2023年、漫画界はどうだった? ラブコメから鬼才の作品まで……長期連載の完結ラッシュが続々

46

2023年12月23日 07:11  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

写真

  2023年もそろそろ終わろうとしているが、漫画界の1年を振り返ると、さまざまな出来事が起きていたように思われる。とくに印象的だったのが、長期連載されていた人気作品が相次いで完結を迎えたことだ。実際にどんな作品が終了したのか、出版社や掲載誌を問わず取り上げていきたい。


■有名メディアミックス作品の完結


  まず今話題を呼んでいる作品としては、九井諒子の『ダンジョン飯』が挙げられる。同作は2014年から『ハルタ』に掲載されていた長編で、グルメ漫画と“ダンジョンの攻略”を組み合わせた斬新な発想によって人気に。『このマンガがすごい!』など数々の漫画賞に輝き、2024年1月からはTVアニメ版の放送も決定している。 漫画好きのあいだでは言わずと知れた人気作だが、2023年9月をもって約9年半にわたる連載が終了した。


 同じく映像化作品でいえば、『フィール・ヤング』で6年間連載されていたヤマシタトモコの『違国日記』が6月に完結。同作は新垣結衣と早瀬憩のW主演による実写映画が2024年6月に公開される予定だ。


 また、2016年にTBS系でTVドラマ化された松田奈緒子の『重版出来!』も、6月27日発売の『月刊!スピリッツ』8月号にて、およそ11年にわたる連載にピリオドを打った。


 さらにTVアニメ化、実写映画化によって話題を呼んだオジロマコトの青春物語『君は放課後インソムニア』は、8月21日発売の『ビッグコミックスピリッツ』38号で完結を迎えている。


■ラブコメの世界で大きな変化


 2023年にとりわけ完結作が目立っていたジャンルがラブコメだ。『少年ジャンプ+』で矢吹健太朗の『あやかしトライアングル』と水あさとの『阿波連さんははかれない』が終了した一方、『週刊ヤングジャンプ』では雪森寧々の『久保さんは僕を許さない』が大団円を迎えた。


  さらに山本崇一朗の作品では、『ゲッサン』の『からかい上手の高木さん』と『週刊少年マガジン』の『それでも歩は寄せてくる』が完結。他の作品に目を向けてみても、『週刊少年マガジン』ではヒロユキの『カノジョも彼女』、『マガジンポケット』では真木蛍五の『可愛いだけじゃない式守さん』、『週刊少年サンデー』ではねこぐちの『このマンガのヒロインは守崎あまねです。』、『マンガクロス』では藤近小梅の『隣のお姉さんが好き』がそれぞれ完結している。TVアニメ化された作品も含めて、数多くのラブコメが一気に物語を畳んだことが分かるだろう。


  ジャンルの性質上、いつまでも物語が続くわけではないため、ラブコメはそこまで長期連載にはなりにくいもの。とはいえ、同時期にいくつもの人気作が幕引きとなった背景には、読者の需要が変化しつつあることも関係しているのかもしれない。ラブコメ作品は他のジャンルと比べて、時代の移り変わりによる価値観の変化を反映しやすいからだ。


■鬼才たちの連載にも一区切り


 『惡の華』などのヒット作で知られる人気漫画家・押見修造は、今年2つの連載を完結させた。1つは『ビッグコミックスペリオール』で連載していた“毒親”テーマのサイコサスペンス『血の轍』、もう1つは思春期の性を題材とした『別冊少年マガジン』の『おかえりアリス』だ。


 とくに『血の轍』は2017年から続いていた長期連載。ヨーロッパ最大規模のコミックイベント「アングレーム国際漫画祭」で「連続作品賞」に輝くなど、読者から高く評価されており、今後の映像化にも期待されている。


 鬼才という括りなら、『別冊少年チャンピオン』や『マンガクロス』で連載されていた阿部共実の実験的日常漫画『潮が舞い子が舞い』が物語の幕を閉じたことも、言及せずにはいられない。


 ほかにはヤマザキマリ+とり・みきの『プリニウス』、松本大洋の『東京ヒゴロ』、CLAMPの『カードキャプターさくら クリアカード編』なども、今年終了した個性派作家たちの長期連載だ。


 そのほか少年漫画でも、『週刊少年マガジン』では大暮維人×西尾維新の夢のコラボレーションが話題となった『化物語』が3月に終了。『少年ジャンプ+』では、SNS上で大きな盛り上がりを見せた住吉九の異世界経済バトルマンガ『ハイパーインフレーション』が3月に完結している。


 他方で女性同士の恋や友情などの関係性を描く百合漫画の界隈でも、志村貴子の『おとなになっても』やアキリの『ヴァンピアーズ』などの傑作が、ここ1年で完結を迎えた。


 まだ終わっていないものの、『週刊少年サンデー』のコトヤマ『よふかしのうた』、『となりのヤングジャンプ』の迫稔雄『バトゥーキ』なども、すでに連載終了時期が予告されているため、完結ラッシュに含めてもいいかもしれない。


 いずれにしても、こうして振り返ってみると、2023年にさまざまな話題作が完結を迎えたことが分かるだろう。当然だが、ここで取り上げられなかった作品も多数存在する。


 ともあれ1つの作品が終わるということは、また新たな作品が始まることを意味している。2024年には各ジャンルで新たな波がやってくるかもしれないので、それぞれの作家たちの新作を楽しみに待とう。


(文=キットゥン希美)


このニュースに関するつぶやき

  • 「将国のアルタイル」が無いのが駄目。 アルスラーン戦記と皇国の守護者を混ぜたみたいな作品だが、大作で名作だった。 一度全巻通して読み返さないと^^
    • イイネ!3
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(32件)

ランキングゲーム・アニメ

前日のランキングへ

オススメゲーム

ニュース設定