どれだけ知ってる? 教習所で教わらないバイクTips 第34回 事故を防ぐため、ドライバーにも知ってほしい「バイク」の真実

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2023年12月23日 16:01  マイナビニュース

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バイク人気が高まると同時に、連日のように事故のニュースが報じられています。事故の内容はカーブでのオーバーランや、タイヤのスリップといった「操縦ミスによる単独転倒」だけでなく、「クルマとの接触事故」も半数近くを占めています。



ライダーもドライバーも気をつけているはずなのに、なぜ事故は起きてしまうのでしょうか? 今回はバイクを知らないドライバーが見落としやすいリスクについて解説します。

■プロでも勘違いするバイクとの距離感



クルマとバイクの接触事故では、身体がむき出しのライダーに大きなダメージを与えてしまいます。こういった背景があったため、現在販売されているバイクはヘッドライトの常時点灯が義務化されました。しかし、それでも右直事故などは起きてしまいます。



教習所や安全講習でも教わりますが、この原因はドライバーが対向車線を走ってくるバイクに気づいていても『まだ遠くにいる』と錯覚するためです。実は運転に不慣れな人だけでなく、プロのドライバーでも、バイクの場合は間違えてしまうことが多いそうです。



バイクのライダーも右折待ちのドライバーが距離感を誤っているとは考えないので、気を抜いて交差点に入ってしまいます。そのため、事故にあったライダーの多くが『あんな直前で右折してくるとは思わなかった』と言うわけです。


■バイクは急に避けられない



バイクと事故をおこしたドライバーの中には『バイクが避けると思った』、『真っすぐ突っ込んできた』という人もいます。普段見かけるバイクは車体も小さく、キビキビと走っているイメージが強いためか、衝突しそうになってもサッと避けられるだろうと思ってしまうようです。



しかし、バイクはとっさの時ほど進路を変えることができない乗り物です。ライダーは危険を感じたら反射的にブレーキをかけますが、強いブレーキング時は車体が硬直するように直立して曲がらなくなり、無理にハンドルを切れば転倒します。映画のアクションシーンばりの回避行動を取れるのは、それなりの経験とテクニックを持った一握りのライダーのみです。


■同じ「ライダー」でもスキルはバラバラ



二輪免許を持っているライダーは難なくバイクを乗りこなし、大型バイク乗りはさらに上手だと思うかもしれませんが、その技量は人によってかなり差があります。バイクは初心者や高齢者マークの表示義務がなく、顔もヘルメットで隠れてしまうため、どんな人が乗っているのか分かりにくいものです。速そうな大型スポーツに初心者や中高年のリターンライダーが乗っていることも珍しくありません。



また、バイクを操る技術と安全運転のスキルは必ず比例するとは限りません。ゆっくり走っていても、ぼんやりと前しか見ていなかったり、その逆に、飛ばし気味でも後方や対向車など周囲の動きに注意を払っているライダーもいます。

■ライダーはクルマの死角を意識していない



クルマは斜め後方にミラーの死角があり、ここに入り込んだバイクを見落として車線変更や合流時に衝突することがあります。ほとんどのライダーがクルマに死角があることは知っていますが、常に周囲を走っている車両の死角を意識しているわけではありません。実際には『見えているだろう』と思い込んでいる人の方が多いでしょう。

また、現代のクルマは遮音性が非常に高く、バイクも騒音規制が強化されたことでエンジンやマフラーの音も小さくなっています。クルマやバイクが静かになったのはよいことですが、その一方で死角に入ったまま走行しているバイクの存在に気づきにくくなっています。


■目立つウエアを着るライダーは少数



クルマのドライバーからすれば、『バイク乗りは黄色や蛍光色といった目立つ色のウエアを着た方が安全なのでは?』と思うはずです。確かにその通りなのですが、多くのライダーは黒やグレーといったダークカラーのウエアを好みます。



この理由は、黒はどんなバイクにも合う定番カラーで、走行で付着する汚れも目立ちにくいためです。派手なビビッドカラーのウエアを好む人達もいますが、これは安全面よりもファッション性を重視しているケースがほとんどで、大半のライダーは他車からの視認性も十分理解しているものの、あまり目立ちすぎるのも恥ずかしいと思ってしまうようです。

■バイクのテールランプは小さくて見えない



路肩や信号待ちで停止していたり、前方を走っていたバイクに気づかず追突する事故も起こります。バイクのライダーは受け身も取れずにクルマのボンネットに後頭部や背骨を強打するため、重大な人身事故になる恐れがあります。



ほとんどのバイクはテールランプが一つしかないため、夜間や夕暮れ時などは非常に見にくくなります。近年はリアキャリアにトップケースを装着した車両も増えていますが、車高の高いクルマの運転席からはケースの陰にテールランプが隠れてしまうこともあります。


■バイクとの事故はクルマにとって不利



クルマとバイクの事故では状況によって双方の過失割合は変わりますが、一般的には弱者救済の論理によって、クルマ側の過失が高めになる傾向です。バイクのライダーが負傷して人身事故扱いになると、ドライバーには免許点数の加点や反則金・罰金などの行政・刑事処分が科せられることもあります。



また、相手のケガを保険で補償できたとしても、一人の人間を傷つけてしまったことは後味が悪いものです。打撲やかすり傷程度ならまだしも、一生残る後遺症を負わせたり、命を奪ってしまった場合は精神的に大きなダメージを負うこともあるはずです。

■公道を走る者同士の「気遣い」と「感謝」がトラブルを防ぐ



自車の近くを走るバイクを鬱陶しく思うドライバーがいても不思議ではありません。事故でも起こしたら大変なので、常に気を配っていなければなりませんが、運転に集中できずイライラが高まっていくようなら、いっそ道を譲って先に行かせてしまった方がよいでしょう。



もちろん、ライダーも道を譲ってくれたドライバーに対しては会釈したり、手を挙げて感謝の気持ちを示すべきです。横の車線で長時間並走したり、短めの車間で後方についたり、目の前でフラフラ走ることを嫌がるドライバーだっています。法的には問題なくても、無意識で相手に与えたストレスが事故やあおり運転のきっかけになることは少なくありません。



クルマもバイクも同じ公道を走る乗物です。お互いに相手を気遣うことができれば、事故のリスクが減るのはもちろん、その日は気分よくドライブやツーリングを楽しめるのではないでしょうか。



津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)

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  • バイクに乗っても周りのドライバーの人格を疑い続けることで事故のほとんどは防げる (´・Д・)」 信用するから事故をもらう
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