指導者の言葉がけ一つで子ども達の意識は変わる、「言葉の魔法」

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2023年08月29日 13:32  ベースボールキング

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8月上旬に東京都足立区にあるフィールドフォースタウンで、多賀少年野球クラブの辻正人監督の書籍「多賀少年野球クラブ 『脳(ノー)サイン野球』で 子どもの考える力と技術が自然に伸びる! ―楽しさと勝利を両立する育成法」(カンゼン)の出版記念の野球指導会が行われました。



参加したのは書籍を購入した小学生とその保護者30組。下は1年生から、女の子の選手も数人参加していました。
まず行われたのは投げ方の指導。多賀少年野球クラブの選手達がキャッチボールのデモンストレーションを行い、それを辻監督が解説する形で行われました。



・半身の姿勢から踏み出した足先を投げる方置に向ける
・グローブをはめている手を腰に当てる
・ボールを持つ手は肘をあげて、握ったボールは後頭部にくっつける
・上記の姿勢から、左右の肩甲骨を近づけるように大きく胸を張る
・踏み出した足を軸にそのままくるっと回転してボールをリリースする

これは多賀少年野球クラブで普段から指導されている投げ方。通称「バネ投げ」。ポイントは手首と肩の筋肉を使わないで投げること。手首を使って投げると肘を痛めるため、手首と肘の自然のしなりを使って投げるそうです。
辻監督に教わった子ども達は早速ネットに向かって投げ始め、保護者に投げ方のチェックをお願いする子どもの姿も見られました。



バッティングの指導では、通称「多賀打ち」のポイントを辻監督が解説。
バットのヘッドを深く入れてトップの形を作った方がボールをインパクトするまでの距離ができるため、その分だけ勢いをつけることができます。そのため強い打球を打つことができるわけですが、腕力のない小学生には難しくなります。だからこそ、深いトップの位置から「腕ではなく両肩を回す」ことで、子どもでも腕力に頼らずに、勢いをつけてボールを打つことができると辻監督は説明していました。



また、下半身も「パワーポジション」と呼ばれる一番安定して力の発揮できる姿勢(足を肩幅程度に開き、どっしりと構えてお尻を後ろに突き出すような形)が大事になってくるとのこと。
多賀少年野球クラブでは、一見すると細身で非力そうにみえる選手もスタンドに放り込むことも珍しくありませんが、こういった「多賀打ち」を身につけているからこそ、可能なのかもしれません。
辻監督に教えてもらったあとは、各自5球ずつマシンのボールを打って「多賀打ち」を実践。辻監督も1人1人のスイングを見てアドバイスを送っていました。



予定していた1時間の指導会はあっという間に終了し、最後は保護者、子ども達からの質問に辻監督が答える質疑応答の時間も設けられました。
様々な質問が出たなかで、保護者からの「(内野守備で)高いバウンドにあわせるにはどんな練習をしたらいいですか?」という質問に、辻監督はこんなふうに答えていました。
「数をこなすしかないです。ただ、ボールが捕れないと子どもは面白くありません。そこに(他の子と)競争をさせたり、ゲームの要素を取り入れるなどの工夫が大事になってきます。楽しくやって子ども達が『捕りたい!』と思わせることが大事です。大人からの『○○しなさい!』という強制的な練習ではなく、子ども達から『○○したい!』と思わせる、そんな練習にすることが大事だと思います」

指導者の言葉がけ一つで子ども達の意識は変わるという辻監督。これを「言葉の魔法」と呼び、大人が子どもに対して使う言葉の重要性を、保護者に熱く語りかけていました。(取材・写真:編集部)

「多賀少年野球クラブ 『脳(ノー)サイン野球』で 子どもの考える力と技術が自然に伸びる! ―楽しさと勝利を両立する育成法」
【目次】
第1章 「脳サイン野球」を行うために必要な座学
第2章 練習の組み立て方と進め方
第3章 指導者や保護者からよく聞かれる10の質問
第4章 他チームの指導者から見た多賀少年野球クラブ
第5章 「脳サイン」野球から「令和の根性野球」へ


辻正人(多賀少年野球クラブ監督)著
カンゼンから2023年7月10日発売
1800円+税

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