山本貴嗣の新作マンガを支援するプロジェクト開始、返礼品に責了紙のPDFファイルなど

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2023年12月25日 18:30  コミックナタリー

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山本貴嗣描き下ろし新作「鉄腕魔女伝説 紅のベニー」発刊プロジェクトのバナー。
豪華本に特化したマンガ専門の出版社・MANGATRIXによる、描き下ろし新作マンガ支援のクラウドファンディングが始動。その第1弾として、「エルフ・17」などで知られる山本貴嗣「鉄腕魔女伝説 紅のベニー」の発刊プロジェクトが、本日12月25日18時30分にクラウドファンディングサービス・うぶごえでスタートした。

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「鉄腕魔女伝説 紅のベニー」は、魔術が盛んな異世界を舞台に、やたら元気な魔術師ベニーと仲間たちが暴れまわる冒険ファンタジー。数年前から執筆を開始していたが、200数十ページ近く進んだところで、諸々の事情により一時中断していたという。山本とMANGATRIXの編集者からはコメントが到着。山本は今回のプロジェクトについて、「1978年にデビューして四十数年、色々な作品を描いてきましたが山本マンガの一つの集大成と言える作品にしようと描き進めております。もし皆様のお力添えをいただけましたら、これにすぐる喜びはありません」と心情を述べている。

目標金額は200万円。支援者には返礼品として、山本の直筆イラストとサインが入った「鉄腕魔女伝説 紅のベニー」1巻、山本の直筆サイン入り複製原画B4サイズ2種とB3サイズ1種、「鉄腕魔女伝説 紅のベニー」1巻の責了紙のPDFファイルなどが贈られる。うぶごえでは、2024年2月28日23時59分まで支援者を募る。

■ 山本貴嗣コメント
お客様方へ
久々の新作完全描き下ろし「紅のベニー」第1巻です。
数年前から執筆を開始し二百数十ページ近く進んだところで諸々の事情により一時中断しておりました。このたびMANGATRIX社様から刊行に向けて再始動できましたことはまことに感激、恐悦至極に存じます♪
本作は
「鉄腕魔女ベニーが御供の魔物ジャリとオオスナネコのマータにまたがり、魔法世界ディシュランディアの運命を変える暴れ旅をくり広げる、明るく楽しいアクションファンタジーでSF(すこしフカシ、いやかなりフカシ)」
です♪
1978年にデビューして四十数年、色々な作品を描いてきましたが山本マンガの一つの集大成と言える作品にしようと描き進めております。
もし皆様のお力添えをいただけましたら、これにすぐる喜びはありません。
どうぞよろしくお願いします♪

■ 編集者コメント
長期化する出版不況下で、特に深刻なのが雑誌の売上低迷です。電車の移動中に漫画雑誌を読む光景を見かけることは無くなりました。今はスマホで漫画が読まれる時代です。雑誌への依存度が高かった町の本屋にも、雑誌離れ本屋離れという消費行動の変化が暗い影を落としています。

薄利多売のビジネスモデルが崩壊して、出版社も取次書店も苦しい状況が続き、減少した売上を発行点数でカバーしようとした結果、ピーク時に年間5千点だったコミックス漫画の単行本の新刊点数が2022年には1万4千点まで膨れ上がってしまいました。肝心の売上が追いつかず、平均返品率ばかりが増え続け、今では返品率30%です。これではせっかく作った本が赤字になります。今は雑誌の赤字だけでなく、売れないコミックスの赤字まで、一部のヒット作が支えている状態です。

最近のヒット作は、例外なくアニメ化ドラマ化映画化作品ばかりです。雑誌連載されるだけでは読者しか作品の存在を知らない状況で、メディアミックスが不可欠なのです。ブランド力を持った雑誌からは、今後もヒット作が生まれ続けるでしょうし、最近はスマホのユーザーが多く利用する、あらたな媒体も増えています。出版の危機を招いたスマホが、新たなビジネスチャンスを生みつつあるのです。

ただ、雑誌で連載するには最低限、月刊連載が求められます。雑誌が赤字経営のため、計画的に単行本化が求められるため、不定期連載は難しくなっています。スマホで読む場合には、PV数の厳しい競争にさらされるため、月イチ更新では埋もれてしまいます。どちらも量産を求められる世界です。

昔は漫画専門店も活況を呈しており、ずいぶん助けられたものですが、今はほぼ姿を消してしまいました。量販店はマニア向けの品揃えはしていませんし、一般書店も同様です。あの頃、専門店にいた常連客はどこに行ってしまったのか、とても不思議でした。何度か、クラウドファンディングを行ない、その後インターネット書店で販売したことで、マニアックな客層は健在だということが確認できました。

昔のように量産ができなくなり、表舞台から姿を消した作家は少なくありません。そういった作家でも、未だ意欲があり技術もおとろえていないなら、ファンと直接繋がることで創作支援が可能ではないか、作家と編集者のワンチームなら上手くいくかも……、と考えました。

漫画作りのコストの大半は原稿料です。本の製造費だけなら、原稿料の半分程度です。もちろんクラウドファンディングだけで全ては賄えませんが、雑誌と違い必要な量だけ作ればいいので赤字も抑制できます。黒字化を優先させるため、本はクラウドファンドの返礼品限定にして、後日電子書籍化で、その収益を作家と折半する計画です。印刷代がかからず、返品の心配も不要な電子書籍を売り続けることで、原稿料含めた赤字解消は可能だと思います。

クラウドファンディングで製作した「上山徹郎オリジナル作品集UnTrainedUnTrained」は時間がかかりましたが、先日、電子書籍化に漕ぎつけました。日本語版と同時に英語版を製作し、2冊同時に世界23の国と地域で発売しています。需要があるようなら、多言語化も進めてみたいです。初めての経験なので、未知数ですが、チャレンジする価値はあると考えています。

クラウドファンディングの狙いは、資金調達や宣伝効果もありますが、最大の目的は「ファンの元気をもらうこと」です。プロジェクトごとに作家が変われば、ファンも入れ替わるのですが、支援者の皆様の熱量の大きさにはいつも驚かされます。

ご支援いただいた皆様には、クラウドファンディング限定となる紙の本をお届けします。数量限定製作なので、書店販売を実現するにはハードルが高いのです。クラウドファンディング限定で用意する本は、基本千部しか作らなかったため、とても高額となってしまいます。1冊あたりのコストが1万部作る場合の10倍となるからです。そのため支援者の負担も大きくなりますし、ファンの中には購入を諦められる方も少なくないはずです。今後は紙の本は必要とされる量だけ作るつもりです。

今回は新作なので、限られた方しか読めない形で終わらせてしまうのは作家にも申し訳ないですし、印刷代がかからず返品リスクもないため、お求めやすい価格帯で電子書籍化することで、新たなファン獲得の機会にもつなげたいと思います。クラウドファンディングには直接関係しませんが、支援者の皆様には後日電子書籍化される点だけはご理解いただきたいと考えています。

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