
保育所などに入れなかった未就学児の待機児童は、今年4月時点で2680人と5年連続で過去最少に。近年のピークだった2017年と比べ10分の1程度になりました。「量」の確保が進む中、潜在的なニーズに応えようと、国は、保護者の就労要件を問わない「こども誰でも通園制度(仮称)」のモデル事業を展開しています。
【写真】「こども誰でも通園制度」のモデル事業の様子。子どもたちが保育士と過ごしていた=8月、福岡市
「はい、どうじょ」「ないないね」。
8月中旬。「中比恵ソレイユガーデン保育園」(福岡市)の一室で、0〜2歳の子ども8人が保育士に抱っこしてもらったり、電車のレールを組み立てたりして過ごしていた。
通常の保育風景だが、事情が異なる点も。利用にあたり保護者が働いているかが問われないこと、週1、2回だけの通園だったこと――だ。ほかに、空き部屋を活用していたのも特徴だった。
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新制度「こども誰でも通園制度」は今年度から始まり、福岡市を含む31自治体が取り組んでいる。同市の場合、保護者の就労要件に関わらず、週1〜2回、保育所を利用可能。空き定員や、余裕のできたスペースを活用している。
福岡市の待機児童は、5年前には40人。それが今年4月時点ではゼロ人になった。待機児童を減らす中で着目したのが、保育所や幼稚園などに通っていない「未就園児」の存在だ。孤立した子育てには、虐待などのリスクも指摘されている。
■子育て「精神的にきつい面も」
「未就園児」の保育ニーズは高い。福岡市が8月の事業開始に向けて募集したところ、倍率約3倍の延べ390人が応募。全国的にも応募が殺到している。
中比恵ソレイユガーデン保育園に双子を預ける専業主婦の母親(29)は「働く夫は家事や子育てに協力的。それでも、精神的にきつい面もある。外出先で子どもが騒がないか気がかりで、家にこもりがちになった」と話す。
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春田雅孝園長は、これまで孤立した未就園児の保護者に接する機会があり、潜在的なニーズの高さを痛感していたという。「保育園に預けて頂くことで、栄養面や発達など、子どもの育ちという観点で良質な保育を提供できる」と、子どもにとってのプラス面を強調する。
春田園長は、経営の視点からも意味があると話す。厚生労働省が2021年に公表した資料によると、保育所の利用児童数は25年には頭打ちに。人口減少が進む地域では保育所の定員割れや統廃合が現実の問題になっている。全国的には出生数の減少ペースが加速しており、将来的には福岡市のような都市部でも課題になる。春田園長は「今後の定員割れは課題。新たなニーズに対応していくことは、経営の観点からも必要」と話す。
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