【漫画】本当に怖いのは怪物か、それとも人間かーーSNS漫画『小さな怪物といけにえの話』に感じる“恐怖”と“あたたかさ”

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2023年10月07日 12:21  リアルサウンド

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『小さな怪物といけにえの話』より

 人間と怪物ーー交わることなく、いずれかがいずれかを脅かしていたり、あるいはお互いを恐れている両者の交流は、昔から創作のモチーフになってきた。9月上旬にX(旧Twitter)で公開された創作漫画『小さな怪物といけにえの話』は、理解し合えるはずの隣人と、相容れないはずの怪物の対比から、社会に横たわる様々な問題にも思いを馳せられる短編作品だ。


(参考:『小さな怪物といけにえの話』を読む


 本作を手掛けたのは、大学時代に個人でアニメーションを制作した経験を持ち、卒業後に漫画家の道を志したというミヤギトオルさん(@mitume333)。最初は4コマ漫画の制作を始め、徐々にページ数を増やしていったという。現在は専業漫画家として活動しているミヤギさんに本作の制作について話を聞いた。(望月悠木)


■怪物のモデルは?


――『小さな怪物といけにえの話』制作の経緯など教えてください。


ミヤギ:4コマ漫画のネタ出しをしていた際、漫画の冒頭の「生贄は満場一致で私に決まった」というフレーズが出てきました。


――そのフレーズからストーリーが生まれていったと。


ミヤギ:そうです。そこからストーリーが転がるほうに描いていったという感じです。できるだけ自然な展開と感情の流れを心がけて表現しました。


――怪物のデザインは可愛らしいかったですね。


ミヤギ:恐らくは怪物のビジュアルや性格は、どこか自分に似ているかもしれません。


――セリフ量はあまり多くないのですがストーリーを見失うことなく、またシリアスな状況の中でも、笑えるポイントではしっかりと笑えました。


ミヤギ:セリフを書く際は、「読みやすさと、登場人物の感情に嘘がないように」ということを心がけています。スマホで読む人が多いと思うので、なるべくストレスのないよう気をつけて描いています。


――読者がどのように読むのかも念頭に置いて制作しているのですね。


ミヤギ:はい。スマホで読む際にストレスを感じないように、セリフやナレーションなどは実際に声に出して読んで、わかりやすいか確認しながら描いています。


■絵本からの影響を受けている?


――ストーリーですが、「怪物よりも人間のほうがよっぽど怖い」と思わせる内容でした。


ミヤギ:最後の火炙りのシーンは、学校や会社にいた時に感じた集団の怖さや嫌な感じを思い浮かべて描きました。最初から「怪物よりも人間のほうが怖い」ということを意識したわけではないですが、自然とそういう内容になりました。


――ちなみに本作の作画を見ていると、絵本『モチモチの木』を思い出しました。作画でのこだわりポイントなど教えてください。


ミヤギ:『モチモチの木』は私も大好きです。子供のころから絵本が好きなので、絵の雰囲気がそうなったのかもしれません。描く絵が「版画っぽい」と言われることもあります。また、絵で意識していることはキャラクターの表情です。「できるだけ記号的にならないように描けるといいな」と思っています。


――今後どのように漫画制作を展開していく予定ですか?


ミヤギ:現在「ダ・ヴィンチweb」で連載していた漫画『鬼姫神社通り商店街』が発売中です! 妖怪と人間が棲む不思議な商店街を舞台にしたお話になってます。1話完結で読みやすい内容となっています。私のSNSで試し読みができますので、よろしければぜひチェックしてみてください。今後の漫画制作としてはどんどん数を描いて、少しでも可能性を広げていきたいと思っています。学生時代は映像を学んでいたので、自分の漫画が映画やアニメーションになったら嬉しいです。


▼プロフィール
ミヤギ トオル:マンガ家、イラストレーター。InstagramやTwitter、noteで掌編漫画『物語断片集』を配信。webマガジン「ミライのアイデア」で漫画『不思議ヶ丘の人々』を連載中。


(取材・文=望月悠木)


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