【漫画】“記憶喪失の骸骨”が教えてくれる友人の大切さーー中二病青年に感情移入するSNS漫画『隣のドクロさん』

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2023年12月08日 10:11  リアルサウンド

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漫画『隣のドクロさん』より

 「友情」に垣根はない。性別が違っても、年齢が離れていても、相手が人間じゃなかったとしても、心がつながる瞬間が確かにあるはずだ。10月下旬にX(旧Twitter)上で投稿されたオリジナル漫画『隣のドクロさん』は、親しみやすい“人外”とのユニークな友情を描いが作品で、読めば優しい気持ちになる。


(参考:漫画『隣のドクロさん』を読む


 “中二病”が抜けない青年・黒戸の隣の家には、彼が勝手に命名した「ヴァイス」という骸骨が住んでいる。記憶を失い、自分が何者なのかを知りたがっているヴァイスのため、黒戸はいろいろと協力し、互いに仲を深めていくがーー。


 普段はフリーランスのWebデザイナー兼広告漫画家として働いているという、作者の田淵有希也さん(@y_ta99)。幼少期から絵や漫画に取り組んでいたものの、社会人になって精神疾患になり、絵が描けなくなった時期があると振り返る。その後、無事に社会復帰を果たし、「一回死んだようなものだし、どうせなら命がけで何かしてみよう」と思い切り、漫画家を目指すようになり現在に至るそうだ。明るくも暗くもあり、不思議な魅力に満ちた本作の誕生秘話など、話を聞いた。(望月悠木)


■「ドクロと友達になりたい」


――『隣のドクロさん』制作の経緯は?


田淵:読み切り掲載を前提に現在の担当編集さんと制作した作品です。ただ、自分が描いた作品のことはいつもあまりよく覚えておらず、当時の詳細な状況はわかりません。結局掲載にはならなかったため今回SNSにアップしました。


――“記憶喪失のガイコツと中二病が抜けない男性”という秀逸な組み合わせはどのように思いついたのですか?


田淵:たしか『BLEACH』(集英社)を読んだ直後で、そこに登場するバラガン・ルイゼンバーンというキャラにハマっている時期でした。バルガンは骸骨の姿に変身するのですが、読んでいて「ドクロと友達になりたい」ということを考えて描き始めました。


――黒戸というキャラはどのようにして作り上げましたか?


田淵:“目隠れキャラ”が好きなので、私が描く主人公は基本的にはああいったビジュアルになります。性格は恐らく自分に近いです。キャラクターが弱いことを何度も担当編集さんに指摘されており、わかりやすい記号として中二病属性を付与しました。ただ、キャラメイクとしてあんまり上手くいったとは思っていません。


■「人に頼らないと自分は生きていけない」


――存在的にはヴァイスのほうが“ボケ”の印象ですが、黒戸の中二病的なノリを冷静にツッコミでおり、むしろヴァイスのほうが常識人のように感じました。2人の立ち位置はどのように調整しましたか?


田淵:ボケとツッコミみたいな2人組を作るとストーリーが描きやすく、コミカルに寄せたい時はあのように主人公を2人組にすることが多いです。ギャップも意識してるので、見た目が変なやつのほうが中身はまともにしました。とはいえ、ギャップとしてはまだまだ弱いと思いますが。


――“死”という扱いが難しいテーマが後半の軸になりました。注意したことは?


田淵:私は持病があり、死ぬことを考えない日がないくらい死ぬことばかり考えています。“死”の扱いが難しいという感覚はありません。むしろ日常という印象です。ただ、「他の人にとってはそうではない」ということは理解しており、「全体的にコミカルにして、ここぞという時に一気に出す」と意識して描きました。


――笑える作品でしたが、友達の必要性を感じるストーリーでした。


田淵:重い精神疾患になった時、友達をほとんどなくしてしまい、とても辛い思いをした時期があります。また、その後「人に頼らないと自分は生きていけない」と思い、友達を多く作った経験から、今回のようなストーリーになったのだと思います。


――今後どのように漫画制作を展開していく予定ですか?


田淵:おかげさまでたまに賞をいただいているため、次こそは掲載を目指して作品を作っています。Xで『標的は同人誌即売会』という作品を連載しているので、ぜひそちらも読んでもらえると嬉しいです。また、過去に描いた作品もアップしているのでそちらもぜひ。


(取材・文=望月悠木)


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