伊達心眼流創始者・伊達軍曹の中古車道場破り! 第20回 楽しく乗ってお金も増える? 「クルマに投資」はアリなのか

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2023年10月24日 11:41  マイナビニュース

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この冬のボーナスで「ちょっといいクルマ、買っちゃおうかな?」と目論んでいる人も少なくないかもしれません。で、購入したクルマの売却相場が、もしもその後、爆上がりしたら――「素敵なクルマに乗って人生を謳歌しつつ、さらには売却益でお金も増える」という可能性も出てきます。「楽しく乗って、お金を増やす」という“クルマ投資術”は、はたしてあり得る話なのでしょうか? クルマの売買事情に詳しい中古車評論家・伊達軍曹さんに聞いてみました。


○クルマ投資術は簡単だ。ただし「巨額の種銭」が必要だが…



「クルマを購入することによってお金を増やす」という行為が可能か不可能かといえば、もちろん可能である。例えば下記のような購買行動をすれば、きわめてイージーにお金を増やせるだろう。



「3,000万円ぐらいで極上物のフェラーリF355中古車を買い、自宅の車庫で5年ぐらい保管しておく」



今から5年後は、現時点よりもさらにクルマのデジタル化および電動化が進んでいるはず。そのため、アナログエンジンの名車であるフェラーリ「F355」の希少価値は今以上に上がり、おそらくは3,500万〜4,000万円ほどで売却できるだろう。つまりは5年ほど車庫に放り込んでおくだけでお金が16〜33%ほど増えるということであり、投資としては決して悪い話ではない。



ちなみに、過去には岐阜県の納屋で眠っていたボロボロのフェラーリ「365GTB/4」が、海外オークションにて2億円で落札されたこともあった。上記のフェラーリF355も、5年といわず20年ぐらい寝かせておけば、2億円も決して夢ではあるまい。


○ひと昔前なら「国産絶版スポーツカー」でお金を増やすこともできたが…



とはいえ「3,000万円のフェラーリを買う種銭はどうするんだ?」「そもそもウチにはフェラーリを寝かせておける車庫なんてないぞ?」「そして納屋もない!」というのが一般的な反応だろう。そして筆者も3,000万円のフェラーリなど買える身分ではないし、車庫も納屋も持ってない。



ならば、額面年収400万〜800万円ぐらいの(いわゆる)普通の人間が「クルマを買ってお金を増やす」ためには、どうすればいいのか?



結論から言ってしまうと「イージーな方法はない」ということにはなる。



ひと昔前までは「若い頃に60万円ぐらいで買ったS15シルビアが400万円で売れた!」みたいな話もあった。しかし“市場の歪み”というのは、目ざとい人々によってすぐさま解消されてしまうものだ。そのため今や国産絶版スポーツカー全般の中古車相場は、すでに猛烈に高騰している。



それゆえ、「これから国産絶版スポーツカーを安く買って、高く売る」というのは正直ちょっと難しいだろう。「高く買って、数年後にさらに高く売る」ということはできそうだが、それには“フェラーリ投資法”ほどではないにせよ、おおむね600万円ほどの種銭は必要になる。


○大儲けは無理だが「プチ利益」を出せる? 可能性が高いのはこの3車種!



ならば、一般人がさほど多くはない種銭でもって「クルマ購入投資術」を実行するには、はたしてどうすればいいのだろうか?



答えは「巨額のリターンは狙わず、コツコツと小さな利ざやを稼ぐ」ということにならざるを得ない。

100万円や200万円、あるいは1,000万円、2,000万円という利ざやを狙うのではなく、「10万円か20万円ぐらい儲かれば御の字」と考える。さらには「買った時と同じぐらいの値段で売却できる=お金が減らないだけでも大勝利!」と考えることができるなら、「クルマ購入投資術」は途端に現実味を帯びてくる。



そして、もしもあなたが「現実的なクルマ購入投資術」を開始したいのであれば、下記の車種などが有力な投資対象候補となるだろう。


候補1:マツダ「ロードスター 990S」


マツダ「ロードスター」の最軽量グレード「S」をベースに、バネ下重量をさらに低減させ、軽さをいかしたシャシーとエンジンの専用セッティングを採用した特別仕様車。車名は「1tを切る990kgの車重」を表している。マニアに大人気の銘柄だが、残念ながら2023年秋のマイナーチェンジに伴い販売終了となってしまった。



これの走行数千km程度の中古車は今、総額290万円ほどで買うことができる。それを買ってキレイに(かつ距離をなるべく延ばさずに)2年間ほど乗れば、購入価格とおおむね同額か、もしくは5万〜10万円ほど高く売却できる可能性はあるだろう。


候補2:トヨタの新型「アルファード」または「ヴェルファイア」


極端な品薄のため「そもそも注文できない」「納期がいつになるのかさっぱりわからない」というのが大問題ではあるが、とにかく大人気の最新Lサイズミニバンである。



アルファードでもヴェルファイアでもどちらでもいいので、とにかく注文できるときにバッと注文し、注文から2年後ぐらいに(?)納車されたら、半年から1年間ほどキレイに乗りながら楽しむ。そしてそのうえでさっさと売却すれば、購入価格とおおむね同額で売り抜けられるか、もしくは10万円から20万円ぐらいの粗利を得られる可能性はあるだろう。注文と納車までひたすら待つ必要はあるが、手堅い投資先だ。


候補3:トヨタ「ランドクルーザー250」および「ランドクルーザー70」(再導入モデル)


ランドクルーザー250は2023年8月に世界初公開され、2024年前半に発売されるライトデューティ系の新型ランドクルーザー。そしてランドクルーザー70はご存じのとおりヘビーデューティ系の大人気モデルだが、ここで推奨するのは2023年冬に再導入される予定の世代だ。



どちらも「超絶大人気」となることはほぼ決定済みのモデルであるため、運良く最初期ロットの購入権を得ることができ、納車されたそれをほとんど乗らずに転売すれば、おそらくは100万円以上の利ざやを稼げるはず。



とはいえ、この2モデルの最初期ロットを手に入れるのはたぶん至難の業であり、そもそも“転売ヤー”みたいな行為をするのも、ちょっとどうかと思う。



そのためここは、「納車がいつになるかはわからないが、とにかく注文を入れる→2年後ぐらいに(?)納車されたそれを1年間ぐらい堪能する→そして売却する」という流れこそが最適な投資行動となるだろう。大幅な利ざやは望めないが、少額なら稼げる可能性はあり、少なくとも「大損だけは絶対にしない」という、新型アルファード/ヴェルファイアと同種の手堅い銘柄である。


ほかにも候補車種はあるのかもしれないが、とりあえず私からは以上である。



夢のない話ばかりで恐縮ではあるのだが、これが現実というものだ。「確実に大儲けできる投資話」などというものは、そう簡単に道端に転がっているわけではない。もしも転がっていたとしたら、それはおそらく詐欺である。



伊達軍曹 だてぐんそう 1967年東京都出身。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、大手自動車メディア多数に記事を寄稿している。中古車選びの流派「伊達心眼流」の創始者(自称)。 この著者の記事一覧はこちら(伊達軍曹)

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