【漫画】ChatGPT×漫画家が描くSFヒューマンドラマ『パラドックスループ』がスゴい 男は「離婚」という未来を変えられるのか……

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2023年08月31日 09:11  リアルサウンド

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『パラドックスループ』より

 アル株式会社と「少年ジャンプ+」編集部が今年5月、対話型AI「ChatGPT」を活用し、プロット制作やアイデア出しといった漫画制作をサポートするサービス「Comic-Copilot」(以下、『コミコパ』)をリリース。これを活用したオリジナル作品『パラドックスループ』が7月より、SNS上で連載されている。


(参考:AI×漫画家の力作『パラドックスループ』を読む


 時田はある日突然、妻から離婚を突きつけられる。これまで家族のために懸命に働いてきたと考えている時田は、まさかの申し出にショックを隠せない。この事実から目を背けるためベロベロに飲み歩く時田の前に、怪しげな青年と知り合う。時田は離婚の件や後悔の念を話した後、その青年は去り際に「本当にやり直したかったら 明日またここに来てよ」という言葉を残して――。


 しっかり構築されたSFテイストのプロットと、人間味あふれるヒューマンドラマの融合という点に、「AIを活用した生身の漫画家の作品だ」と納得してしまう本作を手がけているのは、育児の合間に制作を行っているという丸田マノさん(@marutama_mama)。本作を描いた経緯、また『コミコパ』を活用してみての感想など話を聞いた。(望月悠木)


■AIサポートサービス『コミコパ』を使ってみて感動


――なぜ『パラドックスループ』を制作しようと思ったのですか?


丸田:前々作『ぼくのパパにはタトゥーがある』では不器用でも愛に溢れたカッコいいパパを、前作『大金を拾った男の話』では古典落語『芝浜』を原作に粋で豪快な男を描いたので、「今回はダメな男を描いてみたい」と思ったのが始まりです。そこから“中年離婚”という割とよく耳にするワードと、「『ドラえもん』や『東京卍リベンジャーズ』のようなタイムワープ要素があったら面白いんじゃないか」と思って設定に加えました。


――AIサポートサービス『コミコパ』を使用した経緯についても聞かせてください。


丸田:テーマを設定したところまではよかったのですが、男性の苦悩など男性視点で考えた際にわからない部分が結構ありまして……。そこで「今流行りの『ChatGPT』に相談してみよう」と思った時に見つけたのが『コミコパ』でした。ちょっと操作してみて「すごい!こんなことが出来るんだ!」と感動して、そのまま使用しました。


――登場人物は丸田さんが考えたのですか?


丸田:ビジュアルや性格はほぼ私が考えたものです。『コミコパ』をもう少し上手く使いこなせていたら、一緒に考えることが出来たのかもしれません……。ただ、初めはタイムワープを『ドラえもん』に登場するタイムマシーンのような“道具”として使う予定でした。私が「イケメンも描きたいな〜」と『コミコパ』に相談したところ、“タイムワープの番人”という単語が出てきて、「コレだぁ!」と思ってアイデアをもらいました。


――そもそも、『コミコパ』をどのように活用しているのですか?


丸田:ベースとなるプロット部分の根幹は『コミコパ』の機能を使って相談して、漫画作業に関しては自力で行なっています。ただ、そのほうが早かっただけで、もっと出来ることはあると思います。おそらく全然使いこなせていません (笑)。


■誰かとブレストした感覚に


――「AIに人の心が表現できるのか?」といった疑問がありますが、夫婦のすれ違いがしっかり表現されていました。『コミコパ』の回答はどこまでシナリオに採用しているのですか?


丸田:基本的には『コミコパ』の回答はあくまでたたき台にして、その後に私がアレンジしています。自分自身が夫婦で子育てをする中で起こったことや思ったこと、人から聞いたり体験したことをベースにキャラクターの心情を考えています。


――『コミコパ』を使用したメリットとしてどういった点が挙げられますか?


丸田:ざっくり単語を並べるだけでも、ある程度ストーリーを考えてくれるので、誰かとブレーンストーミングをしているような感覚になれたので、その点はとても良かったです。


――一方、課題は?


丸田:話を深掘りしていく機能にはまだ力不足を感じます。角度を変えて何度も質問しても、なかなか良い回答を得られませんでした。


――AIをはじめとするテクノロジーがクリエイティブ系の仕事を奪っていくのではないか、という議論も見られますが、丸田さんはどうお考えですか。


丸田:危機感はあまり感じていません。「魅力的な絵もお話も人間が生み出すものには敵わない」と現時点では思っています。挿絵や何かを説明する時の例文を、サッと作りたい時には便利な存在だと思います。


――テクノロジーに関しては歓迎している感じですね。


丸田:はい。ただ、現在いろいろなところで話題に上がっていますが、著作や権利関係に関しては、いずれもっとちゃんとした線引きなりルールが必要なのかなとは思っています。


――『パラドックスループ』は今後どのように続いていくのでしょうか?


丸田:まだまだ主人公の時田には苦労が待っています。ただ、現時点ではラストを決めていません。3パターンくらいあるのですが、どれでいくかは描きながら決める予定です!


(取材・文=望月悠木)


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