイ・ワインスタインであったと証言される。

9『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年製作)

リック・ダルトンはピークを過ぎたTV俳優。スターへの道が拓けず焦る日々が続いていた。そんな彼を支えるスタントマンのクリフ・ブースは彼に雇われた付き人で、親友でもある。エンタテインメント業界に精神をすり減らし情緒不安定なリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。

そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と女優シャロン・テート夫妻が越してくる。自分たちとは対照的な2人の輝きに触れたリックは、俳優としての光明を求めイタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが…。

本作では、ワインスタインのセクハラ問題が原因となり、新たな製作会社での映画作りに挑むタランティーノの撮影中の様子が映されている。

タランティーノの過去作を本作で明かされる注目ポイントとともに紹介したが、これらはほんの一部に過ぎない。本作ではこのほかにも驚くべき撮影裏のエピソードの数々が明かされているという。引退作と言われる10作目を前に、本作でこれまでのタランティーノ作品をふり返ってみてほしい。

『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』は8月11日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて公開。




(シネマカフェ編集部)
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