Moto3：佐々木歩夢、マシアの執拗な妨害で王座逃す「このような形で失ったのは本当に残念」／第19戦カタールGP

　11月19日、2023年MotoGP第19戦カタールGP Moto3クラスの決勝がロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された。ランキング2位につけていた佐々木歩夢（Liqui Moly Husqvarna Intact GP）はチャンピオン争いに敗れ、ジャウマ・マシア（Leopard Racing）がMoto3王者に輝いた。

　Moto3クラスでフル参戦7年目を戦っている佐々木は、今季は優勝こそ逃していたものの、18戦終了時点で10度の表彰台を獲得し、13ポイント差のランキング2位につけていた。軽量級においては25年ぶり、そしてMoto3クラスでは日本人初の快挙となるため、佐々木には多くの期待が集まっていた。

　プレッシャーも多く抱えるなかで迎えた第19戦カタールGPでは、予選でマシアが10番手に対して、佐々木が4番手と今季初優勝も狙えるグリッドを獲得してアドバンテージを築いていた。日曜日の決勝はスタート前から緊張感が張り詰めており、ファビオ・クアルタラロ（モンスターエナジー・ヤマハMotoGP）が佐々木のグリッドに訪れて言葉をかける様子もあった。

　クアルタラロの助言も受けた佐々木は、オープニングラップで3番手に浮上して翌周には先頭に立つという幸先の良いスタートを切った。しかし、マシアも好スタートを決めてわずか3周目にトップ集団に混ざったことで、直接対決に移行される。大きな集団の中で順位が目まぐるしく入れ替わる展開となり、マシアと佐々木のともに譲らない激闘にさらに注目が集まる。

　接戦を繰り広げるふたりだが、3周目と7周目に6コーナーのブレーキングでマシアが佐々木を押し出すという場面があった。それにより佐々木は順位を大きく下げてしまうことになったが、その都度意地の追い上げを見せてトップ集団へと追いつく。再び先頭まで上り詰め、バトルがヒートアップしていくなか残り3周でマシアがトップに立つと、佐々木が集団にのまれて8番手まで後退してしまう展開となった。

　好調なペースを維持していた佐々木はまたも追い上げを図ろうとしたが、マシアのチームメイトであるエイドリアン・フェルナンデス（Leopard Racing）にペースをコントロールされて足止めされてしまう。なんとか交わして前に出た頃にはトップとのギャップが広がってしまっていたが、それでも佐々木はファステストをマークして追い上げを図った。6番手まで挽回させたが、マシアが優勝を飾ったことでポイント差が28に広がったため、残り1戦を残して王座争いが決着。

　シーズン終盤までチャンピオンの可能性を残していた佐々木は、プレッシャーに押しつぶされることなく、慎重にレースを展開していた。今大会もトップ集団でバトルを繰り広げていただけに、悔しさが残るレースとなってしまった。そんな佐々木は決勝を次のように振り返った。

「今日のレースは、Moto3ならではの特有なレースでした。大きな先頭集団の中で戦う上では、マシアや（ダニエル・）オルガドのような他のライダーもいるということは分かっていました。レース序盤はバトルは激しかったけれど、常にほぼフェアな状態だったので、とても気持ちよく走ることができました」

「ただ、6コーナーでは1度か2度ほどマシアがとても攻撃的でしたが、でもそれは僕にとっては問題ありませんでした。でも（マシアの）チームメイトがやって来ると、コースの真ん中でスロットルを一度閉じてしまい、先頭グループと大きく差が開いてしまいました。どうにか彼をオーバーテイクしようとしたのですが、すぐにまた抜かれてしまったので、もう一度オーバーテイクして、ギャップを広げられるタイミングを見つけるしかありませんでした」

「その後なんとか切り抜けることが出来ましたが、時間がなくなってしまいました。ファステストラップを出して、残り2周を全力で走りましたが、上位グループに追いつくには至りませんでした。バレンシアのレースまでマシアと一緒に戦いたかったので、このような形でチャンピオンシップを失ったことは本当に残念です」