牧野任祐「その瞬間のことは記憶が飛んでいる」エンジンも割れる大きなクラッシュで紙一重の幸運

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2023年08月25日 18:00  AUTOSPORT web

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スーパーフォーミュラ第7戦もてぎの大クラッシュからスーパーGTで復帰を果たす牧野任祐(100号車STANLEY NSX-GT)。クラッシュの状況とその後について語った。
 8月20日に行われたスーパーフォーミュラ(SF)第7戦もてぎの決勝レース、オープニングラップで発生したマルチクラッシュでドクターヘリで運ばれ、病院で検査を受けていた牧野任祐。SNSでは病院を退院して無事なことが明かされていたが、連戦となる今週のスーパーGT第5戦鈴鹿のレースでは日曜日のみの走行になることがチームより発表された。SFでのクラッシュ、そして現在の状況を牧野に聞いた。

「正直、その瞬間のことは記憶が飛んでいて、わかっていません」

 クラッシュの瞬間は牧野の記憶にはないという牧野、その後の映像を見て、クラッシュの凄まじさを後から知ることになった。

「映像を見て、本当によくこの程度で済んだなと思いました。横から見た映像では飛んでる飛距離がヤバかったですね。そんなに飛んでいたんだと。後から見て思うのは、僕が(小林)可夢偉選手の後ろについていて、可夢偉選手が危ないと思ってパッと避けた時に、僕の前に関口(雄飛)選手が突然現れた状態になって、その関口選手のクルマに最初に乗っかってしまった。それを僕がよくわかっていなくて、最初に関口選手にぶつかったとは思っていませんでした」

 高く舞い上がった牧野のクルマが着地した後、映像が映らずに状況が分かりづらかったが、牧野はすぐにクルマを降りることができなかったという。

「(クラッシュの後)コクピットからの脱出が遅れたのも、僕が気がついた時、過呼吸みたいな状態になっていて呼吸が全然できなかった。背中と体の前側が痛くて『なんかヤバい』という状況で全然、クルマを降りられませんでした」

「そのままマーシャルさんに手伝ってもらってクルマを降りて、ヘルメットをとってもらって、医務室へ行ったのですけど、そこでも呼吸の酸素レベルがすごく下がっていた。危険だということでドクターヘリで運ばれまして、病院で検査してもらいました」

 検査の結果、大きな怪我はなかったとはいえ「脳しんとう、全身打撲、左脇腹損傷という診断結果です。左の肋骨のあたりが痛いのですが、CT検査をしてもらって骨が折れているわけではないので大丈夫です」と牧野。

「クラッシュの瞬間はアドレナリンがすごく出ていたので、そこまで体は全然痛くなかったのですけど、次の日の朝の方が体は痛かったです。全身筋肉痛みたいな状態でしたね」と、振り返る。

 改めて、牧野に大きなクラッシュを経た現在の心境を聞く。

「本当に大きい怪我がなくて良かったなと思いますし、それだけ今のクルマが安全性が高いということもあったと思いますけど、僕も後から映像を見て思ったのは、(後ろを走っていた)松下信治選手が突っ込んで来た時に、タイミングとして松下選手に(自分のクルマが)刺さらなくて良かったなと。タイミングとしてその可能性は大いにあったので、本当に紙一重でした。あとは僕の飛んだ後の着地が芝生の上で、マシンの左リヤから着地したのが、本当に良かったと思います」

「もしアスファルトの上で、四輪のタイヤから着地していたら、マシンは全損でエンジンも(ブロックが)割れるくらいだったので、その衝撃は相当なものだったと思います。たまたま左リヤから着地だったので、そこで衝撃をかなり減らしてもらえたと思います」

 まさに、奇跡的とも言える生還を果たした牧野だが、脳しんとうの症状があるため、ドクターストップで7日間の走行ができないことになった。

「脳しんとうの後遺症(セカンドインパクト)があるので、1週間レーシングマシンでは走れないので、日曜日からは走行ができるという状況です。決勝日はウォームアップ走行から走ることになると思いますけど、決勝のことはあまり考えても仕方ないので、ドクターに言われたことをしっかり守ることで僕、そしてチームも安心するので、まずは明日までしっかり待機していようと思います」

 ランキング3位につける100号車STANLEY NSX-GTにとって、この鈴鹿は上位2台との差を縮める大きなチャンス。予選ではチームとしてQ2を走れない状況ではあるが、牧野の復活、そしてチームメイトの山本尚貴とともに決勝でどこまで挽回できるのか、今後のチャンピオン争いの注目点になる。

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