STANLEY牧野任祐の複雑な胸中「尚貴さんが戻るまで恥じない走りを」全損の100号車はモノコック、エンジンを交換

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2023年10月13日 19:30  AUTOSPORT web

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100号車 STANLEY NSX-GTのボンネットに込められた入院中の山本尚貴へのメッセージ
 前戦、スーパーGT第6戦SUGOの決勝レースでGT300のマシンの接触を受けて大クラッシュに見舞われた100号車 STANLEY NSX-GT。今週末に開催される第7戦オートポリスの場に戻ってきたが、SUGOでの車両は全損ということでマシンは新しくなり、オートポリス戦に臨むことになった。また、山本尚貴の不在で責任感が増す100号車の牧野任祐、そして代役として参戦する木村偉織に今週末に向けての抱負を聞いた。

 SUGOのストレート、ピットロード入り口付近でGT300の接触を受け、アウト側のガードレールにかなりの速度でクラッシュした100号車。その後、マシンやパーツ、そしてエンジンの損傷具合をチェックすることになったが、結果的にすべて交換しなければいけない事態となった。クラッシュ時の映像や画像などが公にはない状態で、その損傷度合いがわからないままだったが、完全な全損という事実からも、かなりのクラッシュだったことが察せられる。そしてSUGOからこのオートポリスまで、チームはほぼ休みなしの状態でマシンを組み上げ、第7戦の現場に間に合わすことができた。

 また、今回、100号車はモノコックを交換し、エンジンも新しくなったが、接触したGT300にペナルティが出ていることからも、100号車には交換のペナルティは出ない見込みで進められているようだ。

 第7戦オートポリスの搬入日、サーキットに姿を現した牧野任祐は、SUGOの事故を受けての心境、そして今週末の抱負を以下のように語った。

「個人的には、複雑な心境です。それでもレースに出る以上はしっかりと走らないといけないので、僕個人としての話になるのですけど、チームクニミツのドライバーとして、責任を持って恥じない走りをして、精一杯、頑張りたいなと思っています。(山本)尚貴さんに関しては僕からいろいろ言える立場ではないですし、尚貴さん自身が一番、もどかしいし悔しい気持ちが強いと思います。それは僕自身も入院していた時期があるので、気持ちは一番良くわかる。それを理解しながら、チームのためにも尚貴さんが戻ってくるまでにチームクニミツのドライバーとして恥じない走りができるように、頑張りたいと思っています」

 一方、第4戦に第3ドライバーとして8号車に登録された木村偉織が、この第7戦では山本尚貴の代役として参戦することになった。

「事故の瞬間の映像が映っていなかったので、どうゆう状況だったのか自分でも想像できていなくて、クラッシュ後の写真を見た限りでは鈴鹿の23号車(MOTUL AUTECH Z)ほどは壊れてはいないように見えたのですが、後々に話を聞いて事故の大きさに正直、驚きました。レースをやっている以上、危険とは隣り合わせだと思っていますけど、いざ、自分の身近な先輩が怪我してしまったとなると、驚きがあります。普段から安全にとても配慮しているドライバーでもこういう事故が起きてしまうことに、他人事ではなくて、すごく、気持ちとしては苦しくなるものがありました」と話す木村偉織。

 GT500のレースデビューが、450kmの未知数の多いオートポリス戦ということもあり、不安も覗かせた。

「GT500で走ったのが第4戦富士のFCY(フルコース・イエロー)練習の時の3周くらいで、ほとんど走ったことがない状況です。今週は本当にできることをしっかりやって、接触とかリタイヤとかになるとチームにとってもよくないですし、自分にとっても経験が積める周回が減ってしまうので、1周1周を大切に走って、今後につなげていくために組み立てていきたいですね」と木村。

 当然、タイヤに厳しいオートポリスでのタイヤマネジメントは未知数で、ピックアップ(タイヤカスが飛んで行かずに自分のタイヤ表面にくっついでグリップダウンを招く現象)の経験はない。

「GT500はGT300と違ってABSなどもない。タイヤが5セットしかない中で攻めた時にタイヤにフラットスポットを作って壊してしまったりすることができない状況なので、6セットだったらレースで使わないタイヤで攻めた走りを試すことができたのですけど、5セットでは攻めすぎてはダメというところが自分としてはすごく難しいところですね。自分のメンタルと技量を、しっかりコントロールして慣れていくしかないなと思っています。タイヤのピックアップもこれまで経験がないので、不安要素のひとつです。ピックアップの対応の仕方だけでなく、そもそもピックアップがどういうことなのかの経験もないですので」

 エースの山本尚貴が不在の100号車STANLEY NSX-GT、チームはボンネットやヘルメットバイザーに『フッカツヲマツ!』のメッセージを入れた。今週末の100号車はどのような走りを見せるのか。チーム、そしてドライバー共に、少しでも山本の回復の励みになるようなレースが展開できれば、自ずと好結果がついてくるはずだ。
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