会見に出席した(左から)山田将之弁護士、井ノ原快彦、東山紀之、木目田裕弁護士 (C)ORICON NewS inc. ジャニーズ事務所は2日、都内で今後の会社運営に関する会見を行った。故・ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、東山紀之新社長、井ノ原快彦らが社名変更と新会社設立、補償状況などについて説明した。
【写真】頭を下げ、会見に入った東山紀之・井ノ原快彦 ■ジャニーズ事務所、社名「SMILE-UP.」に変更を発表
会見には東山、井ノ原、山田将之弁護士(チーフコンプライアンスオフィサー※CCO)、木目田裕弁護士が参加。現事務所は、被害者補償会社として残り、藤島ジュリー景子前社長が株を100%保持したまま被害者の救済や被害補償に専念。新会社においてはジュリー氏は一切出資せず、取締役にも入らない。現事務所は『SMILE-UP.』(スマイルアップ)と変更することを発表した。
『SMILE-UP.』の名称は3年前に社会貢献プロジェクトを推進していくために取得した商標。東山は「被害者のご相談窓口について臨床心理士などにご協力をいただき、被害者の方に寄り添う形をきちっと作っていきたいと思っております。そして喜多川氏と完全に決別する決意を示す社名を10月17日付けで『SMILE-UP.』と変更していきます」とした。
「スマイルという言葉に違和感を感じていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、まずは被害に遭われた方々への支援や補償を少しでも早く進めていくことが『SMILE-UP.』社の社会的責任と考えております」と再出発を誓った。
退所がすでに報じられている岡田准一について、井ノ原は連絡取っているとした上で「これからしっかり発表してくると思うので、本人からさせてあげてください」と話すにとどめた。ない、井ノ原自身がタレント業の継続を明言している。
■ジュリー氏、引き続き100%株主に(ジュリー氏は会見欠席/手紙より)
今回なぜ私が100%の株主として残るのか、多くの方々から批判されました。
実は多くのファンドの方々、企業の方々から私個人に有利な条件で買収のお話もたくさんいただいております。そのお金で相続税をお支払いし、株主としていなくなるのは補償責任もなくなり、一番楽な道だと何度も何度も多くの専門家の方々からアドバイスされました。
しかし、100%株主として残る決心をしたのは他の方々が株主で入られた場合、被害者の方々に法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした。
そういう理由で現在の会社には株主100%として残りますが、チーフコンプライアンスオフィサーを外部から招聘し、今後私は補償とタレントの心のケアに専念し、それ以外の業務には一切当たりません。
また、今後私は全ての関係会社からも代表取締役を降ります。また、ジャニーとメリーから相続したとき、ジャニーズ事務所を維持するためには事業承継税制を活用しましたが、私は代表権を返上することでこれをやめて、速やかに収めるべき税金全てをお支払いし、会社を終わらせます。
ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやりきらなければいけないことだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切なくしたいと思います。
■所属タレントと個別に契約、エージェント会社成立へ 会社名は公募で決定
新たに設立するエージェント会社を設立することを発表した。所属タレントが個人やグループで作る事務所と個別に契約を結ぶ態勢を整える。エージェント会社は東山が社長を務め、井ノ原が副社長に就任する。新エージェント会社の名称はファンクラブを通じて、公募により選出される。
各アーティストがエージェント会社に所属するかは今後ファンクラブを通じて発表されるが、東山はグループ名変更について「たくさんのファンの方に愛されてきた名前。本人たちも葛藤はある。ただ『変えていく』と聞いております。本人たちも苦渋の決断をした。そういう形になっていく。ジャニーズとつくものはすべてなくなります」と説明。グループ会社も変更されることも明かした。
■被害補償について説明 11月からスタート、受付窓口には478人が申し出&325人が補償求める
東山は、被害補償の受付窓口には「478人から申し出があり、325人が補償を求めている」とし「11月から補償をスタートさせていきたい。今後は臨床心理士などにご協力いただき、寄り添う形をきちっと作っていきたい」と明かした。
ジャニーズ事務所は先月7日に、性加害問題について一回目の会見を実施。元代表取締役社長・藤島ジュリー景子氏が出席し、ジャニー氏の性加害を事実と正式に認め、謝罪。ジュリー氏は社長を退任し、新社長として所属タレントである東山が就任した。東山は年内をもってタレント活動を引退する。
同事務所は13日に再発防止特別チームからの提言に従い、ジャニーズ事務所との関係のない、元裁判官の経歴を持つ弁護士3人よって組成された被害者救済委員会の設置と補償受付窓口(15日〜)を開設。この被害者救済委員会の判断に従い被害者に対する金銭補償を行っていくとしていた。
被害者救済委員会は、被害者から受け付けた申告内容や資料を検討するほか、被害を申告された人から直接話を聞いて補償金額を判断する。査定された補償金額の支払いについては、被害申告者の所属時期や被害の時期を理由に「補償を拒むことはいたしません」としている。
タレントまたは研修生(「ジャニーズJr.」)など所属がわかる資料や、性加害により受けた影響に関する診断書などの資料の提出を可能な限り求めながらも、同様に「これらの資料がなくても被害者救済委員会の審査・査定の対象となり、これらの資料がないことを理由に補償を拒むことはありません」と答えていた。
■再発防止策として外部からのチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を設置
人権に対する基本方針の策定と実施、その内容を含めた社内規程整備などを行う。すでに策定している内部通報制度の更なる整備・拡充、ジャニーズJr.の相談先であるホスピタリティルームを拡充させるなど、すでにスタートしている諸制度についても改善、運用の充実を図ることも報告されていた。
■東山紀之、退所メンバーに「圧力をかけない。逆に応援したいくらいです」
今後想定される退所を決断する所属タレントに関して、東山紀之新社長は「圧力をかけるというよりも、さらに応援していきたいと思っております。それはファンの方が選ぶことでありますし、僕自身もこれまで退所した方々とコミュニケーションもとっておりますし、同じ土俵の上に立っている表現者だと思っていますので、逆に応援したいくらいです」とコメントし「圧力等々をかけることはありません」と断言した。
■300人参加の会見では怒号も飛び交う 誹謗中傷に警鐘「すべてにおいてやめてほしい」
会場には約300人(294人)が来場。ムービー29台74人、スチール54人、ペン記者は167人が詰めかけた。前回の会見より一歩踏み込んだ再発防止策や新体制への説明がなされたものの、1社1問の呼びかけを守らず、複数回質問をしたり、そのたびに怒号が飛び交うなど記者のモラルが問われる場面も目立ち、波乱の船出となった。
冒頭、改めて加害問題を東山が謝罪した後、井ノ原が被害者への誹謗中傷を辞めるように要請。さらに後半、「ジャニーズファンの加害者」だという中傷が起こっていることがジャニーズファンを名乗るライターからなされると被害者は前提とした上で、いかなる相手に対しても「誹謗中傷ということをすべてにおいてやめてほしい」と強く願った。