「芸能人という意識はない」クリスタル・ケイの母シンシアが語るヒット曲『恋におちたら』の裏側

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2023年10月16日 08:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

3枚目のアルバムを発売したとき、宣伝する大きな看板が渋谷に出ていました。その前でポーズをまねして写真を撮りました(笑)

 在日三世として東京に生まれ、人気シンガー、クリスタル・ケイ(37)を女手ひとつで育てたシンシア(60)。13歳のとき、クリスタルがメジャーデビュー。娘のキャリアは順調で、ついにヒットに巡り合う。

娘クリスタル・ケイのヒット曲『恋におちたら』

「『恋におちたら』はクリスタルの16枚目のシングルでした。草なぎ剛さん主演のドラマ『恋におちたら〜僕の成功の秘密〜』の主題歌で、彼女の最大のヒット曲になりました。

 クリスタルはデビュー当初R&Bを主に歌っていたけれど、レコード会社がかわったことでポップスに移行した。いわゆる売れ線といわれる路線なのでしょう。ただしクリスタルはそこに不慣れで、録音の最中にスタジオから『ママ、この曲全然歌えないんだけど』と電話がかかってきたことがありました。それは8ビートのポップスで、私にしてみれば『簡単な曲なのにどうして?』と思ってしまう。

 クリスタルは16ビートが染みついていた。16ビートはアフタービートで、黒人のソウルといわれるリズムがそう。日本のポップスは大半が8ビートのメロディーで、通常は16ビートのほうが難しいとされています。けれど娘は8ビートのメロディーの曲が歌えないというから面白い」

『恋におちたら』のヒットにより、クリスタルを取り巻く環境は大きく変わった。母として娘を守り、サポートする必要がある。

ヒット曲『恋におちたら』最初は全然歌えなかった

「13歳でデビューはしたものの、それまでは娘も私も芸能界にいるという感覚はないままでした。けれどヒットをきっかけに突然周囲が騒がしくなった。いわゆる芸能人という視線で見られるようになって、あまり人目につくところ、人が大勢集まる場所へ娘が出て行かないよう私も気を配るようになりました。

 娘には『舞台から下りたら普通の人間になれ』『天狗になったら終わりだよ』と言い続けました。クリスタルもそこはしっかり守ってくれて、自分が芸能人だという意識はいまだにないようです。

 それどころか周りの目をまったく気にせずにどこへでも出かけてしまう。デパートの化粧品売り場ですすめられるままちょこんと座ってメイクをしてもらうなんてこともたびたびで、むしろ私のほうが慌ててしまいます。

 ただ娘はミックスのせいか、別扱いのようなところもあるみたいです。『握手してください』と言われることはあっても、わっと取り囲まれるようなことはない。男性と歩いていても特に騒がれることもなく、遠巻きに見られる程度です

 シンガーと学業の両立は常にクリスタルの課題だった。仕事がますます忙しくなる中、大学進学を決める。

「娘の大学進学は私の希望でした。『歌手が嫌になったとき違う仕事に就けるようにしておいたほうがいい』と説得した記憶があります。でも歌手というのは決してやめることはない。どんな形でも歌っていく。『もう歌いません』と言って実際そうしているのは(山口)百恵さんくらい。クリスタルにしても、“この娘はずっと歌い続けるだろう”という確信が私の中にありました。

 デビュー10周年コンサート真っ最中のときです。持病のぜんそくの発作が起き、舞台袖に入ったとたん、クリスタルが倒れ込んだのです。

 スタッフみんなで娘を抱きかかえ、『アンコールは歌わなくていいから」と言うと、倒れたまま息もできない状況なのに『……大丈夫、歌う!』と言う。彼女の意を決した面持ちに、『じゃあ1曲だけ』と言ったけど、結局2曲歌っていた。

 やっぱり彼女は歌が好きというのはもちろん、同時に根性と覚悟があるのだと、つくづく感じました」(次回に続く)

<取材・文/小野寺悦子>

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