本木雅弘に“ミスター・ラグビー”平尾誠二が憑依!石田ゆり子も感銘「ゾワゾワした」

0

2023年11月11日 12:11  TVerプラス

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TVerプラス

本木雅弘さんが主演を務めるテレビ朝日ドラマプレミアム『友情〜平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」〜』(テレビ朝日系)が11月11日(土)よる9時から放送されます。

2016年にこの世を旅立った“ミスター・ラグビー”こと平尾誠二さんと、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の友情物語を描く本作。ドラマでは平尾(本木)と山中(滝藤賢一)との出会い、平尾のがん発覚、前向きに闘病する平尾と家族との深い絆、新薬や治療法を探しながら伴走することに決めた山中の決意など、愛に溢れる物語が描かれます。

今回、本木さんと平尾の妻・惠子を演じる石田ゆり子さんにお話を聞きました。

「愛されている感」があったドラマ期間

――ドラマのオファーを受けたときの率直なお気持ちを聞かせてください。

本木:ラグビー界のレジェンド・平尾さんを演じるなんて、本当に畏れ多いという気持ちがありました。もちろん若いころから存じ上げていましたが、自分とはあまりにもかけ離れすぎているし、特異なオーラをお持ちで、ある意味、時代を動かした人だと思うんです。(ドラマスタッフから)「少し顔が似ている」と言われましたが(笑)、かなり躊躇したというのが正直なところです。

石田:本木さんと滝藤さんが平尾さん&山中さんを演じると聞いて、すごく素晴らしい作品になるだろうなと勝手に確信していました。ただ、私の演じる惠子さんは今現在もいらっしゃる方。失礼があってはいけないし、そういった役柄を演じるときは、ものすごく緊張するんです。「私で本当にいいんだろうか」とも思いましたが、(最終的には)ぜひ、やらせていただきたいなと思いました。

――山中先生や惠子さんなどとお話をする機会はあったのでしょうか? その中で印象に残った言葉やエピソードがあれば教えてください。

本木:クランクインは平尾さんが30年通った神戸の灘浜グラウンドだったんですが、そこで、惠子さん、娘さんの早紀さん、ご子息の昂大さんとお会いしました。惠子さんはしっとりとした素敵な人で、お世辞抜きに石田さんと通ずるところがあると思います。

石田:いやいや……!

本木:(惠子さんは)お綺麗で可愛らしいんですが、すごく芯を感じるんです。そのニュアンスが(石田と)すごく似ているなと思いました。

今回、平尾さんを演じるにあたって、明るく自然体だとは聞いていたのですが、どう表現するかは、すごく悩んでいたところで……。惠子さんに「どんなトーンでお話されていたんですか?」とお伺いしたら、「◯◯するんやで」「これはこうやで」と、すごく柔らかく優しくお話をされていたと教えてくださいました。自分の中で、新鮮な感じがしましたし、ヒントにもなったので、取り入れました。

山中先生は、撮影の終盤に現場へいらしてくださり、はじめてお会いしたのですが、挨拶後に、ついつい「平尾さんこんなんじゃなかったですよね」とか、「物語上、足りないところもあると思いますが、大目に見てください」なんて言い訳してしまいました(笑)。

その後、2人きりになる瞬間があったので「実際、平尾さんは本当に病室で陰りなく過ごしていたんですか?」と伺ったら「冗談抜きで『これは死にゆく人の病室なのか』というぐらい、声が出なくなっても、明るいオーラで、笑いの絶えない空気感だったんですよ」とおっしゃっていて……すごく驚きました。

石田:私は、人づてに(惠子さんの人となりを)お聞きして「こういう方なんだ」と、イメージを膨らませていました。今回、お医者様を演じられる賀来千香子さんが惠子さんと親交がおありで、千香子さんからもお話を伺ったのですが、はっきりと「主人のことが大好きなの」とおっしゃる方と聞き、素敵だなぁと。

惠子さんの描かれ方は言葉を多くは発せず、静かに平尾さんに寄りそう感じでしたので、お聞きした雰囲気をどう出そうかなと悩みました。

本木:(このドラマの中で)惠子さんを表現するにも台詞が少ないし、(石田は)本当に大変だったと思うんです。 でも、静かな包容力が出ていたし、一緒の場面でも最後まで泣きませんでしたよね。

石田:そうですね。監督の希望でもあったのですが、悲しい場面でも、なるべく沈まないように、とは思っていました。ただ、本木さんはいらっしゃるだけでもう平尾さんだったので、ゾワゾワしましたね。

本木:自分もポンと言葉を放るだけではなくて、夫婦で互いに“感じていること”のキャッチボールをしているような……柔らかいけどしなやかで強いという雰囲気をイメージしながら演じていました。それは、石田さんの声や気遣いもあって、自然にできたのではないかなと思います。

平尾さんは、とても愛嬌のある方で、普通だったら照れてしまうような台詞をサラッというお茶目さもあったとお聞きしたので、それにならって、石田さんが喜んでくれるように、と“にわかゆりゆりファン”になって、Instagramを覗いたり、石田さんが大橋トリオさんと出されたアルバム(lily/『リトルソング』)の「うたかた」という歌が好きで、急に歌い出して驚かせたりしました(笑)。

石田:その期間、すごく幸せでした。 「愛されてる感」がありましたね。ありがとうございます。

本木:とんでもないです。夫婦は、結婚生活が長くなると、それぞれ違う方向を向いてしまうこともありますが、このご夫婦(平尾夫妻)の場合は、 最後まで見つめ合い、ちゃんとシンパシーが対流していたなと思うんです。

石田:私もそう思っていました。理想の夫婦ですよね。

山中伸弥教授は平尾誠二さんに“魔法をかける人”

――平尾さんが周囲の人から愛される理由は、どんなところにあると思いますか?

本木:山中さんが(原作の)「友情」で書いていることや、(神戸製鋼のラグビー部で先輩・後輩の間柄だった)藪木宏之さんが書かれた「平尾誠二さんのこと」の中でも垣間見えるんですが、愛嬌がある方なんです。オフのときは、ほとんどラグビーの話をせず、バカ話や美味しいものを食べながら遊ぶ。「ユーモア」というものがもたらしてくれる力を信じていた方だから、周りを和ませ愛されたのだと思います。

石田:嘘のない誠実なところや、一本芯が通った野性動物のような引力を感じますよね。尊敬がベースにあって、とにかく「ただただ好きだ」というみなさんの気持ちはよく分かります。

本木:おっしゃるように、(平尾さんは)野性的な勘や洞察力があって、肌感覚で、 その人の質や思い悩んでいること、痛みをスッと感じる方なんです。数値で表せないものを拾い上げる才能は一番の魅力なのではないでしょうか。

――平尾さんと山中さんの友情シーンも見どころです。本作で描かれる「友情」について感じたことがあれば教えてください。

本木:平尾さんには求心力があって、人を惹きつけ巻き込む力がある。そうして、あらゆるジャンルの人たちが平尾さんと関わった歴史があると思うんですが、そんな中で、山中さんは、単に友人ではなく、平尾さんが最後まで平尾さんらしさをまっとうするために贈られた“魔法をかける人”だったのではないかなと思うんです。

石田:『友情』というタイトルではありますが、ベタベタな友情を描いているわけではない。2人が何かに導かれるように惹かれ合った不思議な物語でもあると思うんです。

本木:あと、この作品は、平尾さんと山中さんの友情だけではなくて……。

石田:大人同士の友情もありますよね。(山中の妻・知佳を演じる)吉瀬美智子さんとは初めてお会いしたんですが、初めてではないような何かを感じましたし、自分も含めるのは、少し照れますが(笑)、素敵な4人組(平尾夫妻、山中夫妻)でしたし、幸せな撮影期間でした。

本木:シンプルな台詞のやりとりなんですが、「思いやり」や「静かな覚悟」とか、その言葉の前後に漂っているものこそが、このドラマの一番のエッセンスなのではないかと思います。

取材・文:浜瀬将樹
写真:フジタヒデ

【本木雅弘ヘアメイク】
原田ゆかり(MARVEE)

【石田ゆり子ヘアメイク】
岡野瑞恵

【石田ゆり子スタイリスト・衣裳クレジット】
藤井享子
・ブラウス、パンツ、ベルト:support surface(問い合わせ先:03-5778-0017)
・ピアス:SOURCE(問い合わせ先:03-3443-5588)
・リング:himie(問い合わせ先:03-5485-1277)
    ニュース設定