太田格之進、ファンの声援と王者の走りに刺激「自分もさらに上を」【F1日本GP国内ドライバーに聞く】

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2023年09月26日 08:20  AUTOSPORT web

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2023年F1第17戦日本GP プライベートで観戦に訪れていたGT500&SFドライバーの太田格之進
 3日間合計で22万2000人を動員した2023年F1第17戦日本GPの舞台、鈴鹿サーキットには国内レースを戦うドライバーらの姿もあった。なかでも笹原右京や松下信治らはDAZNや場内放送の解説などで3日間を忙しくしていたが、その他にもプライベートでレース観戦に来ていたドライバーの姿も複数見られた。そのひとりが、現在スーパーGT GT500クラスと全日本スーパーフォーミュラ選手権で活躍中の太田格之進だ。

 今回は友人と一緒に来場していた太田は鈴鹿サーキットのキャンプエリアに宿泊。自身も初めてのキャンプだったとのこと。決勝日には彼がスーパーGTで所属するNAKAJIMA RACINGの中嶋悟総監督がGPスクエアでのステージトークショーに出演。その際に今回ホンダブースで販売された第2期ホンダF1の復刻版ウェアのポロシャツを着用していたのだが、出演が終わった中嶋総監督からプレゼントしてもらったそう。それを持って決勝レースの観戦に向かうなど、F1日本GPの観戦を満喫している様子だった。

 そんな太田は、現在24歳。F1を観に来るのは2回目だというが「昔、小さい時に観にきたことはあって、最近ではないです。(最初に観にきたのは)ターボエンジンになる前の頃でした」と太田。国内レースとは違う雰囲気に「やっぱり、雰囲気がすごいなと。エグいですね」と驚いていた。

 特に予選では角田が大活躍を見せQ3進出を果たした。特に難関となっていっていたQ2突破が決まると、鈴鹿サーキット中でレースウィーク一番と言って良いほどの大歓声が沸き起こった。それを観戦席で経験した太田も、感じるものは多かったようだ。

「クルマも速いし、お客さんの盛り上がりがすごいですね。日本人ドライバーがひとりしか出ていないから、それをみんなで応援する雰囲気が出来上がっているなと思いました。それがすごかったです。裕毅(の結果)が良いとみんなが喜ぶ。これが、例えばスーパーフォーミュラだと、チームごとにファンも分かれているので、少し違う雰囲気があります。この盛り上がりはけっこう特別だなと思いました」

 さらに観客目線になったことで、気づくことも多かったとのことという。

「観客側の視点で今回観ていますけど、ドライバーもそうだしクルマもそうですが『こういうふうに見えているんだな』と客観的にドライバーを見ることができて、自分自身も勉強になりました。それこそファンサービスひとつをとっても、すごく勉強になりました」と太田。

「ドライバーの入り待ちとかも朝早い時間からいたりしていらっしゃるのを見ました。そういう(ファンの皆さんの)裏側とかを見ることができて、良かったです」と週末での経験談を披露してくれた。

 鈴鹿でのF1日本GPといえば、毎日ように早朝から熱心なファンが関係者が利用するモータースポーツゲートの前に集まって“入り待ち”をしている。最近ではスーパーGTでも入り待ちをするファンが見られるようになってきたが、関係者の話によると今回は一番早い人で朝5時30分ごろ待ち始めていたとのこと。その“応援する熱意”も、彼にとっては初めて見た光景だったのだろう。

 もちろん、観客席からは各マシンの走りを入念にチェックしていた太田。「あまり詳しくは言いたくないんですけど……本当に勉強になっています」と、王者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の走らせ方からヒントを掴んだ様子だった。

「やっぱりフェルスタッペンですね。チームメイトにあれだけの差をつけるのはすごいですし、何よりも自分のスーパーフォーミュラ最終戦に活かせそうなことがたくさん見つかりました。特にコーナーの走らせ方とか。それを自分のマシンで試してみたいなという気持ちになっています」

「同じカテゴリーだと、僕たちって限界を自分のドライビングで確かめていくという技術にある程度長けていると思いますけど、『他の人がこうだから』とか『昨年のポールポジションの人がこんな感じで走っていたから』という、ある意味で固定観念というのがあります」

「それが、フェルスタッペンとかトップのドライバーはナチュラルな考え方を持っているというか、今までの僕たちが当たり前だと思っていることに対して少し違う見方を持っているというか……例えばデグナーとかでも、僕たちはけっこうぶつかっているシーンを見ていますけど、彼らは全く恐怖心なく飛び込んでいる感じがしました。そうやって必要以上に止めすぎたりすることも少なかった気もします」

 そして、カート時代はともに切磋琢磨してきた角田の活躍を目の当たりにしたことも、大きな刺激になっていると、太田は語る。

「裕毅とはスクールもかぶっていないですし、(4輪では)僕がFIA-F4に上がったタイミングで彼はFIA F3に行きました。でも、カート時代は一緒にフランスに行きましたし、仲はいいです。プライベートでは最近会えていないですけど、普通にしゃべりますし、今回もレースが終わった後に多分会うと思います」

「でも……裕毅とか当時カートで一緒に走っていたドライバーが“正真正銘の世界トップ20”の中に入って予選アタックをしているのを見ると、めちゃくちゃ刺激を受けました」

「全員が『ユウキー!』と声援を贈る姿を見ると、自分ももっと頑張らないといけないなというか、もっと上を目指し続けないとダメだなと。本当に来て良かったなと思いました」

 ちょうど、日本GPのレースウィーク中に、平川亮が2024年からマクラーレンのリザーブドライバーに就任することが発表された。このニュースも太田にとっては原動力となっており、「年齢だけで言ったら、僕たちもまだまだ挑戦できると思いましたし、ホンダのアメリカの体制が変わってチャンスが増えてくるのかなと思います。僕自身も最近流れが良いので、この調子でいきたいですね」と気合いが入っていた。

 フォーミュラカーのカテゴリーでいくと10月28〜29日にスーパーフォーミュラ最終ラウンドが鈴鹿サーキットで開催される。ルーキーイヤーとして今季を迎えている太田は、前半戦こそ苦しんでいたが第6戦富士で予選3位、第7戦もてぎで予選2位と速さを披露。スーパーGTでも第4戦富士で2位表彰台を獲得するなど、ここ最近の活躍は目覚ましいものがある。

 今回の経験で10月のSF鈴鹿ラウンドに向けて、俄然やる気になっている様子の太田。「めちゃくちゃ入っています。SFの最終戦はマジで勝ちに行きます。かなり右肩上がりできているから、僕もチームも期待感はどんどん大きくなってきていますからね。本当に『見ていてください!!』という感じです」と、力強く語っていた。

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