同コレクションは、「Mame Kurogouchi Basics」コレクションに加わり、タイムレスをテーマとするBasicsのワードローブに立体的かつ有機的な広がりを与え、日常のわずかな時間に寄り添いながら、五感へと訴えかけるものとして展開する。
ブランド初となる香りの制作に際し、デザイナーの黒河内は記憶の深部へと目を向け、生まれ故郷の長野の冬景色へとたどり着いたという。暖かな室内から窓越しに眺める雪景色や雪の下に眠る生命、静寂に包まれた環境で洋服と肌の間に感じる微かな熱と、眼前に広がる冷ややかな景色が共存するといった対極の調和がインピレーションとなった。五感によって記憶された景色や温度、色彩を、ライケンの調香を手掛けるアーティストの和泉侃が、天然香料を用いてフレグランスへと昇華させた。
オードパルファムは秋の七草であるフジバカマを手掛かりに、白檀や沈香、すみれなどのブレンドに、ライケンのシグネチャーである「LICHEN BASE EAU DE PARFUM」が持つオークモスを主体とした土のエレメントを組み合わせた。アルコール成分は米由来のものを採用。雪をまとった土の上に広がる無音の冷たい風景と、室内から眺めている体が感じる温かみを彷彿とさせるような香りに仕上げた。
キャンドルはソイワックスに和薄荷(ハッカ)やローズマリーなどの精油を用いて、凍てつく大地やゆらめく炎、汗ばむ肌、湿った土といったエレメントを内容し、自然がたもたらす多様なレイヤーと記憶を繊細に表現した。