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つい先日まで、いつも通り連絡しあっていたのに、まさかこんなことになるなんて……。けれど、母の死は紛れもない現実でした。これからは子どもたちの写真をどれだけ送信しても、母から電話がかかってくることはないのです。既読にもなりません。
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母の死を聞いてから私はすぐに病院へ駆けつけましたが、久しぶりに会った母は二度と目を覚ますことはありませんでした。隣家の宮川さんに庭で倒れているところを発見され、急いで病院へ運ばれたものの、もう手遅れだったと聞きました。葬儀が終わった後、夫はいったん子どもたちを連れてホテルへ向かい、私は遺品整理をするために実家に戻りました。
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「ただいま……」いつものようにそう言って家に入ると、「アリサ! おかえりー!」そんな笑顔で迎えてくれる母の声が、今にも聞こえてきそうでした。冷蔵庫を開けると、母が生きていたときと同じ状態の食品がそのまま残っていました。冷蔵庫の中のプリンひとつにも、静かに涙が溢れてきてしまいます。
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実家にいると、いたるところから母の声が聞こえてくる気がします。「今日、夕飯どうする?」「肉じゃが、すごく美味しくできたの! 食べてみて!」「あー、雨が降ってきた! 洗濯物取りこまないと〜」もうこの世に母がいないことが嘘のようでした。こぼれてくる涙を拭きながら、母のタンスの引き出しを開けると……。
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「私が死んだら、この中のものを一緒にお棺に入れてください」と書いた箱を見つけました。母が用意したものでしょう。確か、母が前に電話で言っていました。町内会で生前整理のセミナーがあって、それを聞いてから少しずつ整理をしはじめたと……。そのときは「縁起でもないこと言わないでよー」なんて返したことを覚えています。箱を開けてみると、エコー写真や2冊の母子手帳、古い手紙、私が小さい頃にあげたプレゼントなどが入っていました。
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入っていた母子手帳は私のものではなく、弟たちのものでした。母は23年前に双子の弟を死産しています。当時、私はまだ幼くてほとんど覚えていませんが、父によると母はショックで一時期ふさぎ込んでいたそうです。亡くなった弟たちのお墓参りにも定期的に行っていました。母は私を可愛がりながらも、ずっと弟たちのことを忘れずに生きていたんだ……。けれど「お母さんも死んだら、会いに行くからね」なんて……。私の知らない母の心の中をのぞいてしまった気がして、切なくなりました。母は今ごろ弟たちに会えて喜んでいるのかな……。父と母と弟たち、家族そろって過ごしているのかな……。そんなふうに思うと、天国にいる弟たちをうらやましくすら感じてしまう自分もいるのでした。
【第3話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・りますけ 編集・井伊テレ子