《大河ドラマ「がっかり」ランキング》3位以下は僅差!2位の『どうする家康』に大差をつけた1位は

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2023年12月17日 18:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

(左から)柴咲コウ、松本潤、鈴木亮平

 以前は平均視聴率20%、30%超えも珍しくなかったが、近年は10%台がアベレージとなった大河ドラマ。巷には「大河離れが起きているのではないか」という意見もある。そこで編集部では「大河にがっかりしている視聴者が多いのでは?」と、平成以降に放送された全36作についてのアンケートを実施した。

 ところが戻ってきたアンケートを集計すると「どれも面白く、がっかりさせられたものはなかった」(東京都・58歳・男性)など「がっかり大河はない」と答えた人が全体の約6割に当たる622票もあり、一番多い声だったのだ!

 この結果に「大河ドラマはその時代のトップを走る脚本家が書き、当代の人気俳優が数多く出演、そして精鋭のスタッフによって制作されるので、面白い作品のほうが多いんですよね」と話すのはテレビ番組に詳しいライターの成田全さん。

ただ長年、大河を見続けているファンには一家言ある方が多いので、どうしても今回の作品は自分には合わない、史実と違う解釈はいかがなものか、話が間延びしていてつまらないなどと思われることがあります。

 また登場人物が同じだと過去の作品と比べられる場合もあるので、それらが“がっかり”につながっている側面もあります」(以下、成田さん)

大河ドラマがっかりランキング

 ではランキングを発表しよう。9票で同率の11位には「歴史上の人物の思いよりも、配役を立たせることばかりでストーリーがなかった」(大阪府・42歳・女性)

「すべてスタジオ収録で、合戦の様子もスタジオとわかってしまう文化祭レベルの作り」(神奈川県・46歳・男性)

 と厳しい意見を集めた'05年放送の滝沢秀明主演『義経』と、'89年放送の大原麗子主演『春日局』が入った。

子役時代の神木隆之介さんが牛若丸役で見せた大人顔負けの演技、そして滝沢さんの美しい義経と松平健さん演じる勇猛な弁慶の壮絶な最期が話題になりました。

 スタジオ収録ならではの絵巻物のような独特のきらびやかな演出がお気に召さなかったのですかね? 橋田壽賀子さん脚本の『春日局』は元日から放送されたのですが、これが今も破られていない大河の初回最低視聴率14.3%を記録しました。

 さらに昭和天皇崩御で第2回の放送が翌週に延期されたのですが、ここで一気に高視聴率をたたき出し、その後も『オレたちひょうきん族』で明石家さんまさんが大原さんをモノマネしてコントにするなど話題を集め、平均32.4%の視聴率で歴代3位のヒットを記録。昭和最後にして平成初の大河でした」

 8位には10票を集めた3作品。'03年放送の七代目市川新之助(現・十三代目市川團十郎 白猿)主演の『武蔵 MUSASHI』には、

「威勢がいいだけで、ストーリーが成り立っていない」(埼玉県・42歳・女性)

「主役が武蔵に合っていなかった。ストーリーも盛り上がりに欠けた」(福岡県・65歳・女性)

 と演技、展開共に不満が爆発。

 '94年放送の三田佳子主演『花の乱』には、

「ストーリーが単調でつまらない。あくびが出そうだった」(大阪府・49歳・男性)

 また東山紀之が主演した'93年放送『琉球の風』も入った。

「日野富子の生涯を描いた『花の乱』、初めて沖縄が舞台となった『琉球の風』は、大河の放送が半年ほどに短期化された時期の作品で、もう1作の'93年放送の渡辺謙さんと村上弘明さんが主演した『炎立つ』を合わせた3作品はその前後に比べ明らかに視聴率が低迷したので、大河は1年かけてやってほしいという視聴者が多かったということでしょうね」

大河で最も多くの作品を書いた脚本家は?

 6位は13票を集めた'15年放送の井上真央主演『花燃ゆ』。吉田松陰の末妹が主人公だったのだが──。

「主人公が歴史的に功績があったわけではないのと、イケメンをやたら押し出すドラマの宣伝方法が嫌だった」(長崎県・47歳・男性)

「主人公がもともと無名すぎて、同じところでバタバタしている感じ。結局何をしたのかさっぱりわからなかった」(島根県・50歳・女性)

 と疑問の声が。そして同じく6位となった'12年放送の松山ケンイチ主演『平清盛』はストーリーがわかりにくかったという声に加え、

「当時の時代背景を狙った撮影手法が暗くて画面が見にくくデメリットが目立った」(青森県・39歳・男性)

 と映像に関する不満が寄せられた。

物語の舞台であった兵庫県の知事も『画面が汚い』と批判した『平清盛』ですが、放送された年はテレビが地上デジタル放送へ完全移行した時期。クリアに見えすぎた方が多かったのかもしれません(苦笑)。視聴率はいずれも平均12%、ワースト2位を記録しています」

 4位には14票で2作品が。演技派の鈴木亮平が主役を務めた'18年放送の『西郷どん』

「もう少し幕末の志士たちの話が盛り込まれているかと思ったが、西郷隆盛の恋愛遍歴が多く、時代物と思っていたのにストーリーがつまらなかった」(愛知県・54歳・女性)

「鈴木亮平の無駄遣い。なんだかいまいち話に入り込めなかった」(北海道・66歳・女性)

 となかなか手厳しい。

 そして'04年放送の香取慎吾主演『新選組!』には、

「ジャニタレだから許されているレベルから出ていない」(長野県・47歳・男性)

「配役が歴史上の人物像に合わなかった」(神奈川県・62歳・男性)

 との指摘が。

「鈴木さんは西郷隆盛の役作りのため100キロ近くまで太って役作りなさったそうですが……ラストで西郷が切腹で絶命しないなど、通説を変えてしまったことなどが大河ファンの不評を買ったのかもしれません。

 脚本家の三谷幸喜さんが初めて大河に挑戦した『新選組!』は三谷作品が持つ軽みのある作風が従来の大河ファンから嫌われたようですが、親しみを感じる登場人物たちの群像劇はこれまで大河を見ていなかった視聴者をクギづけにしたり、後に三谷さんが『真田丸』『鎌倉殿の13人』を書くことにもつながりました。

 現在、大河で最も多くの脚本を手がけた脚本家は『草燃える』『春の波濤』『炎立つ』『元禄繚乱』の4作を担当した、昼ドラ『真珠夫人』『牡丹と薔薇』を書いたことでも有名な中島丈博さんですが、現在3作の三谷さんが肩を並べる日も近いと思います」

がっかり1位は平成最後にして令和初の作品

 3位は19票を集めた'17年放送の柴咲コウ主演『おんな城主 直虎』

「見終わってから、本当は男性だったかもしれないと知り、ちょっとがっかり」(千葉県・51歳・女性)

「キャストのレベルが低く、お遊戯を見ているようだった。また時代考証もいいかげん」(東京都・64歳・男性)

 という辛辣な意見が。

「生年もはっきりしない、歴史上有名ではない武将で、さらに女性説を採用するといった物語の飛躍がキワモノ的に受け取られてしまったようですね」

 そして2位は現在放送中の松本潤主演『どうする家康』が64票を集めてランクイン。

「主人公に貫禄がなく、家康っぽくない。また史実を無視したりスルーした展開が残念」(神奈川県・45歳・男性)

「背景の映像や乗馬シーンにがっかり」(大阪府・54歳・女性)

「家康のイメージにまったく合わない。ストーリーも中途半端で納得できない」(北海道・63歳・女性)

「もはや歴史ではなくファンタジー」(大阪府・51歳・女性)

 と言われ放題。今年、松本が所属する旧ジャニーズ事務所のさまざまな問題が表面化したことの影響も大きいだろう。

 12月17日放送の最終回までに巻き返せるかどうか注目されているが、このままだと『花燃ゆ』と『平清盛』を下回り、歴代ワースト2位の平均視聴率となる。

「昨年から今年にかけてBSで再放送された'81年放送の大河『おんな太閤記』を先んじて見ていたのですが、『どうする家康』と同じ時代、同じ登場人物を描きながらこうも人物の描き方が違うのかと感じました。

 また昭和の俳優の演技や所作、たたずまいもさることながら、みなさん本当に声がよかった。松潤家康に貫禄がないのは、声の要素が大きいと思います」

 そして1位は平成最後にして令和初となった大河で、第一部を六代目中村勘九郎、第二部は阿部サダヲが主演を務めた'19年放送『いだてん〜東京オリムピック噺〜』。圧倒的な106票を集めた。

「歴史的に有名な登場人物があまりに少なく、現代ドラマ的」(大阪府・68歳・女性)

「ストーリーや雰囲気が従来の大河のように重厚でなく、軽いので朝ドラみたいな感じがして違和感があった」(神奈川県・56歳・男性)

「東京五輪の前年で狙いはよいと思ったが、年間視聴するには迫力や緊迫感やスケール感が弱いと感じた」(宮城県・59歳・男性)

 など「軽さ」が気になったこと、そして、

「大河はある程度古い時代の物語のほうが面白い」(茨城県・51歳・女性)

「やっぱり時代劇じゃなくっちゃ」(兵庫県・68歳・男性)

 といった意見も。

「近現代が舞台となったのは昭和に女性が医師を目指す'86年放送の『いのち』以来。『いだてん』初回は15.5%でしたが、第5回放送時は同じ時間帯にラグビーW杯が放送され、第6回で10%を割り込んでからは低迷、平均8.2%と大河史上初のひと桁視聴率を記録してしまいました。

 また足袋職人役のピエール瀧さんが違法薬物の使用で逮捕され降板、さらに女子バレーボール日本代表監督役の徳井義実さんの所得の申告漏れが明るみに出て出演シーンがカットになるなど、出演者の相次ぐトラブルもありました」

若い世代の視聴者を取り込むことができるか

 来年1月7日からは吉高由里子主演で平安時代に『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描く『光る君へ』が始まり、翌'25年は江戸の出版プロデューサーであった蔦屋重三郎を主人公に『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が横浜流星主演で制作される。

 成田さんは今回のアンケートで特に30〜40代の世代の多くが「大河を見る習慣がない」と答えていたことが気になったという。

この先2年続けて合戦や戦争を取り上げないのは、戦によらない人と人との心のぶつかり合いを描こうとしているのだと思います。

 大河は戦国時代と幕末が取り上げられることが多いのですが、それは相次ぐ戦による時代の大きなうねりがあるので、1年間続く長いストーリーの中で起伏をつけやすいから。

 しかしここ最近は通説にとらわれない、平時の人間関係の描写にも重きを置いているようですので、若い世代の視聴者開拓に向けていろいろと腐心しているのだと思います。

 またSNSなどでの話題作りや物語の考察も盛り上がりに欠かせない要素になっていますから、動かせない歴史上の出来事を描きつつ、先の展開を読まれないよう、有名な戦国武将や幕末の志士だけではなく、これまで取り上げてこなかった時代や人物へ幅を広げようという試みもあるのではないでしょうか」

 時代の激流に翻弄される人々を1年かけて描く大河ドラマ。来年はどんな人生の物語を見せてくれるのだろうか。

大河ドラマ“がっかり”ランキング11

1位 『いだてん 〜東京オリムピック噺〜』('19年)
   六代目中村勘九郎、阿部サダヲ 106票

2位 『どうする家康』('23年)
   松本潤 64票

3位 『おんな城主 直虎』('17年)
   柴咲コウ 19票

4位 『西郷どん』('18年)
   鈴木亮平 14票

4位 『新選組!』('04年)
   香取慎吾 14票

6位 『花燃ゆ』('15年)
   井上真央 13票

6位 『平清盛』('12年)
   松山ケンイチ 13票

同率8位 『武蔵 MUSASHI』('03年)
   七代目市川新之助 10票

同率8位 『琉球の風』('93年)
   東山紀之 10票

同率8位 『花の乱』('94年)
   三田佳子 10票

同率11位 『義経』('05年)
   滝沢秀明 9票

同率11位 『春日局』('89年)
   大原麗子 9票

成田 全●雑誌編集者、漫画編集者などを経て、フリーに。インタビューや書評を中心に、幅広い分野について執筆活動を行う

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  • 今年の『家康』より一見ファンタジー大河と思われる『江』の方が淀殿の秀吉の妻のポジションに関しては最新研究の史実に忠実だった皮肉
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