イ・ビョンホン×パク・ソジュンが魅せる韓国映画『コンクリート・ユートピア』あなたなら、どうする?

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2024年01月10日 14:31  Pouch[ポーチ]

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【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、韓国映画『コンクリート・ユートピア』(2024年1月5日公開)。久々の韓国映画レビューですよ〜!

公開初日に劇場で鑑賞しましたが、イ・ビョンホンさんとパク・ソジュンさん(『梨泰院クラス』主演)が出演しているせいか、劇場は女性が多かったような!

では、物語からいってみましょう。

【物語】

大災害で壊滅したソウル。崩壊を逃れたファングンアパートには多くの生存者が押し寄せました。不法侵入や放火など犯罪が起こるようになり、住人たちは混乱を鎮めるために主導者を決めることに。

代表になったのは、ヨンタク(イ・ビョンホンさん)。職業不明で謎めいた男だったけれど、命懸けで放火を食い止め、多くの住人から信頼を得たのです。

ところが、リーダーになったヨンタクは徐々に様子がおかしくなっていき……?

【演技力に魅了された】

長きにわたり韓国映画界のトップスターであり続ける俳優、イ・ビョンホンさん。ハリウッド映画にも進出し、世界的に活躍している彼が、大ヒットドラマ『梨泰院クラス』(2020年 / Netflix)のパク・ソジュンさんと共演したのが本作です。

かっこいい2人にキュンとする映画かな〜と、ちょっとばかり希望を持って観たのですが、違いましたね。2人がお芝居でガッツリ組み、その演技力と表現の重みをしっかり感じられる作品でした。

【イ・ビョンホン様がボロボロの姿に】

舞台は、唯一崩壊しなかったアパート。ここに住む人々は家族で身を寄せ合って生きているのですが、どの家族も生活はギリギリです。

そんな中、外部の人たちが助けを求めてやって来るのですが、最初は受け入れたものの、だんだんいろいろなことを求めてくる彼らに、ギリギリで生きている住人たちは複雑な心境に……。徐々に “住人 VS よそ者” という対立が生まれるのです。

そんなとき、放火された部屋をヨンタクが命懸けで消火したことをきっかけに、このアパートのまとめ役に選ばれます。ボサボサの頭、ボロボロの姿で登場するビョンホンさん。一瞬、「誰?」とわからなかいくらいヴィジュアルも完璧に作り込んでいました

【狂気のリーダーの正体は】

そんなビョンホンさん演じるヨンタクはリーダーになり「住人みんなで協力して生き延びよう」と頑張るのですが、徐々に暴走し、住人以外は完全排除、殺人も厭わないくらいに暴走していくのです。

最初はリーダーに祭り上げられ「え、俺?」みたいな顔をしていたのに、みんなに頼られ、みんなが自分の言うことに従うので、どんどん暴走。アパート外の人に「あそこの住人はヤバイ」とか言われるように。

でもそんな彼に疑いの目を向ける人物が現れます。

ここから先は劇場で楽しんでいただきたいのですが、権力を握った人が変わっていく様はリアルで怖いほどでした。映画を観ているうちにイ・ビョンホンだということを忘れてしまいそうなほど渾身のお芝居でした。

【パク・ソジュンの繊細なお芝居】

パク・ソジュンさん演じるミンソンは、妻のミョンファ(パク・ボヨン)と仲のいい夫婦。でもミンソンはヨンタクの暴走に巻き込まれ、彼に従うようになり、ミョンファを不安にさせてしまうのです。

でも心のどこかでミンソンは「これで良いのか?」と思っている節も。なぜなら、ミョンファは常に状況を客観視しており、なぜ助け合わず、対立を生むような行動をするのかと疑問に思い始めるのです。

この映画の中でミョンファは良心で、極限状態になっても正しいことをしようとしていると感じました。「自分さえ良ければいい」という人物ばかりになったら、どんどん悪い方に走ってしまうので “ブレーキをかける人物” としてミョンファがいて良かったです。

またソジュンさんとボヨンさん演じる夫婦がとても良い!

夫が巻き込まれていくことに妻は不安を感じつつも、お互いへの愛情は確かなものを感じました。桃の缶詰を2人で分け合うシーンは状況の大変さと2人の愛情、両方を描いた良いシーンだったと思います。ミンソンの妻への優しさに、ほっこりしました。

【あなたならどうする?】

アパートの住人と部外者の対立を見て、自分だったらどうするだろうと考えました。「助けたいけど、いつまでも部屋にいられたらな…」とか思ってしまいそうだなと。

しかも助けを求めてきた人々は、高級マンションの住人で、それまで自分たちを見下してきた人々。「もし、立場が逆だったら、彼らは自分らを受け入れないだろう」というセリフがありましたが、まあ、そうだろうなとも思ったりして。究極の選択ですね。

今、ディザスター映画を観るべきか否かと思ったりもしますが、いつ、どこで、何が起こるかわからない。だからこそ、フィクションとはいえ、「こんなとき、自分だったら」と考えるきっかけをくれる映画を観るのも一考なのではないかと私は思いました。

執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:© 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CLIMAX STUDIO, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『コンクリート・ユートピア』
(2024年1月5日より全国ロードショー)
監督:オム・テファ
出演:イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン、キム・ソニョン、パク・ジフ、キム・ドユン

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  • 統一教会の国の物の宣伝は止めてください!! 気味悪いから
    • イイネ!32
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