未来の秋田の姿を考える「あきたエコフェス」開催 - 秋田県の清掃活動にかける想いと取り組み

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2023年09月28日 13:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
9月2日・3日に秋田駅前アゴラ広場周辺にて、「第21回あきたエコフェス ゼロカーボンと3Rで変わる未来」が開催され、JTが「Rethink PROJECT」の一環として展開する「ひろえば街が好きになる運動」(通称:ひろ街)による清掃活動が行われた。


「あきたエコフェス」は、秋田の豊かな自然や省エネルギー、再生可能エネルギー、3Rに関して、大人も子供も一緒に楽しみながら学習、そして県民が環境と経済の好循環で変わる将来の秋田の姿をより身近なものとしてイメージできる場を提供することを目的としたイベント。ステージイベントや体験ブース、企業・団体によるブースの出展、講演会などが行われた。


JT 秋田支社が「Rethink PROJECT」として出展したブースでは、「ひろ街」の活動として、秋田駅周辺での清掃活動を実施。来場者に、清掃用のトングやごみ袋を配布して清掃活動に参加してもらい、ごみの回収時に、記念品としてトートバッグがプレゼントされた。


今年で21回目を迎えた「あきたエコフェス」には多数の企業・団体が参加し、環境問題を中心とした啓発活動を行った。そこで今回は、「あきたエコフェス」の実行委員会にも名を連ねる秋田県、さらに、秋田県内での清掃活動を実施・啓発するJT、そしてピリカの活動内容や清掃活動に対する思いなどを伺った。

○■秋田県が取り組む清掃活動



個人や企業、団体が取り組む清掃活動を、県としてPRしたり、広めたりすることが、「活動に取り組んでいる方のモチベーションアップに繋がる」と話すのは、秋田県 生活環境部 温暖化対策課 主任の伊藤大貴氏。一人ひとりの取り組みがきれいな街づくりに繋がるという思いを持つことが重要であるという考えから、秋田県では清掃活動への支援を続けてきた。


そんな中、秋田県だけではなく、企業や環境団体などと一体になった普及啓発活動としてスタートしたのが「あきたエコフェス」。県単独ではなく、実行委員会形式で実施することによって、参加する企業や団体との繋がりが深まり、普及啓発だけではなく、コミュニケーションの場としても一定の役割を果たしているという。



「ひろ街」の一環として参加するJTについて、「大きな企業の方に、身近なところでのごみ拾いを呼びかけていただくことは、来場する方への普及啓発の効果が大きい」と歓迎。活動の継続はもちろん、さらに他企業や団体と連携して、より活発な活動を期待した。


一方、秋田県は、「クリーンアップでつくる美の国あきた」をピリカと共同制作。これは、ごみ拾いアプリ「SNSピリカ」と呼ばれるSNSサービスを活用し、秋田県内でクリーンアップなどの活動に取り組んでいる人の成果を“見える化”したWEBサイト。ごみを拾った場所や活動に参加した人などを表示することによって、これまでは伝わりづらかったごみ拾いという活動が、「より多くの人に知ってもらえる機会になった」と伊藤氏。



さらに、「SNSピリカ」に備わったコメント機能によって、「ごみを拾ってくださっている方同士のコミュニケーションであったり、活動の励みになっているのではないか」と、“見える化”以外の効果にも期待を寄せている。



清掃活動に力を入れる秋田県は、海岸のごみにも着目。海岸のごみ対策は、海辺のごみ拾いも重要な活動になるが、内陸や山のごみが川を下って海に流れているという側面も見逃さない。

「海から遠い内陸部の方も、他人事と捉えず、自分たちの周りをきれいにすることが、海をきれいにすることにも繋がっている意識を持ってほしい」と、今後の啓発活動への意欲を見せた。

○■「ひろ街」を通してクリーンアップの輪を広げる



「ひろ街」を全国で展開するJTだが、秋田県においては、ABS秋田放送が音頭を取り、周辺企業とともに、月末の金曜日に清掃活動を行う「ラス金クリーンアップ活動」に参加。また、秋田市内の大学のサークルと共同で、海水浴場の清掃活動などを実施してきたと話すのは、「あきたエコフェス」会場のJTブースを取り仕切るJT 秋田支社 主任の永井徹也氏。


海水浴場での清掃活動をきっかけに秋田県との繋がりを深め、県とピリカの共同制作によるWEBサイト「クリーンアップでつくる美の国あきた」にも協力。連携を密にしながら、さらに協働できることはないかと模索しているという。



今回の「あきたエコフェス」では、「ひろ街」活動の一環として、秋田駅周辺の清掃活動を実施。「観光地でもある秋田県の玄関先をきれいにして、気持ちよく皆さんに使っていただきたい」と意気込む永井氏。実際に活動してみた印象として、「参加者の方から『思っていた以上にごみが少ない』という声を多く聞き、すごくマナーの良い街であることをあらためて実感しました」と笑顔を見せる。



また、ブースを訪れた小学生が、夏休みの自由研究として毎日ごみ拾いをしていたという話を聞き、「SNSピリカ」を紹介すると、すごく笑顔で喜んでくれたというエピソードを披露。街をきれいにする人の輪が広がっていくのを実感し、これからも継続して、きれいな街を作り続けていくことが大事であるとの想いを新たにしたという。そして、今回の「あきたエコフェス」には多くの企業・団体が参加していたが、まだまだ独自での取り組みが多いことから、「積極的に情報提供や情報共有をさせていただき、いろいろなところの橋渡しをしながら、少しでもクリーンアップの輪が広がっていくお手伝いができれば」と、今後の展望を明かした。

○■SNSサービスでごみ拾い活動を身近に



ごみ拾いアプリ「SNSピリカ」を展開するピリカは、科学技術の力で環境問題を解決することをミッションとしている。直近では、ごみの自然界流出問題に取り組み、回収量を増やすことと、流出量を計測することを事業の柱として展開。2016年頃から路上に落ちているごみの調査や水辺に浮遊するマイクロプラスチックの調査を行っている中で、JTのサステナビリティ担当部門と一緒になる機会があり、その経緯から、「ひろ街」とも協業することになったという。


「ひろ街」の活動について、ピリカ サービス事業部の箕田悠里氏は、「拾うという体験を通して、捨てない気持ちを育てたいという市民参加型の清掃活動」と認識。ピリカでは、“ごみを拾った人は、ポイ捨てしなくなる”と考えており、特に、全国に活動を広げ、展開していく力に尊敬と共感の念をもって協力しているという。「SNSピリカ」はSNSサービスとして、オンライン上のつながりを重視するが、「ひろ街」はリアルなコミュニケーションである点にも注目。日本最大級のごみ拾い活動として、多くの人と関わりを持って活動している点も高く評価した。



実際、「あきたエコフェス」における「ひろ街」の活動においても、トングやごみ袋を用意し、誰でも気軽に参加できる点を称賛。



「『SNSピリカ』をやっている方々も、準備であったり、ごみの回収や分別、処理などが課題になっていて、ごみ拾いは、手軽にできそうですが、実際に活動するのはちょっと難しいという面があります。そういったところをすべて引き受けてくれるのは本当に素晴らしいと思っています」



「ひろ街」との関わりについては、まだ手探りな部分があるとしながらも、「今回を機に、より良いカタチでパートナーとして取り組んでいきたい」とさらなる連携に意欲を見せた。



また、「クリーンアップでつくる美の国あきた」を共同制作する秋田県については、「温暖化対策課を設置し、SDGs活動に幅広く力を入れている自治体だと感じている」との印象を話す。サイトの開設が2020年8月というコロナ禍の厳しい時期だったが、この発信を通して、いろいろな人を巻き込んでいきたいという思いに共感し、一緒に取り組んできたと振り返る。



ごみの自然界流出問題を解決することをミッションに事業展開するピリカは、自然界に流出したごみの回収量を増やしていくことが問題解決における重要な対策のひとつだと考えているそう。住民が自分の街で自らごみを拾うという行動は、その解決策においても近道であり、有効な手段のひとつだと話す。



“ごみを拾った人は、ポイ捨てしなくなる”というだけではなく、「実際に拾わなくても、ごみを拾っている人を知っているだけでも、近い効果があるのではないか」という箕田氏。「ごみを拾って発信することで、誰かに気づきを与えるかもしれない。そういった機会を、『SNSピリカ』を通じて増やしていければと思っております」と、「SNSピリカ」のさらなる普及の重要性を説いた。



糸井一臣 この著者の記事一覧はこちら(糸井一臣)
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