「カオス」で「女性の怒りに満ちている」…「超サイテーなスージーの日常」共同クリエイターが込めた思いとは?

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2023年09月28日 17:32  cinemacafe.net

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「超サイテーなスージーの日常 シーズン2」© Bad Wolf (IHS2) Ltd. 2022.
イギリスの最長寿SFドラマ「ドクター・フー」に出演した国民的スター、ビリー・パイパーと、エミー賞受賞のHBO人気ドラマ「メディア王 〜華麗なる一族〜」などを手がけてきたルーシー・プレブルがタッグを組んだドラマ「超サイテーなスージーの日常」のシーズン1&シーズン2<字幕版>が「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」にて独占配信中。

シーズン1では、この2人が肌で感じたエンタメ業界で働く女性のジレンマや経験を盛り込み、シーズン2ではメンタルヘルスの問題にも切り込んだリアルなドラマを構築。

女性の本音や欲求、固定観念に対する不満、性差別などを率直に、かつ辛辣なユーモアをまぶしながら描き、“ただのコメディではない深みを感じさせる作品”として、英・Skyや米・HBO Maxで大ヒット。シーズン1が批評サイト「Rotten Tomatoes」で95%フレッシュを記録したことに続き、キャリアも家庭も失った主人公スージー・ピクルスがダンス・リアリティ番組に出演して起死回生を目指したシーズン2は100%フレッシュという高評価を獲得。ビリー・パイパーはシーズン1、2続けて英国アカデミー賞(BAFTA)主演女優賞にノミネートされた。

この度、ビリーとともに本作を手がけた共同クリエイター、ルーシーのインタビューが到着。シーズン2をどんな思いで作りあげたのか語っている。

Q:前回のスージー・ピクルスから、状況はどのように変化しましたか?

ルーシー・プレブル(以下、R.P):「超サイテーなスージーの日常2」は、前作の終わりから数か月後に始まります。人生を投げ出したスージー・ピクルス(ビリー・パイパー)は、姉の家に身を寄せ、世間の目から逃れようとしていて、離婚を乗り越え、キャリアを立て直す方法を見つけ出そうとしています。

スージーの女性としての経験はテレビのタレント・コンテストから始まりました。そしていま、彼女は自分がよく知っていて理解している世界に戻ることを決意します。「ダンス・クレイジー」という国民的人気を誇るダンス番組です。セレブたちがテレビで大衆の愛を競い合います。いまこそ彼女はステージに立ち、本当の自分を世界に示そうとするのです。

Q:シーズン1の反響は、今回の脚本に反映されましたか?

R.P:(反響の大きさは)かなり奇妙で強烈で、おかしな感じでした。愛と同じくらいヘイトも期待していましたし、自分が特別な存在だと思えば思うほど、人々は自分自身を受け入れるようになるということを学びました。これは驚くべきことです。

また、悲しいことに、本当に人々の心を動かし向上させる脚本とは、ページ上に血がにじむような脚本なのです。自分自身の向き合いたくもない、隠しておきたいような部分をさらけ出し、解剖するようなもの。それは非常に疲弊する作業ですが、それこそが真実です。

そして、これほど多くの番組があるいま、あえて一般的ではない番組を作ることを楽しんでいました。その意図は、見慣れた番組を作るのではなく、TVというメディアを使って、人生とは本当はどんなものかを思い出させ、お決まりの展開の裏に隠されたものを探らせることでした。

Q:今回はどのようにストーリーを進めたのですか?

R.P:3話にわたって、スージーがダンス・コンペティションに出場し、彼女の私生活がどのようにダンス大会と絡み合い、影響を与えていくのかが描かれます。クリスマスに3夜にわたって放送されるBBCの時代物ような、大きなコンセプチュアルなアイデアなんです。あなたが歴史劇を観たくないときに観る番組ですね。親と一緒に見る番組ではありません。

前シリーズは、エピソードごとに異なる感情を持つというコンセプトでした。でも今回は序盤、中盤、そして終盤の3幕構成になっています。

Q:クリスマスを舞台にすることで、何が生まれるのでしょうか?

R.P:クリスマスは、喜びと同じくらい苦痛と騒乱に満ちた魅力的な時期です。特に女性は、この時期に多くのプレッシャーと混乱を感じると思います。 感情的に高まる時期です。

このシリーズは両極端で、相反するものをテーマにしています。ステージ上のきらびやかさと舞台裏のたたずまい。1年で最も素晴らしい時期であり、人々が離婚を決意しやすい時期でもあります。

多くの芸術作品には、クリスマスは魔法のように、甘くて、気取ったものとして見せなければならないというプレッシャーがあるようですが、それが悪夢になることもあります。この作品は、クリスマスの華やかさと激情を描いた楽しい作品であり、1年で最も素晴らしい時期に、ある種の“仮面”を保ち続けなければならないと感じているすべての人にとって、かなりのカタルシスを感じられると思います。

Q:ビリーの演技はどのように進化したのでしょうか?

R.P:ビリーは国宝級の並外れた俳優だと思います。もちろん、あのダンスをすべて自分でこなすというすごいことを含めて。トレーニング、パフォーマンス、演技、そして振付師として、また編集者として、そして彼女はエグゼクティブ・プロデューサーとして、すべてのことに携わっています。

印象的だったのは、このキャラクターが関心を集めたいわけではなく、どれほど一生懸命なのかということです。初めてラッシュ(編集前の映像)を観たとき、この作品が持つ怒りに驚きました。

Q:今シーズンのスージーの軌跡は、実話に触発されたのでしょうか?

R.P:もちろんそうです。ブリトニー・スピアーズやアンバー・ハードがビリーに近いとみんな言いますが、ビリーはこうしたことを理解できる素晴らしい役者です。出発点はもっと政治的で文化的なものです。

Q:テレビ界の内輪ネタになりすぎないように気をつけなければいけませんでしたか? 視聴者は舞台裏を見るのが好きだと思いますか?

R.P:そういうことはあまり考えていませんでした。「メディア王 〜華麗なる一族〜」の脚本と製作総指揮から学んだことですが、この業界の裏側について忠実であればあるほど、より多くのリサーチを行えば行うほど、視聴者はそれを感じ取り、信頼し、傾倒していく。一般的で分かりやすい視点から書こうとすればすぐに、見下されていると感じ取るのです。これらの番組を見ている人たちは、仕事を持っていて、これらの世界が本当はどんなものかを知っています。それが正直に描かれているのを見ると、ホッとすると思います。

※以下、シーズン2の内容に触れている表現があります。
Q:スージーが妊娠中絶をするシーンは、動揺を感じさせると同時に、現実のように感じられます。
女性の権利に対する現在進行形の攻撃に照らして、このシーンを見せることはどれほど重要だったのでしょうか?

R.P:中絶をスクリーンで一度も見たことがないなんて、どうかしています。もちろん、様々な形で中絶が取り上げられてはいますが、多くの場合、東欧の圧政や、ヴィクトリア朝時代の路地裏の体験など、悲惨な視点から取り上げられることが多いものでした。まるでそれが、いまではまったく起こってないかのように。

実際にはほとんどの中絶には正当な理由があって、女性たちが見届けるなかで現実的で管理的な方法で行われています。女性たちは、子宮外妊娠という医学的理由から、妊娠を継続することが受け入れられないという理由まで、中絶が必要になる事情がたくさんあることを知っています。

妊娠を継続できるかどうかは、生殖に関する一般的な文化的理解とはまるで異なる毎月の“現実”があります。毎月の出血にはむらがあるんです。ときには、それが受精卵であることさえわからない場合もあるのです。

妊娠、流産や中絶を理解するための会話は、特にアメリカ合衆国では、不愉快なほどに狭視野で家父長的で、女性蔑視の無知で恐ろしい恥ずべきものとなっています。(本作のスージーのような)中絶の経験の真実味のある思慮深い表現は貴重なのです。

Q:エンディングは、多くの人にとってショックかもしれないですね。特に、クリスマス・スペシャルであることを期待すると、この結末は、多くの人にとって衝撃的かもしれません。

R.P:この結末は、ビリーと私の話し合いから生まれました。ここ数年、女性に関する衝撃的で受け入れがたい現実がありました。私たちは、それを正直に表現しないまま番組を終わらせたくはなかったのです。体裁よく整えられた結末が正しいとは思えません。

私は自分の悲劇にうんざりしています。女性にまつわる悲劇が、男性にまつわる悲劇よりも低く評価されることにうんざりしています。私が書いたものは怒りに満ちたものなのに、面倒くさいものと言われることにもうんざりしているんです。もうこれ以上、笑顔を振りまいてなんていられないんです。

Q:シーズン2の見どころは?

R.P:カオスでした。カオスです。カオスを見てほしいです!

<海外ドラマ「超サイテーなスージーの日常 シーズン1」(全8話)>
<海外ドラマ「超サイテーなスージーの日常 シーズン2」(全3話)>
【配信】スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-
<字幕版>独占配信中
<吹替版>シーズン1:全話配信中、シーズン2:10月2日(月)より全話配信開始

【放送】BS10スターチャンネル
【STAR1字幕版】10月10日(火)より放送開始 毎週火曜23時ほか
【STAR3吹替版】10月12日(木)より毎週木曜22時ほか

▼シーズン1(全8話)再放送
【STAR1字幕版】9月26日(火)&10月3日(火)23時より4話ずつ放送 ※第1話は無料放送
【STAR3吹替版】10月5日(木)22時より全話一挙放送


(シネマカフェ編集部)
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