【京伴祭2023特集vol.3】「ライブ音楽は体験としても別物」劇伴作家・宮崎誠 / (K)NoW_NAME:Makoto Miyazakiが語る野外フェスの魅力

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2023年09月14日 12:52  アニメ!アニメ!

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アニメ!アニメ!

京伴祭出演者・宮崎誠
アニメの劇伴が主役の野外音楽フェス『京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL- 2023』が9月16日、京都の梅小路公園にて開催される。

世界的人気の日本アニメだが、その映像を劇的に盛り上げる劇伴は重要な要素でありながら、それに注目した音楽イベントが開催されてこなかった。「作品の良さをさらに引き出す力を持つこの音楽たちの素晴らしさを、世界中にいるアニメを愛してくれている人たちに届けたい」という思いで、2022年9月の無観客オンライン配信となった「エピソード0」と、2023年4月、東京・国立代々木競技場第二体育館にて開催された『東京伴祭』を経て、ついに、初期の構想だった京都の野外で有観客開催が実現。さらに、昨年から参加する3名に加え、新たに3名の劇伴作家が加わりパワーアップした。

アニメ!アニメ!では、今回参加する6名の劇伴作家に、劇伴の魅力や京伴祭に対する思いを聞くインタビューを敢行。今回は、エピソード0から参加する宮崎誠 / (K)NoW_NAME:Makoto Miyazaki氏に、劇伴制作の面白さと野外フェスの魅力などを語ってもらった。

[取材・文:杉本穂高 協力:懐刀株式会社]

<宮崎誠 / (K)NoW_NAME:Makoto Miyazaki プロフィール>
作曲家・編曲家・ギタリスト
13歳でギターを始め、22歳から本格的にギターリストとして活動を開始。その後、ロック、ポップスを中心に様々なジャンルの楽曲を精力的に手掛け、作曲家としての活動を本格化する。バンド系から打ち込み系まで流行を押さえたサウンドで幅広く対応し、O.S.T.ではロックをベースに壮大かつ繊細なオーケストレーションを得意とする。『ワンパンマン』『SPY×FAMILY』他、多数のサウンドトラックを手掛ける。


アニメ劇伴はジャンルレスで多彩

――宮崎さんは昨年のエピソード0から参加されていますが、劇伴の野外フェスをやりたいと林さんから聞いた時、どのように感じましたか。

最初に聞いた時は、できるのかな、やれたとして楽しいのかなと思ったんですけど、林さんはもともと好きな作曲家でしたし、彼の想いを聞いてぜひやってみようとなりました。実際にやってみたら林さんのやりたかったことが分かったし、これはいいイベントになる、もっとみんなでやっていくべきだと思いましたね。

――実際に参加されて、どんな可能性を感じたのですか。

アニメの劇伴はジャンルレスで、クラシックもあれば、ロックやジャズもあるし、エレクトロもポップもありますから、フェスならそれらを一同に集めて様々な音楽ファンにアプローチができます。音楽から入ってアニメに触れるという人もいるだろうから、アニメの魅力に色々な方向から惹き込めると思うんです。

しかも、日本のアニメは今本当に海外ですごく人気がありますから、日本中の劇伴作家を巻き込んでいければ、大きなうねりを作れるのではないかと思うので、これはちょっとヤバいイベントになるかもって予感しています。

野外フェスは音の広がりが違う

――宮崎さんはプライベートでも野外フェスに行かれていたそうですが、野外フェスの魅力はなんでしょうか。

もともとフジロックやサマソニが大好きでよく行っていました。屋内のライブも楽しいですけど、屋外はやっぱり解放感があります。音の広がりも屋内とは全然違います。フジロックはスキー場が会場なので山からの反響もかえってきて、音に包み込まれるような気分になれます。屋外でお酒を飲みながら聴くのも気持ちいいですし、オープンな雰囲気がすごく良いですよ。

――今回、屋外で有観客での開催初回になりますが、昨年から続けてこられて迎える本番に対して、今どんなお気持ちですか。

待ちに待ったって感じですね。昨年は無観客でしたけど、めちゃくちゃ楽しかったんです。だから、この楽しさをやっとお客さんと体験できるのかと思うと今からワクワクしますし、これはエゴかもしれないけど「俺たちがこんな楽しいんだから、お客さんも絶対楽しいよ!」って思っています。

――宮崎さんは単独でのライブも行っていますが、ライブはお好きなのですか。

はい。もともとバンドマンで、ライブで育ってきたみたいなところもあるので。ライブでしか味わえない瞬間の爆発力がありますから、大好きです。

――多くの人にとって劇伴は自宅やスマートフォンで聴くと思いますが、劇伴を生演奏で聴く醍醐味はどんなところにあるでしょうか。

ライブは、音自体を楽しんでもらう最高の環境です。劇伴はやはり映像ありきで、台詞もあるから、そのために音量を下げないといけない時もある。もちろん、それを前提に作るものではあるのですが、ライブで聴くと「こういうフレーズがあったのか!」と新たな発見がありますし、音圧が全然違うので、体験としても別物だと思います。

――野外ならその音がさらに広がりを持つわけですね。

そうなんです。良いんですよ、これがまた。

――東京伴祭ではボーカル曲も披露されていましたが、今回は何か特別なことをやる予定はありますか。

今回特別な編成はないのですが、これまでは『ワンパンマン』と『SPY×FAMILY』をやってきたので、ちょっと毛色の違う曲も聴いてほしいなと思い、作品を増やしています。

「劇伴音楽は監督のもの」という坂本龍一の言葉

――劇伴作家としてのターニングポイントと言える作品はなんでしょうか。

やはり『ワンパンマン』が大きいですね。仕事が広がった作品というのもありますが、あの作品の音響監督であるはたしょう二さんは、僕が最初に劇伴やった作品でもご一緒して、その時苦しんだことを知っている方なんです。

それもあってか「バトルの曲は劇伴ということを意識せず好きにやっていい」と言ってくれて、それがたくさんの人に評価されたので、自分の音楽はこれでいいんだと自信になった作品です。

その後、自分の作品が最も認知されることになった『SPY×FAMILY』もはたしょう二さんが音響監督で運命的なものを感じています。あと、個人的なことですが『ワンパンマン』放送日に娘が生まれたこともあって、それも運命だなと思います。

――作曲家として劇伴の魅力はどんな点にありますか。

僕は歌ものも作っているのでそれとの比較で言うと、歌ものは歌手やプロデューサーもいてディスカッションの場が多く、みんなで作る楽しさがあります。劇伴の場合は、ほとんどの場合は自分で掌握できる、その分責任もありますけど、作品音楽のトータルプロデュースを担えるところが魅力ですね。

――劇伴の魅力についてはみなさんから多彩な意見が出て面白いです。自由だと言う方もいれば制限があることがかえって面白いという方など、様々ですね。

自由か制限があるかは、作品や監督にもよりますね。僕の場合は制限の中でトータルプロデュースをする楽しさ、プレッシャーもあるけどそれも含めて楽しんでいるという感じです。

逆に、僕が感じたことを表現したものと、監督や音響監督のイメージと違う時もあるので、そういう時は議論して納得できればいいのですが、最後まで「これでいいのかな」という時もあります。方向性のすり合わせが難航した時は劇伴の難しさを感じますね。

でも僕は、劇伴は作品ありきだと思ってて、独り歩きしてはいけないと思ってやっています。音楽としては個人的にはこのレベルがいいけど、シーンによってはわかりやすい方向にアレンジすることもあるわけです。女の子たちが戯れているだけのシーンで、超絶エモい曲を流しても仕方ないですからね(笑)。

坂本龍一さんの名言で「劇伴音楽は僕のものじゃない、監督のものだ」というのがあって、僕はその通りだと思うんです。一方で、高梨さんは、自分のソロアルバムを作るつもりでやっているとおっしゃっていて、それも素晴らしいことだと思うし、それを欲しいと思うクライアントが発注しているわけだから、高梨康治さんのような姿勢も僕はリスペクトしています。ただ、僕のスタンスは作品ありきです。

――劇伴は音楽ジャンルも多彩で、考え方にもたくさんあるんですね。最後に、京伴祭を楽しみにされている方々に向けて一言お願いします。

ライブが苦手な方にも京伴祭はおすすめです。普通のライブが苦手な人は、サビではこういうふうに乗らなきゃとか、そういうのに馴染めないからだと思うんですけど、京伴祭はそういうこともまったくないので。

発起人の林ゆうきさんも言っていましたが、子どもと走り回っていてもいいし、大人はお酒を飲んでてもいい、映像をずっと見ているのもありです。普通のライブよりもずっと馴染みやすいと思うので、ぜひお気軽に足をお運びください。



京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL- 2023

【日程】2023年9月16日(土)13:00開場/14:00開演/18:45終演予定
【会場】梅小路公園
【料金】プレミアムチケット 1万1000円(税込)/一般チケット 8800円(税込)/オンライン配信チケット 5500円(税込)

※未就学児不可
※小学生無料
※中学生以上チケット必須
※本イベントの座席につきましては、椅子のご用意はなく、エリアごとに区分けさせていただく予定となります。当日はレジャーシート等をご持参いただきお楽しみください。

【共催】懐刀、京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)
【制作】グラウンディングラボ
【運営協力】ボスコーポレーション / サウンドクリエーター
【総合プロデューサー】島津真太郎

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