注文時に確認したデザートの「半額クーポン」、会計で「使えません」と言われた…全額負担なんて許せない!

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2023年09月13日 10:21  弁護士ドットコム

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外食の際には、クーポンを上手く活用し、お得に楽しみたいものですが、弁護士ドットコムにはクーポンをめぐるトラブルについて相談が寄せられています。


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相談者はショッピングモールのくじ引きで、飲食店のデザートメニューの半額クーポンをゲットしました。



念のため、注文時には店員にそのクーポンが使用可能かどうかを確認。「大丈夫です」と言われたため、デザートメニューだけを頼みました。



しかし、会計時にクーポンに「お食事のお客様に限ります」と注意事項が書かれていることがわかり、全額支払うことになってしまいました。相談者は「店側のミスなのに私が全額を負担するのもおかしい」と疑問に思っています。



店側が注文時に「クーポンを使える」と誤って説明した場合、店側に半額にするよう求めることができるのでしょうか。尾崎博彦弁護士に聞きました。



​​●店側に請求できると考えてよい

難しい問題ですね。というのは、どういった観点から考えるべきか、さまざまな意見がありそうだからです。結論から申し上げますと、店側に請求できると考えてよいのではないかと思います。



まず、このクーポンは「持参すればその記載に従った値引きを行います」という内容のサービスをする旨を証拠づけるものであると考えます。



ただ、今回のケースでは、注文時に店員がクーポンの利用について誤った説明をしました。これをどのように評価すべきでしょうか。



この点ですが、あくまでもクーポンの記載内容と異なるサービスを提供する旨の店員の説明が、クーポンの記載よりも優先されると考えてよいと思います。



説明内容の食い違いから契約を相談者が理解したような契約であると断定するという方向も間違いとはいえないでしょう。ただ、クーポンの記載内容と異なる店員の説明があったことは相談者が立証する必要があります。



一方で、店員の説明とクーポンの記載内容の食い違いから契約内容を相談者が勘違いしたという視点から考えることも可能です。



ただ、そうなってくると、相談者の錯誤として、契約を取り消すことが可能となり、食事のあとなら代金はどうなるのかという点が難しい問題として残ります。仮に店員が勘違いしていたとすれば、これが錯誤として店側が取り消すことも考えられます(重過失で取り消しできないとも考えられますが)。



このように契約が錯誤により取消可能と考えるのは、あまり相談者にとっては有利な解決とならないようです。



以上からは、相談者の立場からは店員の説明による契約内容こそが今回の契約の内容となった旨を主張することがよいと思います。店側にとっても、店員が間違えて説明したとしてもそれは相談者に対してだけですから、相談者のみ食事をしなくても半額にする旨の契約があったと取り扱えばよいのです。



●店側の間違った説明が原因だから…

やや法的視点からは外れるかもしれませんが、やはり店員が間違えて説明するような限定されたクーポンを発行した店側にその負担をさせるという解決のほうがよいように思われます。



そもそも来店して食事が終わった客に半額クーポンを渡すのと異なり、ショッピングモールのくじ引きの賞品であるときは、相談者のような期待をすることも不合理ではありませんし、店員も店で直接渡したクーポンではないから扱いを間違えたとも考えられます。



何より店側の間違った説明が原因となったわけですから、その危険の負担を客にさせるというのは公平とはいえないでしょう。そのような半額クーポンの記載内容どおりに客を扱うことは、営業的にも得策ではありません。




【取材協力弁護士】
尾崎 博彦(おざき・ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員
事務所名:尾崎法律事務所
事務所URL:http://ozaki-lawoffice.jp/


このニュースに関するつぶやき

  • 割引率高いクーポン券は制約が大きい。支払い段階で使えないと分かるクーポン券は悪評原因にしかならないので発行する側も少しは考えろ。
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