グーグルマップのナビに従って旧黒人居住区を通ったアメリカ人観光客、強盗に顔を撃たれる(南ア)

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2023年11月15日 15:11  Techinsight Japan

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グーグルマップのナビゲーションで旧黒人居住区へ。銃で顔を撃たれたアメリカ人のウォルター・フィシェルさん(画像は『IOL 2023年11月8日付「US tourist shot in face as GPS directs him into Nyanga」(Picture: Facebook)』のスクリーンショット)
これから夏を迎える南アフリカでは観光客が増えてくるが、その観光客を狙った犯罪も急増する。このほどアメリカ人観光客がグーグルマップのナビに従って車を運転したところ、タウンシップ(旧黒人居住区)へ入り込み、顔を撃たれるという事件が発生した。南アフリカのニュースメディア『IOL』などが報じている。

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米コネチカット州に住むウォルター・フィシェルさん(Walter Fischel、55)はタイを旅行した後、11月3日午後2時過ぎに南アフリカのケープタウン国際空港に降り立った。空港の両替所で手にした現金7000ランド(約5万7000円)をズボンのポケットに入れると車をレンタルし、ペンギンビーチで有名なサイモンズタウンへ向かうため携帯のグーグルマップにその住所を入力した。金曜日の午後は勤め帰りの車も多く主要道路が渋滞しているため、それを避けるルートを選んだ。そのルートには、ケープタウンでも最も危険と言われる低所得者層のタウンシップ「ニャンガ(Nyanga)」を通るように指示されていた。

フィシェルさんは現地時間6日、入院先の「Rondebosch Medical Centre」で南アフリカのニュースメディア『News24』の取材に応じ、当時の出来事を語っている。

フィシェルさんは、ニャンガに入った時点であまり治安が良くない場所だと気づいたが、渋滞などのために車はなかなか前に進むことができなかったそうだ。そして事件は突然起こった。4人の男がフィシェルさんの車に近づくと、そのうちの1人がいきなり彼の顔を撃ったのだ。犯人の1人が運転席の窓からドアのロックを解除すると、フィシェルさんは男の銃を奪おうとした。しかし他のドアから残りの男たちが車内に入り、フィシェルさんのポケットに入っていた現金とパスポート、財布を奪い、フィシェルさんを車から蹴り落とした。フィシェルさんはトランクを開けてバッグを取ったが、男らは追いかけてきてフィシェルさんからバッグを奪うとそのまま車ごと走り去った。

置き去りにされたフィシェルさんは、自分の顔が血だらけなっていることに気づくとパニックに陥ったが、助けを求めようと辺りを見回した。 フィシェルさんは「警察が犯人を追ってくれるかもしれないと期待して道路を走っている間、私は自分の歯を2、3本吐き出し、銃弾も吐き出してしまった」と明かしている。しかし警察が追跡している様子はなく、周りは誰も関わろうとはしなかったという。結局、2人の親切な女性がフィシェルさんを車に乗せ、病院まで送ってくれたそうだ。

フィシェルさんの左頬は銃弾が貫通しており、下顎も骨折していたが、翌日に5時間に及ぶ下顎骨を正常な位置に戻して固定する外科手術(観血的整復固定術)が行われ、その際に左頬も縫合された。


デニス・アラード(Denis Allard)外傷外科医は、「下顎が骨折し、歯が抜けてしまうほど強力な弾丸が口の中で止まったというのは非常に珍しいことです。全身をスキャンし、弾丸の破片が体内に残っていないことを確認しました」と、フィシェルさんの状況が非常に幸運だったと話している。

フィシェルさんは回復後、すぐにアメリカに帰国する予定だそうで、「アフリカには何度も来ており、ここはすごく好きな場所だが、もう戻ってくることはないかもしれない」と話していた。

今回の事件を重くみたジョーディン・ヒルルイス(Geordin Hill-Lewis)ケープタウン市長とケープタウン観光局は、グーグルマップの代表者と会い、空港までの安全な推奨ルートについて話し合ったそうで、市長は「実りある話し合いが行われ、グーグル技術者とケープタウンの交通・観光当局によって作業が進められることになる」と述べている。また市長は、市は観光客を守ることが重要であるとし、「休暇を過ごすためにこの国を訪れる人々には、この国が安全であることを知ってもらいたい。80人の警察官や国立公園職員らが観光客の安全を守るために観光ルートをパトロールする予定である」と付け加えた。

ちなみに、アメリカの渡航勧告でも「南アフリカへの旅行では、事前にルートを調べ、主要な高速道路を利用し、タウンシップを通る近道を避け、GPSナビゲーションアプリに頼らないようにすること。市街地を走る場合、最短・最速のルートが最も安全とは限りません」と警告している。

画像は『IOL 2023年11月8日付「US tourist shot in face as GPS directs him into Nyanga」(Picture: Facebook)』『News24 2023年11月7日付「WATCH | US tourist shot after taking detour from Cape Town airport via Nyanga ‘didn’t see it coming’」(Lisalee Solomons/News24)』『New York Post 2023年5月3日付「Tourists follow GPS directions straight into sea: ‘One expensive vacation’」(Christie Hutchinson via Storyful)』『M A S I X O L E 2022年5月17日付X「Young opportunist tried to help himself to the Uber drivers belongings」』『IOL 2023年9月30日付「‘Tazz’ trends on X, memes flood the internet after Bluff woman rams into alleged bag thief」』『STOLEN CARS RSA 2018年8月29日付X「「Hi @SAPoliceService…Yesterday Mamelodi East PTA.」』『Intelligence Bureau SA 2018年10月4日付Facebook「ATTEMPTED ROBBERY- HIJACKING MORNINGSIDE. JHB..GP. ON WEDNESDAY. KEEP VIGILANT..」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

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  • 事態を重く見る割に犯人を許さないようなことは言わないのね。
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