“美女すぎる男性ボーカル”でブレイクしたIZAM「子どもたちは当時の僕を女の子みたいで“可愛い”って」

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2023年07月29日 16:30  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

IZAM撮影/山田智絵

 1997年にメジャーデビュー。“美女すぎる男性ボーカル”として話題になったSHAZNAのIZAM。バラエティー番組などで大人気となり、“男性”になってからは俳優としても活躍。現在は毎日ライブ配信をしているという彼に、妻・吉岡美穂との夫婦仲や、これまでの道のり、今後の夢を語ってもらった。

音楽が好きでバンドを始めたわけじゃない

知り合いに新宿2丁目へ連れていってもらったとき、行く先々で言われたんです。『IZAMさんがああいう格好で堂々と世に出てくれたおかげで、自分を肯定することができたし、カミングアウトもできた。楽しく幸せな生活を送れるようになった』って。僕は表現方法としてやっていただけなんですが、そういう人たちが生きやすくなるものを作れていたのかなという気はします」(IZAM、以下同)

 アーティストのIZAM(51)が今年でソロデビュー25周年を迎え、7月23日に記念アルバム『シ・ン・デ・レ・ル・ラ POP』をリリースした。振り返ると、彼が率いるバンドSHAZNAがメジャーデビュー曲『Melty Love』で世に衝撃を与えたのは1997年である。あれから、それなりの時がたった。

 そんな彼の過去、現在、そして未来についてを、この機会に聞いた。

 見目麗しい中性的なルックスが印象的だったIZAMだが、現在の彼は必ずしもフェミニンにはならない。ソロ活動では男性としてナチュラルにパフォーマンスしているし、かといってSHAZNAとして活動する際に女性的なスタイルをやめたわけではないという。

 ただ、決してあのころを否定しているわけではない。SHAZNAのデビュー時と比べ、ファッションに関してもセクシュアリティに関しても、社会は著しく前進した。そこには、SHAZNAの活躍も寄与しているはずだ。

学校保健の指導要領の『マイノリティ』に関しての章で、『SHAZNAの女装ボーカリストIZAMが大ブレーク』と記されているんです。これって、僕が当時やっていたことが社会の認識を変えたということだと思うんですね

 実は、SHAZNAの戦略は最初から緻密だった。

音楽が好きでバンドを始めたわけじゃないんです。僕はジャッキー・チェンが好きで、もともと役者になりたかった。でも、なり方がわからない。『ボーカルをやって売れたら役者になれるかも』と思ったのをきっかけに、バンドを始めたんです。

 で、売れるためにはどうすればいいか。当時、放送していた『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系)を見て『女の子みたいなルックスでそのまま通したら目立つんじゃないか』と思いつきました。

 X JAPANのYOSHIKIさんとか、女性的なヘアメイクをしているヴィジュアル系の先輩方はいましたが、ライブは完全に男性そのもののパフォーマンスだった。子どものころテレビで見て衝撃を受けた英国のバンド『カルチャー・クラブ』のボーイ・ジョージの影響もありました」

 その結果、SHAZNAは見事に社会現象を巻き起こした。しかし、それはIZAMが望んだ状況ではなかったという。

音楽で活動し続けるのは厳しくなるだろう

『これはまずい、すぐにSHAZNAは終わってしまう』と思いました。僕はミリオンアーティストになりたかったわけではないんです。やはり役者になりたかったし、そのためにも、手堅いファンがずっと応援し続けてくれる20万〜30万枚の売り上げを維持し続けるアーティストになりたかったんですね。

 あと、社会現象を起こしていたSHAZNAのアルバムが150万枚しか売れなかったのもまずいと思いました。当時、GLAYのアルバム売り上げは500万枚でした。あのころのSHAZNAの状況だと1000万枚はいってないといけないはずなのに、そうはならなかった。『音楽で活動し続けるのは厳しくなるだろうな』と思いました

 彼の視点は絶えず冷静で、俯瞰的だ。

 現在のIZAMが最も力を入れているのは、ライブ配信アプリ『Music Champ』での生配信である。火〜日曜は昼の帯番組でMCを務め、月曜夜にも生放送を配信中。いわば、週7で稼働するIZAMにとってのホームだ。

「昨年は、自分が主宰する劇団がコロナで公演を打てなくなったり、年齢を重ねたことも身にしみたりして、かなり悩んでいた時期でした。20年以上付き合いのある顧問弁護士さんに『そろそろ表舞台に立つことはやめて、次世代の若い人を育てる側に回ろうと思っている』と話したら、『いや、まだ現役でやってよ。紹介したい人がいるから』と、紹介してくださったのが、こちらのMusic Champの親会社であるイノセントミュージックの社長さんでした。

 しかも『2023年がソロデビュー25周年ですか。ならば記念のアルバムを出しましょう』と言ってくださり、制作に取りかかったんです」

 このソロアルバムを認知させ、1枚でも多く売る、という目標もできた。同アプリの配信では、IZAMのニューアルバムのキャンペーンが毎日のように展開中。さらに、8月26〜27日にかけては26時間の生番組も配信される。

もう、この年で『ええっ』って感じですよ。でも、年代が違う人たちと一緒に作り上げていることがとても楽しい。26時間生放送では、グランドフィナーレの手前あたりでSHAZNAの生配信ライブを行う予定です。楽しみにしてほしいですね

 中学生と高校生になる3人の子の父親でもある。父の仕事ぶりを、子どもたちはどう見ているのだろう?

子どもたちは「女の子みたいで可愛い」

女性的なルックスの時代の僕も知っています。デリケートな年頃になって急にあの姿を見たら戸惑うだろうと考えて、小さいころから映像を見せて慣れさせていました。『女の子みたいで可愛い』って言ってましたね(笑)

 父親が多忙だったため、家族での思い出がほとんどない。そのため、自分は子どもとなるべく一緒に過ごす時間をつくってきた、という。

僕は子どもが大好きですから。小さいころは毎日一緒にお風呂に入って、一緒に寝て、幼稚園へは妻と交代で自転車で送っていました。彼らがやってみたいということをいろいろさせてあげた。そのせいか、うちの子どもたちは全員早いうちから、将来何になりたいか目標を決めていましたね

 IZAMの妻はタレントの吉岡美穂(43)だ。一時は夫婦でバラエティー番組に出演、“鬼嫁”エピソードで笑いを取る姿もよく目にしたもの。現在の2人の夫婦仲は?

別によくはないですよ(笑)。例えば、野々村真さんと俊恵さんのご夫婦は、真さんがいつでも先に謝るイメージですが、うちはどちらも引かず、とことんケンカするタイプなんですね。テレビでも実際の家庭内でも変わらないです(笑)。

 イメージのために仲の悪さを隠す人もいるけど、僕はそういうの大っ嫌いなんです。もし僕らがテレビで『ラブラブでーす』なんてやったら、子どもたちが『うわ、引くわ』と言うでしょうね(笑)」

 デビュー当初は謎めいたイメージもあったものの、実際は「嘘がつけず、実直にやってきただけ」と語る。そんな彼に、これからの目標を聞いてみた。

息子2人はプロのサッカー選手を目指し、日々頑張っている。そんな彼らが夢を叶えることが、僕の夢でもあり、目標でもありますね。

 息子たちが実際にプロのサッカー選手になったら、そのマネジメントをしたいです。代理人として、芸能で培ったトーク力を交渉に使おうかなと。『え、なんでIZAMさんが!?』『いや、実はうちの息子なんです』って(笑)」

 戦略は緻密に、かつ嘘はつかず実直に。IZAMが生きる過去、現在、未来……。どの瞬間も、彼はポリシーを曲げずに歩んでいくつもりのようだ。

〈取材・文/寺西ジャジューカ〉

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