佐藤万璃音組ユナイテッド22号車が2勝目でタイトルに望みつなぐ。残り11分でジャービスが値千金の一撃/ELMS第5戦

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2023年10月21日 07:40  AUTOSPORT web

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ELMS第5戦を制したユナイテッド・オートスポーツ22号車の佐藤万璃音/オリバー・ジャービス/フィル・ハンソン。第3戦アラゴンに続く今季2勝目となった
 10月20日(金)、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第5戦アルガルベ4時間レースがポルトガル・ポルティマオ近郊のアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われ、ユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07・ギブソン(佐藤万璃音/フィル・ハンソン/オリバー・ジャービス)が優勝、今季2勝目を飾った。2位のアルガルベ・プロ・レーシング25号車とのフィニッシュラインでの差は、わずか0.808秒という接戦だった。

 2023年のELMSは、イモラ・サーキットの工事遅れにより、当初のカレンダーからスケジュールが変更。最終2戦は変則日程となり、10月20日の金曜日に第5戦『アルガルベ4時間レース』が、そして22日日曜日に最終第6戦『ポルティマオ4時間レース』が、いずれもアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われるという、ダブルヘッダーでシーズンを締めくくることとなった。

 このためテスト走行が水曜日に開始され、木曜にはフリープラクティスとブロンズテストのセッションが設けられた。第5戦の予選は金曜の午前中に行われ、ここではアルガルベ・プロのジェームス・アレンがポールポジションを奪い、インターユーロポル・コンペティションの43号車、IDECスポールの28号車と続いた。

 レースは1周目から激しいポジション争いが展開。ポールポジションスタートのアルガルベ・プロ25号車は首位を守ったが、その背後では6番手スタートだったユナイテッド22号車のハンソンがオープニングラップのうちに3番手にまで順位を上げると、4周目には早くも2番手へと浮上する。

 その後、25号車、22号車のトップ2でレースは推移していったが、4回目のルーティンピットの後に一度は22号車が逆転し首位に立った。22号車のジャービスは、25号車のアレックス・リンに対して当初20秒のマージンを築いて最終5回目のピットストップに近づいていたが、残り1時間を切ったところでLMP3クラスのインターユーロポル・コンペティション13号車リジェJS P320・ニッサンが火災に見舞われ、コース上にストップしたことでセーフティカーが導入。これにより、22号車のアドバンテージは霧散することに。

 さらにセーフティカー中に行われた最終ピット作業では、1周先に入った25号車が首位を奪い返した一方、22号車は時間を要して5番手にまで順位を下げてしまう。

 レースは残り37分でリスタートを迎えると、2番手を走っていたデュケーヌ・チーム30号車ニール・ジャニがGT車両との接触からスピンし、後続が混乱。これにより、22号車ジャービスは2番手にポジションを上げる。

 ジャービスはさらに25号車に迫ると、陽が傾くなかテール・トゥ・ノーズの戦いへと持ち込む。そして残り11分、トラフィックが絡んだところでターン5への進入でインに飛び込んだジャービスは、ターン7までに首位を奪った。

 最終盤もアクシデントによりFCYが導入されるなか、トップ2台の接近戦は続いたが、ユナイテッド22号車が僅差でフィニッシュラインに逃げ切った。パニス・レーシングの65号車が、クール・レーシングの47号車を抑えて総合表彰台の一角を獲得し、終盤に接触のあったデュケーヌ・チームは総合5位でフィニッシュしている。

 第3戦アラゴンに続くこの勝利により、ユナイテッド22号車は獲得ポイントを75へと伸ばしてLMP2ドライバーズランキングで2位に浮上したが、25号車のリン/カイフィン・シンプソン/アレンは20ポイントのアドバンテージを持って日曜日の最終戦を迎える。ポールポジションに1点、優勝で25点が与えられるELMSでは、1レースで最大26ポイントが獲得可能となっている。

 LMP2プロ/アマカテゴリーでは、クール・レーシング37号車(アレクサンドル・コイニー/マルテ・ヤコブセン/ニコラ・ラピエール)がニールセン・レーシング24号車を抑えて優勝。

 LMP3クラスではWTMバイ・リナルディ・レーシングの12号車デュケーヌM30 D08・ニッサンが勝利を挙げ、クラス4位でフィニッシュしたクール・レーシング17号車のエイドリアン・チラ、アレハンドロ・ガルシア、マルコス・シーベルト組がクラスタイトルを獲得した。

 終盤まで大激戦の首位争いが続いたGTEクラスでは、プトロン・コンペティションの77号車ポルシェ911 RSR-19(クリスチャン・リード/ジャンマルコ・レボラート/ジュリアン・アンドロウアー)が、僚友16号車ポルシェにわずか0.5秒のギャップで勝利を遂げている。

 クラス3位表彰台にはアイアン・リンクスの60号車が入り、ポルシェ勢が表彰台を独占。途中、クラス首位を走る時間帯もあった木村武史/スコット・ハファカー/ダニエル・セラ組のケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoは惜しくも表彰台を逃し、4位でチェッカーを受けている。

 このあと21日土曜日にはフリープラクティスと第6戦予選が行われる。22日に再び4時間の決勝レースが開催され、2023年のシーズンタイトルが決することになる。
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