八代拓&佐倉綾音、人の命と向き合うキャラクターたちを見て「命をかけて収録に臨まなければ」

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2023年10月07日 07:11  TVerプラス

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TVアニメ『め組の大吾 救国のオレンジ』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週土曜17:30〜※一部地域を除く)第2話が、10月7日に放送されます。

伝説の消防官・朝比奈大吾(あさひな・だいご)の熱き魂を引継ぐ、若き3人の消防官の姿を描いた同名漫画(講談社「月刊少年マガジン」連載中)をアニメ化した本作。消防組織のなかでも精鋭部隊である「特別救助隊」、通称「オレンジ」を目指す若き3人の消防官が切磋琢磨し、命の危機から人々を救い出す成長物語が展開します。

そんな3人の中から、斧田駿役の八代拓さん、中村雪役の佐倉綾音さんにインタビュー。作品の印象のほか、「オレンジ」を目指す役を演じることにちなみ、2人が声優を目指したきっかけ・目標としているものも聞きました。

“人の命と向き合う”とは――

――本作に初めて触れての印象を聞かせてください。

八代:漫画からでも事故現場の凄惨さが伝わってきました。現実に起こりうることとはいえ、自身は体験したことのない環境で仕事している青年たちの心情の動きや成長が鮮明に描かれていて、心が揺さぶられましたね。オーディションを受けるにあたって原作を読んだのですが、劇中のキャラクターたちが生死をかけて仕事に挑んでいる姿を見て、もし演じることになったら僕自身も「命をかけて収録に臨まなければならない」と思いました。

佐倉:私もオーディションを受ける際に原作を拝読しました。アニメのオーディション原稿には大きく分けて2種類あって、1つは文字だけ書いてあるパターンと、もう1つは漫画内の台詞が丸で囲ってあるパターン。今回は後者だったのですが、そうするとキャラクターたちが対峙している景色が眼前に浮かぶんですよね。火災現場での雪の気持ちに感情移入してしまい、緊張感を持ってオーディションに臨みました。

また、私があまり雪のようなキャラクターに受かった経験がないことも緊張感に繋がっていたと思います。私よりも上手に演じられる、声質が適した素敵な役者さんがいることもわかりつつ、でも個人的にはすごく演じてみたい役どころではあったので、「受かりました」と事務所から連絡があった時は本当に嬉しかったです。もし落ちていたら、受かった人に嫉妬してしまっていたかもしれません(笑)。

――作中で印象に残った場面、台詞はありますか?

佐倉:先ほど八代さんが言ったように、現実に起こりうる事柄を描いていて、決してファンタジーではないんですよね。私たちが日常で耳にするサイレンの音の先に、失われようとする命があって、さらに自分の命をかけて救おうとしている命があることに衝撃を受けました。決して知らなかったわけではないのに、漫画を通して改めて目の当たりにすると、とても苦しい気持ちになりました。

八代:主人公の十朱大吾(榎木淳弥)が、ラーメン屋の店主を救うシーンは特に印象に残っています。大吾はその人の命だけではなく、その先の未来まで考えて救出しようとしていて、人の命と向き合うとはどういうことなのかを考えさせられました。

――演じる駿と雪の印象、魅力に感じた部分があったら教えてください。

八代:大吾と雪がものすごく重くて大きいものを心に抱えているのに対し、駿はまっすぐな理由でこの仕事に就いています。そういう意味で、おそらく視聴者の皆さんと一番近い心情で動くキャラクターなのではないでしょうか。大吾と雪に刺激を受けたり、起こっていることに素直に反応するので、僕もそんな彼を素直に演じたいなと思いました。

佐倉:雪は、どうしても消防官になって人を救わなければいけないという、自分に課した十字架みたいなものを背負っているキャラクターです。しかし、そんな目標があるからこその強さを持っていて、そこに魅力を感じました。

――佐倉さんは第一報で、「この作品を通して消防官について知ったことがある」とコメントしていました。これまで持っていた消防官へのイメージ、その変化を教えてください。

八代:僕は出身が岩手県なのですが、東日本大震災が起こった当時は地元にいました。それまでは消防官に対して漠然と「町を守ってくれている人たち」というイメージを持っていたのですが、震災の悲惨な状況の中、危険な場所に飛び込んで行く姿を見て「とてつもない仕事なんだな!」と思った記憶があります。今回作品に触れて、消防官の活動内容を改めて知ることができて、「この人たちのおかげで平和に生きていられるんだ」と実感が湧いています。

佐倉:私は今までお世話になったことがないのですが、この作品を通して、それはとても幸せなことなのだと思いました。それもあって、消防官の方たちは自分たちとは違う世界に生きている“ヒーロー”だと思ってしまったのですが、消防署の前を通る時に見かける彼らは、私たちと変わらない生活を送っている“人間”なんですよね。この方たちが緊急事態になるとパッと切り替えて、命に向き合う瞬間があるのだと思うと、とてもありがたい気持ちになりました。

八代拓、佐倉綾音が声優を目指したきっかけ

――大吾、駿、雪はそれぞれ理由があって消防官を目指しています。お二人が声優を目指したきっかけはなんだったのですか?

八代:高校2年生の時に、友人から借りた『新世紀エヴァンゲリオン』を見たことがきっかけです。当時、思春期真っ只中だった僕の心に突き刺さりました(笑)。それまでは全くアニメに触れてこなかったのですが、その時に初めて子供向けのアニメとは違ったジャンルの作品があることを知り、それから連日レンタルショップに通い、いろいろなアニメを見る中で「アニメに関わる仕事がしたい!」と思いました。

――数あるアニメに関わる仕事の中で、「声優」を選んだ理由は?

八代:最初は絵が描きたかったんですよ。

佐倉:あはは(笑)。

八代:早い、まだ笑うところじゃない(笑)。

佐倉:描ける印象があまりなくて笑っちゃったよ(笑)。

八代:実際に描いてみたのですが、驚くほど上達しなかったんです。……ここが笑うところです(笑)。

佐倉:(笑)。

八代:それで、他に自分ができることを探した時に「声がある」と思ったんです。ネットで声優さんについて調べているうちに熱量が増していき、当時、岩手には声優養成所がないことを知って、東京へ上京してきました。

――佐倉さんはどのようなきっかけで?

佐倉:私は小さい頃から、映像作品の本編よりもメイキング映像を見るのが好きでした。それから「こんな素敵な作品に関わりたい」と思うようになり、最初は劇団に入ったのですが、ステージに立つことやカメラに映ることが苦手で……。その時にボイストレーニングの先生から「佐倉さんは声のお仕事が向いていそう」と言われて、劇団を辞めて声優の養成所に入り直したのがきっかけです。実は、私の家はアニメを見るのを禁止していて、事務所に所属になったタイミングでアニメを勉強し始めました。

――禁止されていたのですか!?

佐倉:はい。1週間に30分だけ、『ポケットモンスター』か『デジモンアドベンチャー』しか見ちゃダメで……。

八代:そのモンスターしばりなんなの?(笑)。

佐倉:私が好きだったから(笑)。それからアニメが大好きになって、私は自分の好きなこと・興味があることにしか邁進しないタイプなので、そんな私には声優というお仕事が合っていたんだと思います。

――これから先、目指す目標などはありますか?

八代:具体的に「この人のようになりたい」という明確な目標はないのですが、ずっとお世話になっている先輩・森久保祥太郎さんは本当に尊敬しています。追い越すことはできないから、ずっとその背中を見続けていたい。仕事への向き合い方が素晴らしくて、今でもたくさんのもの(影響)をもらっています。

佐倉:最近「佐倉さんに憧れて声優になりました」と言っていただくことが増えたのですが、私はそれを言われると身構えてしまって。その子の前では「ちゃんとしなきゃ」と思ってしまうので、目指すべき姿の先輩はいるのですが、特定の名前を出すことはやめておきます。

でも、憧れる人物像としては、役者として突出しているのはもちろんなのですが、人生を豊かに過ごしながら第一線で活躍されている方。人間を演じる上で、自分が人間的に豊かじゃないと、なかなかお芝居の幅が出ないと思うんですよ。「THE役者」という方もかっこいいですが、自分の人生も等しく楽しんでいる方に憧れます。

――最後に、放送を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

八代:ストーリーもキャラクターが背負っているものも重い作品です。凄惨なシーンも登場しますが、それは我々にも起こりうる出来事で、アニメを通してその現実から目を背けないでほしい。この作品を見ることは人生の中で絶対に無駄な時間にはならないので、アニメを見て、何かを感じてもらえたら嬉しいです。

佐倉:この作品を見ることで、日ごろの防災意識も向上すると思います。「こういう時はこうしたらいい」という防災知識も詰まっているので、見ていただくと有意義な時間を過ごしていただけるのではないでしょうか。

取材・文・撮影:米田果織
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