スーパーGT名門コンストラクターのaprが今季から投入したapr LC500h GT。そのルックスからシーズン開幕前にも注目を集め、緒戦となった第1戦では予選6番手、さらに続く第2戦では予選2番手のフロントロウに入る速さを披露しているが、決勝での最上位は第4戦での5位に留まり、第5戦終了時点のランキングは13位となっていた。
そんな状況で迎えた第6戦SUGO。apr LC500h GTは今度こそ結果を残すべく土曜日の公式練習で走行を重ねていったが、GT300専有走行時にSPコーナーでクラッシュを喫してしまう。
「単純に走行ラインを外してしまい、縁石の上にスキッドブロックが乗ってしまった影響でコントロールできなくなってしまいました」とドライブしていた嵯峨宏紀。ハイスピードコーナーでのアクシデントということで心配されたものの、嵯峨は大事には至らず。しかし、マシンは「半損」の状態だったとaprの金曽裕人監督は修復作業を振り返る。
「エンジンはアウトでしたし左側の足回りは全部ダメで、生きていたのは……右側のドアとホイール、足回りくらいでした。幸いにもダンパーは4本とも生きていましたけど、それ以外はほぼアウトでした」
もちろん修復作業のため午後の予選は不出走に。マシンの修復は金曽監督自身も工具を手に徹夜で行われたが、「ホテルに一度鞄を取りに戻らないといけなかった」という思わぬ影響により、決勝日の朝6時過ぎに“カッティングシートを貼る前”の段階まで完了したところで一区切り。その後サーキットに戻った後にアライメント測定などの作業が再開された。
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決勝日になんとか走れるようになったapr LC500h GT。ウォームアップ走行では、1周のチェック走行を行うためにコースインしたが、ピットに戻ってきた車両にオイルの滲みが確認された。これについては「行こうと思えば行ける」ほどのものだったというが、第4戦富士でHACHI-ICHI GR Supra GTとHOPPY Schatz GR Supra GTの2台に車両火災が起きたこともあり、慎重を期して細かい部分の確認が行われた。
そして迎えた午後の決勝レース、修復が完了したapr LC500h GTは再車検合格により決勝に出走。最後列となる24番手から第1スティントの嵯峨、第2スティントの小高一斗がセーフティカーや赤旗中断のレースを生き抜き11位でレースを終えた。
ポイント獲得こそならなかったが、今回もマシンの速さを証明したapr LC500h GT。その活躍を称え、レース後にはZFアワードの『ベストメカニック賞』を受賞する。しかし、チームの目標はさらに高いところにあると金曽監督は語る。
「いつも言っているんだけど、土曜日がもっとまとまっていればなと思います。ライバルたちと同じスピードで走れるクルマだということは分かっているので、今の状況はもったいないです」
「毎戦チャンスだと思ってサーキットに来ているけど、それを取りこぼしている気のほうが強いです。本当ならもう優勝をしているはずなのに、それを達成できない方が悔しい。その目標を達成できるように（次戦以降は）本当に土曜日から流れを作っていかないといけないですね」
マシン自体のポテンシャルはすでに証明済み。あとは金曽監督が言うようにレースウイークの“流れ”を掴むことができれば、apr LC500h GTが待望の初優勝を飾る日は近いだろう。
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