出張で8時間の車移動、会社が労働時間と認めず「残業強制」 こんなのアリ?

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2023年07月27日 10:01  弁護士ドットコム

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出張先への移動に片道8時間もかかるけれども、これって労働時間にならないのかーー。そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられた。


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相談者によると、車で片道8時間の客先にいくため、1泊2日の出張にして、1日目は13時に会社を出て、夜にホテルに着いたそうだ。2日目は夕方まで仕事をして、深夜に帰社した。



会社に相談したところ、1日目は、朝に会社で仕事をしていた3時間半しか労働時間として認められなかったそうだ。2日目は運転していた時間のうち、2時間だけが労働時間として認められた。



それぞれの日で8時間に満たない分は残業をするように言われたそうだが、相談者は納得がいかない。出張の移動は労働時間にならないのだろうか。太田伸二弁護士に聞いた。



●「指揮命令の下に置かれていた」といえるかどうか

ーーどういう場合に労働時間になるのか。



労働時間に当たるのは、労働者が使用者の指揮命令の下に置かれていた時間です。



ーー「指揮命令の下に置かれていた」といえるのはどういう場合か。



上司などから具体的に指示が出ている場合だけではなく、会社や現場にいて仕事をしなければならない状態に置かれている場合なども含みます。移動時間であっても指揮命令の下に置かれていたと考えられるのであれば、労働時間にあたります。



新幹線や飛行機等で移動し、その移動時間を読書や睡眠などに自由に使える場合には、指揮命令の下に無かったと考える余地もあります。



これに対して、運転をして同僚を乗せていたり、荷物を運んでいたりするなどした場合は指揮命令の下に業務をしていたと評価されます。



ーー今回のケースはどうか。



1日目は13時から8時間かけて客先近くのホテルまで自動車で行き、2日目も夕方から深夜にかけて運転して帰社しています。このような行程だと運転以外の自由な行動をすることはできなかったと思われますから、指揮命令の下に置かれていたとして、運転時間も労働時間にあたるとされる可能性が高いです。



そうだとすると、8時間以上労働をしたことになりますので、かえって会社は残業代を支払わなければなりません。




【取材協力弁護士】
太田 伸二(おおた・しんじ)弁護士
2009年弁護士登録(仙台弁護士会所属)。ブラック企業対策仙台弁護団事務局長、ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団全国常任幹事。Twitter:@shin2_ota
事務所名:新里・鈴木法律事務所


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